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Q3決算発表! 人気高配当株 KDDI 最新の決算&財務諸表を解説 2024年2月

人気高配当株、KDDI

今回は、人気の高配当株で、2024年2月2日に決算を発表したKDDIの最新の決算と財務諸表を解説します。

KDDIは日本の大手通信会社で、携帯電話、固定通信、インターネットサービスを幅広く提供しています。

特に、auブランドの携帯電話サービスは日本国内で高いシェアを誇り、革新的な技術とマーケティング戦略で知られています。

基本情報は、こちらの表のとおりです。

この記事を読めば、KDDIの株を買うにあたって、最低限知っておくべきKDDIの業績や財務状況を把握することができます。

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株価のパフォーマンス

KDDIの株価のパフォーマンスは、こちらの表のとおりです。

また、過去5年間の株価のチャートは、こちらのとおりです。
株価は右肩上がりであり、現在の株価は高値圏にあることが確認できます。

予想PERの推移

2024年2月2日現在のKDDIの予想PERは15.4倍で、これは過去1年、2年、3年の平均値(それぞれ13.9倍、13.8倍、13.2倍)および全期間平均値(12.4倍)を上回っています。

特に直近の予想PERの上昇は、同社の株価が利益に対してより高いプレミアムを付けて取引されていることを反映しています。

このように、期間を通じて予想PERが上昇していることは、市場の期待が高まっていることを示しています。

実績PBRの推移

2024年2月2日現在、KDDIの実績PBRは1.99倍で、これは過去1年、2年、3年の平均値(それぞれ1.83倍、1.84倍、1.78倍)と全期間の平均値(1.71倍)を上回っています。

この上昇は、市場がKDDIの純資産に対してより高い価格を支払っていることを示し、株価評価の向上を反映しています。

年間配当と配当利回りの推移

KDDIの年間配当額は2020年の115円から2024年2月2日時点で140円へと順次増加していますが、配当利回りは3.61%から2.84%へと減少しています。

この変化は、配当額の増加にもかかわらず株価の上昇により配当利回りが減少していることを示しています。

総還元性向とは?

総還元性向とは、会社が儲けた利益を、配当や自社株買いという形で、株主に対してどれくらい還元しているかを表す指標です。

総還元性向が高いほど、株主還元に力を入れている企業であることを示します。

ただし、株主への還元が多いことは、設備投資などに使用できる資金が少なくなる可能性があります。

総還元性向

KDDIの総還元性向は2019年の66.5%から2023年には81.0%まで増加しています。

2020年と2021年には一時的に総還元性向が減少しましたが、2022年と2023年には大幅に増加しています。

また、KDDIの株主還元については、「配当性向40%超」と「利益成長に伴うEPS成長」の相乗効果により、今後も、持続的な増配を目指すこととしています。

なお、KDDIは、2002年度より21期連続の増配を実現しています。

最新の決算

KDDIは、2024年2月2日に2024年第3四半期決算を発表しています。

24年3月期第3四半期累計(4-12月)の連結最終利益は前年同期比2.3%増の5455億円となり、通期計画の6800億円、前年比0.4%増に対する進捗率は80.2%となり、5年平均の82.1%とほぼ同水準でした。

直近3ヵ月の実績である10-12月期(3Q)の連結最終利益は前年同期比0.9%減の1768億円となり、売上営業利益率は前年同期の19.8%から19.3%に低下しました。

マルチブランドIDの数は3,106万件となり、期初予想の3,100万件を前倒しで達成しました。

なお、マルチブランドIDとは、KDDIのau、UQ mobile、povoの課金ユーザーを指します。

同社は、通信の大容量化に伴い、auやUQの中大容量プランが選ばれていると説明しています。

セグメント別の業績

KDDIは、auなどのパーソナルセグメント、法人向けの通信サービスを提供するビジネスセグメントなどのセグメントを持っています。

2023年第3四半期のセグメント別の売上高はこちらの表のとおりです。

KDDIのセグメント別売上高において、パーソナルセグメントが約1.2兆円で、セグメント別売上全体の約77%を占めています。

これらの数値から、KDDIの事業が主にパーソナルセグメントに依存していることがわかります。

第3四半期単体のセグメント別の営業利益と前年同期比の成長率はこちらの表のとおりです。

KDDIのセグメント別営業利益では、パーソナルセグメントが前年同期比で2.26%減少した一方で、ビジネスセグメントは11.38%増加し、その他のセグメントは178.08%の大幅な増加を遂げました。

しかし、全体としての営業利益は0.78%の小幅な増加にとどまっており、これはパーソナルセグメントの減少が他のセグメントの成長によって一部相殺された結果を示しています。

