北村灰色

詩や小説、短歌、詩画、朗読、詩画。 器楽・即興演奏、宅録等で表現している。 「文芸思潮…

北村灰色

詩や小説、短歌、詩画、朗読、詩画。 器楽・即興演奏、宅録等で表現している。 「文芸思潮」現代詩賞 第十一回、第十三回・入選、第十四回・奨励賞、第18回・優秀賞 ブックショート2015 12月期 、2016 3月 優秀作品等 https://youtu.be/B3MVQl9KdXI

最近の記事

薙刀ヲ解体スル少女ノ瞳

仄紅い水底、揺れる水彩色 秋の牢獄から脱獄した影が彷徨って 儚き季節は褐色肌の亡骸と化した 血塗れの刃先を寒風に晒したまま かつての無垢なる赫を嘲笑うことすら 誰にも止められなくて…… 「咳ヲ縊スルルハトホキ秋ノユメ」 白痴の輪花が咲き踊り 薙刀を解体する少女の眼に蟻地獄宿る 無感動な警報と街灯は 未だに揺らめきを繰り返すから 蠶――__/-させなければならなかった 終わりの無い地図に隠された秘密と血痕 逢魔染の介錯、薙刀に塗られた隠蔽も__ そう、廻間の積み木遊びは蒼白さに

    • サンキュー、前橋ポエトリーフェスティバル

       季節はずれの茹だるような暑さに覆われた土曜日に、前橋ポエトリーフェスティバルのメインイベントである、「ポエトリーリーディングin前橋文学館」に参加した。  文学館には初の参戦にして、まさかの大トリを務めさせて頂くことになったという、とても楽しみな反面、否応なく緊張が何重にも重なる立場だった。  けれど、演者も観覧者も多くの人が、俺に対して親しみを持って接したり話しかけたりしてくれて、本当に嬉しかったしありがたくて、イベントが進むにつれてその緊張は徐々に解れていく。  実は数

      • 前橋ポエトリーフェスティバルへの参加・出演

        5月12日〜26日における、前橋ポエトリーフェスティバルに参加・出演するので、それらの告知を綴ります。 因みに本イベントの「ポエトリーリーディングin前橋文学館」では、僭越ながら大トリを務めさせて頂きます。 ◎参加 自作短歌と私が撮った写真を組み合わせた作品を、市内の店舗に展示させて頂いております。拙作は角田時計店で観られるので、興味のある方は是非。 瑞々しい写真と、普段の作風とは異なる、穏やか且つ柔らかな歌となっています。 ・『風』の詩と写真街なか展覧会 会場:前橋中央

        • 薄羽蜉蝣の記憶

          血小板の夕餡が融解して 試験管に浸る糖は、致死量を超えて夜を忌避する。 心のシャッターに幽かに刻まれる爪痕 掻き毟るような死への欲動は、 浴槽に投げ込まれた造花が魅せる快楽と夢 呼吸を審判する水の中には 錆びることのないナイフが揺らいで__ 彼方の警告音 泡沫に眠る雲に簪させば 不穏なる空はそっと刃先を奔らせる 不協和音の交響曲と鴉の断末魔 悲劇は足音もなく…… あまりにも澄んだ化学式を伴って、此処に。 いつか、「解放されてしまった理科室」 切り裂かれた季節は血を抑えることな

        薙刀ヲ解体スル少女ノ瞳

          蝶尾出版『開かれた窓』 掲載のお知らせ

          5月1日に蝶尾出版から発刊される『開かれた窓』に、私、北村灰色の原稿用紙詩画とスケッチブック詩画の2作品が掲載されます。 フルカラーとなっており、俺の強みの一つである色彩感も堪能出来ると思います。 また、Amazonも含めた全国流通となり、様々な書き手の表現作品が読める文芸誌となっているので、是非手にとって読んで頂ければ幸いです。 https://twitter.com/tyoubi_co_1020/status/1785086646700085534?t=VHqK3VoE

