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サンフレッチェ広島の現在地となでしこジャパン

 2023シーズン、サンフレッチェ広島は停滞している。シーズンスタートは初勝利に時間がかかったものの、カップ戦を皮切りに幾度かの連勝を経て5月7日のアビスパ戦を終えて3位にいた。この頃は昨シーズン同様に今シーズンも最後までタイトル争いに絡んでくれるだろうと思っていたが現実はそう甘くはなかったのだ。

 5月7日の第12節は勝利こそしたがチームの主力であるMF 満田が負傷し長期離脱になる。内容は右膝前十字靭帯部分損傷と今シーズンの復帰は絶望的なものであり、それからのチームはどうにも調子が上がらない。6月の代表活動ウィークにはGK 大迫はもちろんのことMF 川村が初選出されサンフレッチェ広島に明るいニュースが飛び込んだが喜びもつかの間、川村が体調不良により離脱することになり、念願の代表活動はわずか1日の練習のみという結果に終わった。

 代表活動ウィークからリーグ戦再開までには川村は回復しスタメン出場をしているが、どうにもコンディションがMAXまで戻っていないように見える。満田のいないチームを牽引しようと奮起していた川村だが、そのプレッシャーなどにより疲弊していたのだろう。そして調子の上がらない川村に追従するかのようにチーム内に体調不良者が続出し、監督まで体調不良により試合の指揮が出来ない状態に陥った。監督不在かつメンバーも大幅に入れ替えらずを得なかった第20節はリバウンドメンタリティもあり鹿島相手に引き分けに持ち込み大きな勝ち点1を掴んだ。

 しかし、やはり調子が上向かない。夏の中断期間には体調不良者は回復し満田以外は元のチーム状態に戻り、後半戦の巻き返しを誓い練習に励んでいた。チームが勝てない原因として決定力不足が課題として浮き彫りになっているなか、セレッソ大阪からFW 加藤陸次樹が完全移籍でチームに加入することになる。加藤は昨シーズンタイトルを獲得したルヴァンカップ決勝戦にて先制点を決め我々サンフレッチェ広島を一時絶望させたFWであり、サンフレッチェ広島アカデミー出身者である。Jリーグ屈指のFWである加藤の加入に広島は活気づいたがまたしても喜びは束の間、サンフレッチェ広島の10番、MF 森島が名古屋グランパスへ完全移籍してしまう。

 森島の人気はチームナンバー1。選手としてのクオリティは非常に高く、いろんな意味でチームの顔であっただけに彼の移籍は非常に痛く、チーム力低下は否めない。そんな中迎えた中断開けの第22節は最下位の湘南ベルマーレに敗戦してしまう。この試合内容はまさに勝てないチームの内容であった。合流したばかりの加藤がフィットできないのは仕方ないが、単調なサイド攻撃と質を欠いたシュート、そしてカウンターから失点。相手GKの好パフォーマンスがあったが、それでも中盤から切り裂くようなスルーパスや裏抜けするFWに合わせるスルーパスやロングボールはなく観ていてワクワクするゲームとは程遠いものだ。チームの調子が上向かない時というのはこういうものだろう。

 今シーズンは既にルヴァンカップも天皇杯も敗退し残すところリーグ戦のみで現在9位。来シーズンはいよいよ新スタジアムでの開幕だ。そんな記念すべきシーズンをJ2で迎えることがないように残りのシーズンは少しでも順位を上げられるように頑張ってもらいたい。

 そんなサンフレッチェ広島の状況とは正反対とも言えるのが日本女子代表 なでしこジャパンだ。現在、女子サッカーはワールドカップがオーストラリアとニュージーランドで行われており、そこでなでしこジャパンが快進撃を見せている。グループステージは無失点&複数得点で3戦全勝。決勝トーナメント1回戦では優勝経験国ノルウェーに3-1と勝利しベスト8に駒を進めているのだ。そしてこの結果以上に内容が非常に良く、観ていて本当に面白いゲームをしている。

 明日11日は16:30からベスト4をかけてFIFAランク上位のスウェーデンとの一戦が行われる。非常にクオリティの高いゲームが予想され楽しみで仕方ないが、この試合も彼女達は乗り越えその先に優勝してしまうのではないかと期待している。本気でそう思えるほど今のなでしこジャパンは強く、チーム力はワールドカップを制した2011年のそれよりも間違いなく上だろう。再び女子サッカーが盛り上がるきっかけは既に出来上がっていると思うが、やはり優勝するとしないでは盛り上がり様も持続期間も違うため、是非とも優勝してもらいたいと願う。

ODA SYCLE
小田


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