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#0123 「あずましい」社会を構築する:社会的共通資本

こんにちは。いかがお過ごしでしょうか。

4月は資本主義について勉強したり考えていました。
私の中では、最終的にポランニーの「悪魔のひき臼」というのが、ガツンと来まして、資本主義の特徴をひと言で表していて、市場経済放任主義を通していくと、あらゆるものが「悪魔のひき臼」に飲み込まれていって、人類は生きづらくなるなと思いました。
(※タイトルの「あずましい」とは、北海道弁で「心地良い」「居心地が良い」という意味の言葉です。)

そして、やはりポスト資本主義的なことを考えてしまいます。
それは資本主義を否定するというよりは、資本主義を少し加工・修正するようなイメージでしょうか。

そこで今の資本主義に何を加えたら良いかなと考えた時に、よく木下斉さんがvoicyで取り上げている社会的共通資本という考え方にヒントがあるのではないかと思い、いま宇沢弘文先生の書いた『社会的共通資本』を読んでいます。

まだ前半までしか読み進められてませんが、読書ノート的に書き起こしてみたくなり、社会的共通資本の考え方について整理して、さらにジブン株式会社経営にどう活かすことができるか考えてみました。

「社会的共通資本」とは、私たちの生活を支え、豊かにするために不可欠な資本であると言えます。

私たちの生活の質を高め、将来世代にも持続可能な環境を残すためには、自然環境、社会インフラ、教育や医療などの制度が整っていなければなりません。

これはまさに「悪魔のひき臼」によって商品化されてしまう我々の社会基盤であり、社会的共通資本を守り生かしていくことが、これからの時代に大切になってくるのではと思うのです。(3764文字)


○社会的共通資本の3大要素

社会的共通資本は、「一つの国ないし特定の地域に住むすべての人々が、豊かな経済生活を営み、優れた文化を展開し、人間的に魅力ある社会を持続的、安定的に維持することを可能にするような社会的装置を意味する。」と宇沢弘文先生は定義しており、私たちが生活をするうえで必要な環境の基盤となる「自然環境、社会的インフラストラクチャー、制度資本の三つの大きな範疇に分けて考えることができる。」としています。

はじめに

・自然環境(大気、森林、河川など)

社会的共通資本の最も基本的な要素であり、水、大気、土壌など、私たちの生活に直接的に影響を与える自然資源をいいます。これらはただ存在するだけでなく、適切に管理され、保護される必要があります。

・社会的インフラストラクチャー(道路、交通機関、公共施設)

道路、交通機関、上下水道、電力、通信といった社会インフラは、日常生活、経済活動を支えるために不可欠です。これらのインフラが充実していることで、地域社会は繁栄し、経済は成長します。

・制度資本(教育、医療、司法など)

教育、医療、司法、金融などの制度は、社会の公正と効率を保つために重要です。これらの制度が機能することで、私たちはより良い生活を送ることができ、社会全体の安定が保たれます。

これらの要素は、社会的共通資本の概念を構成する柱として、私たちの生活の質を向上させ、将来への持続可能な発展を促します。

木下さんも、この3つの資本を経営的に活かしていき、資本の循環を作っていくことを提言されていますね。

○社会的共通資本の経済的・文化的価値

社会的共通資本は、単に物理的な資源や制度に留まらず、豊かさや文化的な繁栄にも深く繋がっていきます。

  1. 経済的価値: 社会的インフラストラクチャーの整備は、企業の活動を促進し、新たなビジネスチャンスを生み出します。また、良質な教育や医療システムは、公平な制度のもとで誰もが教育や医療にアクセスできることで、社会全体として高い生産性と創造性を持つ労働力を育成し、経済成長を支えていきます。

  2. 文化的価値:経済成長により得た富の分配・投資により、地域の伝統や芸術を保存し、新たな文化を創出する力を生み出します。これにより、地域固有のアイデンティティが育まれ、国内外の観光客を惹きつけるとともに、そこで暮らす人々の繋がりを形成していきます。

社会的共通資本の経済的および文化的な価値は、それ自体が持続可能な発展の源泉であり、全世代にわたって豊かな生活を営むうえで重要な基盤となります。

○社会的共通資本の管理と持続可能性

社会的共通資本は、中央集権的な国家権力や利潤追求の対象として市場的な条件によって左右されてはならないとされ、専門的な知見による適切な管理と職業的規範の適用による管理が必須と宇沢弘文先生は指摘します。