          蝶尾出版『開かれた窓』 掲載のお知らせ

          59階のミッキーマウス

          不可視の亡霊に浸された街は機械のドレスを纏う。好奇揺らめく瞳に注がれる、不明瞭のスピリタス。 全ての時計は針が歪んで……私は彼方から混線する、赤子と鴉の啼き声を虚構だと感じることができない__ 艷やかなマーマレードが憂秋の牢獄から放たれた。 マ・マー・パスタの注射針 偽装型マーガリンと拳銃を抱えて マーケット✠クレーマーと立入禁止の屋上 真新しいラストシーンが反映されないミニシアター 誰もいない10階のスクリーンを夢遊病みたく彷徨う 淑やかに、甘美を帯びたまま―― やがて偽装

          59階のミッキーマウス

          泡沫の花いちもんめ

          炭酸水の雨が境界線上の蟻を拐かす 跳ね回る罠の甘美 溺れ痴れる漆黒 歩道の無垢なる長靴に穴が空いて 六歳の隊列の行進が乱れゆく 赤い靴、異人の右手 左手の痕跡に突き刺さる安全ピン 遺影と花瓶の罅 入学式に砕け散った鼈甲飴 赤蟻の手錠を傍観する教員免許 赤を重ねた赫が齎すのはきっと―― 罪を悔やめば花いちもんめ 君を殺めば花いちもんめ 包み紙に仕組まれた悪意と職員室 理科室のクロロホルムが記憶を融解して 匿名の新聞記事を延々と校正する。 「音素文字の壱参」 彼のかくれんぼは鬼の

          泡沫の花いちもんめ

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          北村灰色による詩画 三選

          北村灰色による詩画 三選

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          詩誌掲載のお知らせ

          『文芸思潮 91号』に今年度の第十九回現代詩賞において奨励賞を頂いた拙作、「新宿駅、午前二時」が掲載されました。 過去に表現や人生における挫折や壊れてしまった事とか、色々改めて書き伝えたい事柄はあるけれど、それはまた別の機会にということで、今回の詩誌掲載が近い内に名を上げる狼煙になる気がするので、多くの人に本誌や俺の作品を読んで頂ければ幸いです。 また、少し先になりますが、5月1日に蝶尾出版社様より発刊される『開かれた窓』に、私の原稿用紙詩画とスケッチブック詩画を掲載して頂

          詩誌掲載のお知らせ

          茫漠の桜花爛爛

          桜花爛爛染まる血汐に華やいで 触れる指先青く悦ぶ ――蒼き夕暮れの舞踏会は 曖昧な死を描く抽象画から零れ落ちた 「最期の一滴のクランベリー」だと笑うのは 此処に遺された空白の棺桶と 【名も無き墓標】だけだったから 柔らかなシーツに溺れる君とロゼワイン 余りにも穏やかな呼吸停止を ただ暗い目をして傍観することしかできなかった (沈黙に浸るサイレン) 最期を告げる慟哭は狂う憐憫、記憶__ 忘れた茜色を君が振り翳すナイフが描きだして。 左手__それでも夢うつつは淡くゆらめくだけ

          茫漠の桜花爛爛

          崩れ落ちるラストダンス

          変容を繰り返す黄昏に、 暗澹たる針時計は狂うまま―― ――然し穏やかに世界は轢断された 「全容の無い逢魔が時を彷徨う君は、赤いランドセルの巡礼者みたいだね」 そう嘯き肩を叩くのは、夜を纏う異邦人だから…… あの日の色毒に季節は昏倒し、 或る日の色彩に排斥は哀悼すら、 瞬く間に「3」の火種へと変換する レンズ罅割れ、空は渇ききって やがて私の薬指が幽かに痛んで 爪先は救済無き砂漠の色を零す__ 「青ざめたスクリーンから這いでる6の愛欲に色彩を求める骸骨はその左手を欠落したまま

