見出し画像

冬の幽霊【詩】

午前5時の夜灯
今年最初の雪に包まれた世界は
ぐっすり眠って寝息も聞こえないや
「ぼかぁ独りになったみたいだ」
誰も聞いちゃくれない独り言をいいながら
白に塗りつぶされた路地を歩く
足跡は僕独り分で
蛾も飛ばない灯りだけが僕の道標(みちしるべ)

雪が音を独り占めしてしまうから
僕の声が、白いため息になって溶けていく
インターネットの人たちは、全部僕の妄想だし
星は冷たく光るだけで慰めてくれない
雪の結晶が、
僕の心の中まで凍らせる

ぼかぁ独りぼっちの幽霊だから
ネットに呟いても、誰からも気づいちゃ貰えないや
現実(リアル)では独りじゃないって思いたいけど
雪で世界は滅亡しちゃったみたいだからさ
寂しいなんて言葉も気持ちも
雪で塞がった口じゃ言えないや

夜明け前の藍の世界
白と青と僕だけの世界に
古いコカ・コーラの自動販売機が飛び込む
いつもより艶っぽい赤色
きっと今日だけの特別な赤だ
寒くって鼻水が垂れそうになった
売切の赤色に照らされるパネルに
同じ色の鼻が反射してる

自動販売機が近所の誰かと犬の足跡を照らしてる
見えない二人が、
白い息を吐いて通り過ぎた気がした
凍った心に火が灯る
僕の足跡は、この足跡とどこかですれ違うかな

ぼかぁ独りぼっちじゃなかっみたいだ
みんな籠って出てこない
見えないけど
あったかい気持ちが幽霊になって歩いてる
本当はずっと傍にいてくれたんだね
足跡の隣は、ネットの中よりあったかいや

雪が僕を独りにする
雪が透明な誰かを連れてくる
足跡と、自販機の売り切れのランプ
見えない誰かが、
本当に振り向いた気がした

最後までお読み頂きありがとうございます! 楽しんでいただけたのなら幸いです。 よい1日を🍀