こちらが第3四半期単体のセグメント別の営業利益率です。

KDDIのセグメント別営業利益率を見ると、パーソナルセグメントが最も高く18.5%です。ビジネスセグメントも17.5%と高い収益性を持っていますが、その他のセグメントは10.7%と比較的低いです。

マルチブランドID

2022年12月の3,071万から2023年12月にかけてKDDIのマルチブランドIDは徐々に増加し、3,106万に達しました。この期間中、特に2023年3月には0.55%、12月には0.39%という比較的高い成長率を記録しました。

この増加はKDDIの複数のブランド戦略が順調に推移していることを示しており、これらのサービスがユーザーに広く受け入れられていることを反映しています。

総合ARPU収入

KDDIの収入構造において「通信ARPU」と「付加価値ARPU」は重要な要素です。ARPUは「Average Revenue Per User」の略で、一人当たりのユーザーからの平均収益を意味します。

通信ARPUとは、KDDIのユーザー一人当たりから得られる平均的な通信サービス(携帯電話、インターネット接続など)に関連する収入です。

高い通信ARPU収入は多くの顧客が高価格のプランを選んでいるか、あるいは多くの通信関連サービスを利用していることを示します。

付加価値ARPUとは、通信サービス以外で得られる収入です。

これには、データサービス、コンテンツ提供、アプリケーションの利用料金などが含まれます。

付加価値ARPU収入が高いということは、顧客が通信サービス以外の付加価値の高いサービスや商品にお金を支払っていることを意味し、企業が多角化した収益源を持っていることを示しています。

KDDIの場合、通信ARPU収入は比較的安定しており、一方で付加価値ARPU収入は増加傾向にあります。

これは、顧客が基本的な通信サービスに加えて、より多様な付加価値サービスを利用していることを示しており、KDDIが通信サービス以外の領域での成長を遂げていることを示しています。

営業利益とは?

営業利益は、企業が本業で稼いだ利益です。

営業利益は売上高から、販売した商品の原価である売上原価と、販売のためのコストである販管費を除くと求めることができます。

営業利益の推移

KDDIの営業利益の前年同期比での成長率を見ると、2022年第4四半期には11.8%の増加を見せた後、2023年の各四半期では減少傾向にありましたが、2023年第4四半期には24.9%の大幅な増加を記録しました。

2024年第1四半期には10.3%の減少がありましたが、第2四半期と第3四半期にはそれぞれ12.1%と1.2%の増加がありました。

2024年第4四半期の会社側ガイダンスによると、成長率はほぼ横ばいの-0.1%となっています。

営業利益率とは?

営業利益率は、売上高に占める営業利益の割合を示したものです。

この割合が高いほど、企業の本業の稼ぐ力が強いと判断できます。

営業利益率

KDDIの営業利益率を前年同期と比較すると、2023年第4四半期の営業利益率は、前年同期の12.98%から15.60%に上昇しました。

2024年に入ると、第1四半期と第3四半期の利益率は前年同期よりも下がり、第2四半期だけが上昇しています。

会社側ガイダンスによると、2024年第4四半期の利益率は、前年同期の利益率よりも減少する見込みです。

「利益」は意見、「キャッシュ」は現実

損益計算書(PL)に記載される売上高などの「利益」は、本来であれば来期に立つ売上を、今期の売上として計上することや架空の売上を立てることで、意図的に「利益」を過大に見せること、いわゆる粉飾が可能であり、明らかな粉飾でない限り、このような粉飾を見抜くことは難しいと言われています。

他方、キャッシュフロー計算書(CF)に記載される営業キャッシュフローなどの「キャッシュ」は、実際にどれだけの現金が出入りしたのかを表し、意図的な調整をする余地がありません。

そのため、会計の世界では、『「利益」は意見、「キャッシュ」は現実』、または『キャッシュフローは嘘をつかない』とされています。

また、損益計算書では黒字にも関わらず、倒産してしまう「黒字倒産」の原因は、売上が発生しても、その入金、現金収入が大幅に遅れ、企業が現金不足に陥ることで起こるとされています。

そのため、企業の「利益」だけでなく、企業の「キャッシュ」を確認することが重要です。

営業キャッシュフローマージンとは?

営業キャッシュフローマージンは、売上高に占める営業キャッシュフローの割合を示したものです。

営業キャッシュフローは、企業の営業活動で得られた現金収入です。

この割合が高いほど、企業が売上から多くの現金収入を得ていることを意味し、現金を稼ぐ能力が高いと判断できます。

営業キャッシュフローマージン

それでは、KDDIの営業キャッシュフローマージンを見て行きたいと思いますが、続きの内容については、動画付きの有料記事となります。

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続きの記事では、KDDIを、成長性、効率性、現金の生成能力、財務の安定性、割安性の5つの観点から総合的に評価しています。

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