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2023年5月の新譜記録

こんにちは!タイトルの通り、私が5月に聴いて良いなあと思った新譜について、簡単な感想コメントとともにまとめておく記事です。

5月はまあ……わかりやすく五月病になりましたね。新社会人になったとはいえ、僻地の会場で外部講師の研修を受けているだけなので、連休を経て完全に「自分は一体何を……?」状態になり、諸々のペースが崩壊しました。まあ普通に健康に生活は送っていたし人にも会っていたのでそこは大丈夫だったんですけど、Twitterは全然開かなくなったし、それゆえ音楽まわりの情報もかなり怪しくなってしまいました。もうちょっとうまくやれると思ってたんだが……

というわけで、こんな記事書いといてほんとアレなんですけど、今月は新譜も最低限(前から気にしていたものなど)しか追えていません。まあ逆に言えばこの新譜記録ルーティンを己に課していたおかげでギリ耐えたとも言える。ちなみに、代わりに何を聴いていたのかといえば、行き帰りはよくトリプルファイヤーのお世話になってました。研修という手前、何はともあれ「正解」の振る舞いが求められる中、圧倒的な「不正解」をやってくれるのがマジで沁みる。うまくいかない日々だけど、職人こだわりの塩で天ぷら食べてるから……

良かった新譜

アルバムタイトルを押すとsongwhipのページに飛べるので、気になった方はそちらからどうぞ!

FINE LINE / パソコン音楽クラブ

マジで大好き!!優勝です!!
こういうオタクがオタクなりのやり方で超楽しいポップスをやってみせている感じはほんと一つの理想なんですよね(他には『ディスコの神様』や『Fun Tonight』がこれにあたります)。中盤で持ち味のキッチュなエレクトロミュージックに振れるのも、「いや、全然やりたいことやってるだけですけどね」と言われているようでニクい。今年のポップスでは今のところ一番好きです。

Everything Harmony / The Lemon Twigs

稀代の天才ソングメイカー・ダダリオ兄弟を擁するThe Lemon Twigsの新譜。まず何よりもメロディが強すぎて泣いてしまう。それを伸びやかに歌い上げるボーカルと、シンプルながらも美しいコーラスワーク、バロックポップやインディーギターの暖かみとが重なり合った豊かな響きとが、核としてのメロディをさらに力強く引き立てていて、"Everything Harmony"というタイトルにも納得です。

Failed at Math(s) / Panchiko

前に弊noteでも紹介させていただいた、インターネットが「発掘」した謎のカルトバンド・Panchikoによる、いわくつきの1stアルバムを経た正真正銘のニューアルバム。1stのキャッチーで陰鬱なオルタナ〜インディーポップを期待したので初めは肩透かしを食らいましたが、ロック基軸のアブストラクトな音楽としてみればかなり良作だと思います。インターネットのシーンを経由したAmnesiacという感じで、この人たちはその昔レディヘになりたかったのかなあと思ったり。

UNSAYABLE / beachtown

ロンドン拠点のオルタナポップデュオ。M1 "Toybox"は、今までにありそうでなかった絶妙に気味の悪いアンセミックなポップチューンです。M2, 3ではわりかしギターが主張し、インディーロック色が強まりますが、ビートの硬質さや音の重ね方、選び方が全体的にちぐはぐというか、他の要素から期待されるサウンドからどれも微妙に外れ合っている感じがあって、その「ズレ」感が異様さ・不気味さを生んでいると思います。そういえば以前、「「期待されるものがやってこない』という事象が恐怖につながる」という説をどこかで見たんですけど、誰のだったか……

Orbweaving / Midwife & Vyva Melinkolya

スロウコア系のソロアーティスト・Midwifeと、シューゲイズバンド・Vyva Melinkolyaによるコラボ作。シューゲイズ〜アンビエントの良作です。スロウコアのバンドサウンドからディープなノイズと囁くボーカルだけを抽出したような、ただただドリーミーな響きに身を任せて包まれる心地よい音像は、スピーカーで大音量で流すと最高の状態になれます。

i've seen a way / Mandy, Indiana

マンチェスター拠点のバチバチに尖った4人組。ノイズやインダストリアルの不穏に張り詰めたテンション感と、ダンスミュージックのビートが作る高揚感とが結びついた異様さのスリルが、破裂して盛り上がり切らないギリギリのところでずーっと保たれていて心底ゾクゾクする。ちょうど欲していた質感でした。

Ellie Kemper / Spring 2005

アメリカ・ユタ州のソロアーティスト、Summer 2000の2nd。正確にはSpring 2005という変名でのリリースです。正直、"Summer 2000" っていう名前がいかにもすぎて、「あーね笑」的に構えてしまってちゃんと聴けたことはなかったんですが、聴いてみたらまあ当然のように好きでした(くやしい!)。良くも悪くも、5th wave emo的なインターネット・インディーシーンや、Parannoul以降のLonginus Recordingsのパラダイムをダイレクトに記録したような一枚だと思います。最後の曲はAsian Glowも客演してるし。

ちなみに、知らなかったんですけど、Summer 2000はC H Pointという別名義で "anim alcrossing" (American Footballのどうぶつの森カバー)や "Alex GBA" (Alex Gのゲームボーイ風カバー)といったアルバムも出してたらしいです。この手の昔のゲームのサウンドを使ったインディーロックのリミックスを最近よく見る気がしますが、自分の世代のノスタルジーを的確に突いてくるというか……もう一回り上の世代がVaporwaveに感じていたものが分かったような感覚になります。

Elizabethtown. / Cottonwood Firing Squad

インディーロック周りのソロアーティストとしてはこちらも良かったです。昨年以来かなりのハイペースで新作をリリースしているようで、今年も2月に5曲入りEPが出ていました。正直、特別印象に残る曲があるわけでもないのですが、初期Alex Gのような宅録フォーク感溢れるローファイサウンドと、リフや歌メロのフレージングに織り込まれた若干のエモ風味が個人的に刺さるアーティストです。

My Soft Machine / Arlo Parks

期待を裏切らない良質なインディーR&Bでした。肩肘張らない穏やかなグルーヴと、インディーライクな手作り感が嬉しい、リラックスしたいときにぴったりな優しいアルバム。Phoebe Bridgersとのコラボ曲もあり、詩人としてキャリアをスタートさせたArlo Parksのフォークとの親和性の高さも感じたり。去年のフジロックではダイナソーJr.と裏被りして観られず、いつかライブ行ってみたいなと思ってたんですが、今回の来日公演は情報を追えていませんでした……残念!

e o / cero

輪郭が見えては解ける、さながら霧のように掴みどころがない音像。調べると「難解」と仰っている方が多いようで、確かに一聴して「ここが良い」とはなかなか言葉にできない作品です。なんか普通に聴けはしちゃうけど。ただ、くたびれた日の帰り道の電車にはすごく合うというか、 ぼんやり車窓を眺めている無の状態にスッと入ってきて満たしてくれる心地良さは間違いなくあると思います。うまいこと言語化できないんですけどね。

おわりに

というわけで、色々うまくいかなかった5月の新譜記録でした。もう6月なので、五月病は脱したいが果たして……

しかし6月ということは、またnoteは上半期ベストとかで盛り上がる頃合いでしょうか。自分も毎月こういう形で記録をつけてますが、後から知ってお気に入りになったものもそこそこあるので、改めて振り返るタイミングは作れたらなと思います。頑張ってペース取り戻すぞ〜


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