          崩れ落ちるラストダンス

          モノトーンに溺れる絵筆

          業火の縹靑/燐藍 火傷に彩られた青蔦 火刑に陥った水面は、未だに翡翠色を保ったまま 白日の焼け跡だけが、眩いほどに鮮やかで―― ――訪れた宵闇に彼岸花咲き誇り 祈りの様な10/0.7の狂炎が 酩酊に浸された如月を柔らかに抱擁した__ 0.7 0.2 0.0 0.1 0. 霞みゆく左眼の記憶に収斂されし、鮮烈な水彩画 木枯らしに滅び去った世界に 幽かな奇数の照光が射し込む 枯葉、或いは朽ち果てた亡骸に 手向ける造花の花束を求め 彷徨う巡礼者にとって、その光はあまりにも鋭く __

          モノトーンに溺れる絵筆

          絶望の灯火揺れて夜を往く浅き夢見し縊死せよ乙女

          籠女は茜雨に草履を失くし 手を伸ばせば届く琥珀の光に触れず 「君の首切り裂く季節ピアノ線 蒼に隠れて揺らめくまま」 ――そう、死者の花束はいつも山茶花だった 雨音揺らめく追憶、彼岸花の嫉妬 黒い葬列が赤く変容する時 炭化した朝焼けに手錠煌めく 静かな警報、映写機の奸悪 君が裸足の理由はないから 君に硝子が刺さる理由は―― 「薄荷飴うつろう刹那夏忘れ サンダル捨てた歩道の死者」 無言の喧騒、ザザ降り雨、群青、 右の耳鳴りが止まない 風雨に切り刻まれながら 車道でシャボン

          絶望の灯火揺れて夜を往く浅き夢見し縊死せよ乙女

          黄昏の蒼に轢かるる夕陽の眼零れたミルクすくわれぬまま

          左目に映る硝子世界に二重瞼は脆くも崩れ 右の君のステンドグラスとノスタルジアは 空白に17:09の水彩画を染みこませて 「誰か」を望む奇数番地の住宅街 転がる三輪車、錆びついたシャベル 子供の悲鳴はいつも悪意に浸されているきがして 私の唇から夕闇色の血が滲む 嗚咽すらなく、永遠に開かない鍵に爪痕を遺すのは あの日を繰り返す少女の記憶だったから―― 暗い影が這い回る共同墓地 心臓を象る甘味料とプラスチック バレンタインの祈りを捧げるのは 限りなく茜色に近い蒼だった 夕刻(だけ)

          黄昏の蒼に轢かるる夕陽の眼零れたミルクすくわれぬまま

          夜伽の風鈴砕けて

          歩道橋の水平線上 焼けつく夕日に手を振るのは いつも日々の泡だった 彼方を彷徨う「墜落を夢見た亡霊」 硝子のような夕刻と夜伽の障子 さし込まれる刃先に映る人々は 今日も無観客試合を演じて 最期に遺るのは始発電車の放つ 無呼吸の悲鳴だけだ、と…… 落花生散らばる鳥居の境界線上 一輪の椿と零れ落ちる右眼 未だに鳴り止まぬ偏頭痛を模した笛太鼓 向日葵を焦がした裸の太陽に 不敬罪の敬意を示さなければ 君は藍色の陰画のまま―― ――君は轢断欠席のままだよ? 傍らに立つ断頭台の女 或いは

          夜伽の風鈴砕けて

          Air Sketch Construction Set

          出血と共に平穏な新緑は不穏を帯びる 転倒したままの兎と亀 埋葬される広辞苑 轢断されしミルフィーユから滴るのは―― クラクションが告げる刑期 過ぎ去るポートレイトとフラッシュライト 二文字患いを×××してしまう花片と匕首 終焉に向かう春風に、誰がシアンを混入したの? 暁に変異してゆく桜花水色 彼方の蝋燭に火が放たれて 世界は牢獄と化した (懲役を傍観し懲役の懲役を苦役が) ヴァースコーラスヴァースの方程式にうんざりして (懲役と懲役は兵役の懲役が懲役を) それでも繰り返す、あ

          Air Sketch Construction Set