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左親指の先。(2024/03/19)

先日、包丁で切った左手の親指の傷を見てもらいに病院に行った。患部に当てていたパッドを取ってもらうと、薄く新しい皮膚が傷口を覆っていた。看護師さんに、どうでしたかー?と聞かれて、なにもできなかったっす、と答えると、その人は笑っていた。


先日、名前のないごはん会というものをやった。とくに意味はなく、ほんとうに名前がなく、この催し物をどう名づければいいのだろうということだったので、もうそれを言ってしまえということで、そんなイベント名になった。でもただごはんと飲み物を持ち込んで、みんなでおしゃべりしながら飲み食いしようぜ、という内容だったので、それ以上でもそれ以下でもなく、お誘いした友達からこそっと「これってどういう会?」と聞かれる。いろいろと経緯はあるのでそれを説明しつつ、まぁみんなでだらだらおしゃべりしながら飲み食いしようぜっていうところかしら、と答える。

なんか最近そういうことばっかりやってると自分でも思う。


先日、いつもお世話になっているHIROSAKI ORANDOの感謝祭に行ってみる。地域おこし協力隊時代の妻がここに所属していたので、妻や他のメンバーのみなさんの報告を聞きながら、ふらふらジュースを売る。

感謝祭後の打ち上げでは、お酒を飲みながら友達とひとしきりしゃべる。4月から別な土地に行くその人とは、たぶん親しく話すようになってから1年も経っていない。でも、自分でおもしろいなぁと思っていることを、その人には安心してしゃべることができるし、くだらないことでげらげら笑うことができて、ほっとする。今までのように気軽に会うことは難しいけど、新しい距離感の中でもほそくながくいっしょにやっていければいいなぁと思う。


日曜日、なんだか気が抜けて、とくにそれといったすることもなく、時間が過ぎていく。なにしてたっけ。思い出せない。

あ、お散歩しました。ふらふら歩いてゆるんだ。

昨日もそんな感じだったと思ったけど久しぶりに中三のジュンク堂で本を買ったんだったと思い出す。古川日出男さんと柴崎友香さんの対談がどうしても読みたくて、これも久しぶりに群像を買ったんだった。

明日からちょっと旅に出るので、長い電車で読もうと思う。

今日もなんだか日中はぼーっとしてしまう。仕事しないとなのに。
さて夜はどうなるんだろうな。


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利き手は右手なので、左手の親指を切った時、まぁ利き手じゃないし大丈夫っしょ、と軽く構えていたところがあった。

でも、利き手じゃない左手の親指を切っただけで、生活はずいぶんままならなくなった。

右手でカバーすればいいと思っていたけど、左手には左手にしかカバーしえないところのものがあるはずで、それは利き手といえども右手にはカバーすることの叶わないところのものだった、ということがわかった。

患部を保護していた包帯が汚れたので、今日の午前中また病院に行って、新しい包帯を巻いてもらった。

お、よくなったねぇ、と言われ、うれしかった。たしかに、先日見た時よりも、新しい皮膚が頼もしい感じになっていた。

でも、まだちょっとよわい感じがあるからもう1週間様子を見ましょう、ということで、新しい包帯を左親指に巻いてもらう。

それは真新しい匂いがする。

鷲田清一さんの新しい本をこの前ジュンク堂に行った時に見つけた。

分厚く重い本だった。

初期のモード、聴くこと、待つこと。
中期のふるまい、たたずまい。
そして今、所有へ。

鷲田さんはずっと、僕が生きてきた年と同じ時間、そちらを向いて考え続けていたんだと知って、とてもうれしかった。

左親指の包帯が取れたら、読み始めたい。

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