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2030年までに日本政府が作ろうとしている医療情報プラットフォーム③

前回は、「2030年までに日本政府はこんなことをやろうとしているようだよ」という事を学びました。

今回は「未来の日本の医療システムはこうなるんじゃない?」という予想をしていきたいと思います。

この予想には、今現在開発されている新しいテクノロジーやAIを用いたサービスも含まれています。これらは専門家いわく、「すでに技術としては確立されているものの、法律や制度が追い付かないために実装されていない」サービス達です。

2030年までには議論が進み、これらの画期的な技術やサービスが導入されていくことを願っています。

①初診の場合

病気かな?と思ったら、自宅からAI問診アプリで相談します。

この時点でAIがいくつかの病名候補を絞るので、それに基づいて受診すべき診療科と、位置情報からおすすめの病院が提示されます。将来はセルフメディケーションが進み、明らかな風邪などの軽微症状の人は診察へ進めないと思います。

AI問診システムは、スマホやPC、専用のタブレット端末から質問に答えていくことで、事前に問診を行うことができます。これによって言い忘れや伝え漏れが減り、さらにこの時点で症状と関連する病名を調べることができます。

次に受診したい病院を選び、希望する日時を指定。医師の予約枠が空いていれば自動で予約を取ってくれます。

指定された日時に病院へ。マイナンバーカード(この頃にはスマホに格納)をかざして受付完了。

現在の紙の保険証では膨大な手間とコストがかかっている資格確認作業(健康保険加入者かどうか、有効期限は過ぎていないかなどの確認作業)も、保険証がマイナンバーカードと一体化することによってあっさりと自動化。コストとマンパワーの削減になるほか、ワンタッチで受付が完了します。

医師はすでにAI問診の際に入力された症状や、ポータル内に事前に登録されている既往歴、手術歴、服薬中の薬などの情報を取っていて、それらを把握している状態で診察開始。問診内容から導き出された病名候補も医師に提示されています。

ちなみに、この時医師は自宅からオンラインで診察中かもしれません。遠隔地の医師がヘルプで勤務していたり、子育て・介護中の医師が遠隔で診療にあたっているかも知れません。病院には緊急時に備え1人だけ医師がいればよい訳ですね。

AI問診の時点から変化したことがないかなど確認し、検査へ。
この時には顔色や呼吸の様子など、医師が目視で感覚的に把握しているような情報も、画像処理技術の発達によってリモート診察でも拾えるようになっています。そしてAIは病名候補から、診断に必要な検査まで医師に提案することができます。

病名確定。
この病名確定だけは、責任の所在という意味で医師が行います。治療計画もAIが提案してくれると思うので、医師はそれに基づいて薬の処方などを行い、電子処方箋を作成しポータル内へあげておきます。

薬は自宅に届けてもらうことも可能。
患者は好きな薬局へ行き、マイナンバーカードを提示して薬剤師からの指導を受け、薬を受け取ります。もしくは、すぐに自宅へ帰ってしまって、薬は自宅まで届けてもらう(薬剤師とはリモートで服薬指導を受ける)ことも可能です。

支払いは自動で。
いずれも会計はマイナンバーカードに紐づけているクレジットカードなどで自動的に決済されます。

このAI問診技術やAI診療補助によって、医師の患者一人当たりの診察時間は平均6分短縮されるのだとか。現在、外来診療での一日の医師の平均診察人数は40人程度らしいので、1日240分(4時間)の短縮になります。

②服薬治療中

治療期間中は、症状の変化や薬の副作用などをポータル内に記載しておきます。これも医師と共有できるので、次回診察時の重要な情報になります。

③再診の場合

医師に指示された時期を目安にふたたびポータル内で予約を取ります。

予約した日時にリモートで診察(再検査や処置の必要がある場合は病院で再診)

自宅へ薬が送られてくる。

このように、特に継続して服用している薬をもらうだけの再診なら、リモート診察のみで可能になれば、かなり効率化した運用が可能になります。
病院までのアクセスが不便だったり、移動に不安があったり、忙しかったりしても、今以上にクオリティの高い医療を受けられるようになりますね。

さらに言えば、初診の時点でAIによって軽度の病気であることが分かれば、そもそも病院に受診しないという選択肢もあります。

実際にイギリスでは、このAI診断チャットボットによって半数の人が受診を取りやめ、医師の過重労働削減や、医療コスト削減に大きく貢献しているのだとか。


3回にわたって、未来の医療システムについて学んでみました。

患者は便利になり、医師は過重労働から解放され、国の医療費は削減できるという三方良しの未来像のようですが、ここまで到達するのに日本はあと何年くらいかかるでしょうか。

多くのハードルがあるような気もしますが、その一つが私たちの「新しいものや変化を受け入れられない心理的抵抗感」かもしれません。

私たちにとっては「目新しいもの」でも、一部の国では「すでに社会実装されている普通のもの」

これが分かっただけでも、今回の学びは意味があったなと感じました。

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