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【三越350年の記憶】その2:本店仮営業所

「三越350年の記憶」プロジェクトの鈴木です。商業史上、重要な役割を果たしてきた三越の歴史を後世に残すため、史料を収集しています。将来的にはデジタルライブラリーとして一般公開したいと考えます。

それぞれの史料に関する思い出などがございましたら、コメント欄に記して頂けると有り難いです。あわせて記録しておきたいと思います。

さて今回はちょっと複雑です。「本店仮営業所」です。

掲載の絵葉書を見つけたのですが、いつもどおり年代が分かりません。たまたま、台東区図書館デジタルライブラリーに同じものが所蔵されており、その成立年月日には「 昭和10年(1935)以降昭和戦前  年代は、建造物竣工年から推定。」と記述があります。(

台東区図書館における記述

https://adeac.jp/taito-lib/catalog/mp090850-100090

しかし、葉書には「三越呉服店」とありますので、1928年6月の商号変更の前であると思われます。さらに、「三階」「階下」との表現と八稜堂の上にステンドグラスがあるので、これは3階建だった仮営業所である可能性が高いです。

野村正晴(2016),三越日本橋本店本館の建築計画の変化と収益性,日本建築学会計画系論文集,Vol81,No728,p2300には次の記述があります。

「吹抜を売場中央にとり、全体を一つの空間にする方法は本館の西側隣地に建つ三越の仮営業所にも採用された。仮営業所の建物中央部にコリント方式の柱で支えられた3層の吹抜をもち、上部に設けられたステンドラスから採光がとられた。」

恐らく、台東区図書館の記述は間違いです。

こんなモダンな空間が1908年頃にあったとすると、ちょっと驚きですね。

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