これは例えば「協同組合」「寄合」「町内会」こうしたものが当てはまるのではないかと思います。また、第2章「農業と農村」で「社」という概念が解説されていますが、「社」も当てはまると思います。

また、私たちが求めている経済制度は、資本主義か社会主義かという二項対立でもなく、一つの普遍的な、統一された原理から論理的に演繹されたものではなく、「それぞれの国ないし地域のもつ倫理的、社会的、文化的、そして自然的な諸条件がお互いに交錯してつくりだされるもの」と指摘しています。

社会的共通資本の所有形態も、「私有ないしは私的管理が認められていたとしても、社会全体にとって共通の財産として、社会的な基準にしたがって管理、運営されるものである。」としています。

なので、地方自治体とは異なる協同組合や寄合みたいな組織あるいはDAO的に構成された地域プラットフォームが、そこに暮らす住民から社会的共通資本を管理運営する信託を得ている、そんな構図を想起しました。

  1. 専門的管理: 各分野の専門家が、その知識と技術を活用して社会的共通資本の質を高め、その利用を最適化します。例えば、山をどのように管理していくか、祭りをどのように管理していくかなど。

  2. 持続可能な運用: 社会的共通資本は、現代だけでなく未来の世代にも利益をもたらすよう運用されるべきです。山に太陽光発電所を作るのではなく、林業や山菜とりなどで恵みを受けつつ、保水機能を保つための手入れを継続する。寄付を募り祭りの運用を通じて地域に富の再分配を行う。など。

社会的共通資本の持続可能な管理は、私たちが基本的権利を享受し、質の高い生活を送るための社会的基盤を守ることであるとも言えます。

○ジブン株式会社経営への活用

日本のような地域社会に根差した文化では、社会的共通資本の意識が特に重要です。個々人が「ジブン株式会社」の経営者として、自己のスキルや知識、関係性などを資本と捉え、それを活用しつつ、地域や社会全体の利益にも寄与することは、日本の持続可能な発展のために不可欠です。

聴きながら取ったメモ(汚い)
真ん中らへんに書いた「循環」がまさに「持続可能」を実現すると思う

社会的共通資本を活用するジブン株式会社経営

この1~4の循環を作り出すことが重要になってくると思います。

  1. 自己資本の活用と拡充: 自己の能力や経験、知識などの個人資本を積極的に磨き、拡充することが重要です。これには、継続的な学習やスキルのアップデートも含まれます。

  2. 社会的共通資本の利活用(引き出し):社会的共通資本を自己資本の活用・拡充、ビジネスの展開のために利活用します。その際、その活動が地域社会(組織)にどのように貢献できるか、社会的共通資本を将来の人たちが使えるようにしていくにはどうしたら良いかを考えることが重要です。その際、個人だけではなく、地域コミュニティや事業者・団体との連携を深めることで、相互の利益を増大させることができます。

  3. 社会的共通資本への貢献(預け入れ): 自分の事業や活動を通じて、社会的共通資本に貢献します。これは、環境保護、教育プログラムへの参加、地域の催しの企画・参加など、様々な形で実現できます。

  4. ポジティブな影響の創出: 活動を通じて、地域社会や組織の中にポジティブな影響を与えること。これにより、地域社会や組織からの支持を受けやすくなり、仲間が増え、さらなるチャンスを生み出すことができます。

地域社会における評価の重要性

地域社会(組織)からの評価が高ければ高いほど、その事業や活動はより多くの支持を得ることができます。これは、社会的共通資本のさらなる蓄積につながります。社会的共通資本は、個人の利益だけでなく、全体の利益にも寄与するため、社会全体の発展に貢献することができるのです。

これらの取り組みを通じて、一人ひとりがジブン株式会社の経営者として自己の能力と地域社会(組織)のニーズを繋げることができれば、持続可能な社会の構築に向けた大きな一歩となるでしょう。

○まとめ

社会的共通資本は、私たちの生活の質を支え、文化的繁栄と経済成長を促進するために不可欠です。これらの資本の持続可能な管理と発展は、現代社会だけでなく未来にも大きな影響を与えます。
資本主義は好きです。但し、そのまま市場放任主義では、あらゆるものが商品化されて、我々は息苦しさを憶えるようになります。自由市場と社会基盤のバランスを維持するためにも、社会的共通資本の考え方が必要ではないでしょうか。

この記事を通じて、社会的共通資本の重要性を理解し、それぞれが持続可能な社会の構築に積極的に参加するきっかけになれば、とても嬉しいです!

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