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事務事業評価① 事務事業評価とは?

事務事業評価ってなに?

みなさんが収めた税金って実際どういったことにいくら使われてるかって知っていますか?
実はそうした情報は役所が公開している「事務事業評価」を見るとわかります!(事務事業とは役所の仕事の最小単位のことです)
「お住まいの自治体名 事務事業評価」で検索すると誰でも見ることができるので是非検索してみてください。

この税金の使い道を明記した事務事業評価、実は公開していない自治体も多いんです、、
長崎県内だと下の地図でグレーの自治体は事務事業評価を公表していません。


税金が何にいくら使われているのかわからないまま選挙だけ行なっても民主主義が機能しているとはいえません。住民は具体的な税金の使い道について知ることも意見を持つこともできないのです。
長崎減税会は長崎県内の納税者の権利を守るため、事務事業評価の公開を要求しています。
また公開されている自治体でもほとんどが内容が不十分であるため、ブラッシュアップの必要性を訴えています。


事務事業評価の見方

今記事では長崎県の令和2年度の事務事業評価を例にその見方を解説します!
今回参考にするのは以下の事業です。

  • 戦略1_交流を生み出し活力を取り込む

  • 施策(1)2つの世界遺産等を活用した観光地づくりと誘客拡大

  • 事業群(1)価値を正確に伝え守る仕組みづくりの推進

↓こちらのURLをご参照ください。
https://www.pref.nagasaki.jp/bunrui/kenseijoho/gyoseikaikaku-gyoseihyoka-kansa/sehyo/r2hyokakekka/458579.html

事業評価調書

一番上の欄にはこの事務事業に紐づく事業群名、施策名、基本戦略名(政策名)とこの事業群を所管する課などの情報が記載されています。
(政策、施策、事務事業の関係性は下図の通りです)

事務事業の位置付け


続いて計画等概要の欄を見ていきましょう。

計画等概要

こちらにはこの事業群の計画について明記されています。
どうやらこの事業は世界遺産に登録された観光地の保全、広報を目的とした事業群であることがわかります。
指標の項目を見ると、来訪者理解度という指標で評価しているようです。(長崎県のホームページを探してもアンケートが載っていなかったのでどういった内容のアンケートなのかは不明です)
こちらの指標を見てみると実績値を取り始めた平成30年の時点で最終目標の90%を達成しているのでその時点で終了すべき事業だといえます。


次に取り組み実績の欄を見てみましょう。

取り組み実績

今回代表して「事業番号1_世界遺産情報発信事業費」についてみていきます。
事業期間をみると平成19年に開始した事業だということがわかります。
事業費の項目、令和元年度の実績を見てみると5217万の事業費が費やされており、うち一般財源の金額、人件費の金額が明記されています。(自治体によっては何人分の人件費かということまで記載されている場合もあります)
この事業費の項目から、この事業はおよそ5200万円かかっていて、そのうち30%が人件費だということがわかります。

実際に行われた事業内容に関しては「事業概要」に記載されています。

  • ホームページの多言語化

  • パリで長崎のPR

  • 登録までの道のりを掲載した記念誌の作成・配布

  • 長崎・天草のキリスト教関連遺跡群ウェブサイト「おらしょ」の定期更新

  • 登録資産を記載したリーフレットの作成

以上の5点を行ったと書いてあります。
パリのPRを見て長崎まで来た人がどれくらいいるのでしょうか?
税金を使ってまでやるべきことなのか非常に疑問に感じます。。

続いて「指標」の項目ですが、こちらには事業の目標とそれがどの程度達成できたのか調べるための指標、それをもとにした達成率等が記載されています。
活動目標はこの事業にかかったお金が何に使われたのかという指標です。(アウトプット指標と呼ばれます)
成果目標は、実際に活動を行った上でどういった成果が得られたのかを測るための指標です。(アウトカム指標と呼ばれます)
この事業では世界遺産としての価値を伝えるためのパネル展や講座等のイベントにお金が出費されました。
そしてその結果、イベントに参加した人が世界遺産としての価値を94.6%理解することができたそうです。
果たしてこの指標は本当に意味があるのでしょうか?

そもそもどういったアンケートを実施したのか公開すべきだと思います。


一つの事務事業を調査してみた結果、、

今回取り上げた「世界遺産情報発信事業費」という事業ですが以下のことがわかりました。

  • H19年から16年も続いている事業であり、最終目標も達成されているにもかかわらず無意味に続いている。

  • 行政の仕事は税金を原資としているため最小限にすべきだが無駄が多すぎる。

  • 成果指標は住民目線で本当にやる価値のある事業なのかを評価するためのものなのだがこの事業の成果指標は手続主義的なものになってしまっている。

  • 平成28年から成果指標を設定しているのに平成28年と29年は成果の測定を行なっていない上にその理由が明記されていない。

以上の結果から分かるように、事務事業評価を読んでみると税金が無駄遣いされていることがよくわかります。
今回例に挙げた事業が特別なわけではありません、ほとんどの事業がこういう状況なのです。
皆さんが事務事業評価に関心を持ち、税金がどういった使われ方をしているのかチェックすることで無駄な支出がしづらくなり、不要な増税を回避できるようになります。
一緒に長崎の税金の無駄遣いを減らして、その分を取り返しましょう!

最後までお読みいただきありがとうございました!
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参考文献
上山信一. 「行政評価」の時代―経営と顧客の視点から


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