根っこ。(2024/04/27)
今週ずっと改植の準備を進めていた。
昨日ひと段落して、ようやく気持ちが収まった。
改めて見ると、りんごの老木があった区画には何もなく、バックホーのキャタピラで抉られながら踏み固められ、つぎはぎに土が剥き出しになった草地が、日暮れの光に照らされていた。
数カ所で伐採したりんごの枝や根を燃やす火から白い煙が立っていた。大きな炎に飲まれても、大きな根は燃えずにそこに、残っていた。りんごの木が燃える匂いも、残っていた。
チェーンソーで何本ものりんごの木を伐採した。1本を伐採するのに昔よりも時間がかからなくなった。それでも1本切るのにたくさんの汗と神経が流れていく。水分を補給し、深い息をゆっくり何度も繰り返し、息を整える。耳を守るためのイヤーマフをつけると、周囲から音が消える。
自分の息遣いと心音が聴こえる。目の前にりんごの木がある。それだけになる。
自分は何を切っているのだろうか。
りんごの木か。りんごの木だ。
りんごの木という時間を切っている。時間を切っている。そういう感触、手応えがある。
これは何なのか、何なのだろうか。
考える。
考える。
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