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2023年4月の新譜記録

こんにちは!タイトルの通り、私が4月に聴いて良いなあと思った新譜について、簡単な感想コメントとともにまとめておく記事です。

今月は記念すべき?社会人最初の1ヶ月でした。慣れないことも多くそれなりに気疲れする1ヶ月でしたが、特にしんどかったのが行き帰りの電車。研修期間中は片道1時間半かかる僻地の研修会場に通う必要があり、数年ぶりの満員電車で朝からHPをゴリゴリ削られる毎日でした。早くリモートワークさせて!!
ただ、その分往復3時間を丸々音楽聴いて過ごすことになったので、むしろ学生時分よりまとまって音楽に触れる時間は増えた気もします。移動中はだいたい他のことしながらになってしまうので、必ずしも集中して聴けているわけではありませんが、新生活にもとりあえずは音楽を組み込むことができてよかったなと思います。

良かった新譜

アルバムタイトルを押すとsongwhipのページに飛べるので、気になった方はそちらからどうぞ!

Stereo Mind Game / Daughter

今月はぶっちぎりでこれが一番好きでした。ソリッドに削ぎ落とされたリズム隊が作る静かな高揚感と、その間隙を埋めるように広がるドリーミーなリバーブサウンド、コーラスワークとの組み合わせに酔いしれる、ドリームポップの傑作です。「酔いしれる」という表現がこれほど適切に思える作品もそうありません。

With A Hammer / Yaeji

本作で初めて聴いた方。楽曲のクオリティもさることながら、歌声が天才的に良かったです。メロウで緊張感あるトラックとアニメ声との対比でザワつかせたかと思えば、ネオソウル的な深みを見せてハッとさせたり、時には合成音声的な存在感の透明さすら感じさせる、唯一無二の表現力を持ったボーカルだと思います。

Erotic Probiotic 2 / Nourished by Time

ボルチモア出身、サウスロンドン拠点のシンガーソングライター。上記のYaejiのアルバムにも客演で参加しています。こう言っちゃうと元も子もないかもですが、「人力Vaporwaveじゃん……」というのが初聴時の所感でした。R&Bライクでキャッチーなメロディを歌い上げるハスキーな歌声と、インディーディスコ風のビートの組み合わせはモロにaesthetic。なんだかんだこのメロウでジメッとした質感大好きなんだよな。

jamZ / bappy

Vapor感という点ではこちらも良かったです。大胆な音使いや文脈を欠いたサンプリングで輪郭のボヤけたトラックには、「インターネットに偏在する亡霊」の影がちらつく。そうしたどこか遠くの時空から漏れ聞こえる音楽が現実を侵食する不気味さをもう我々は理解していて、Vaporwave的表象はむしろその演出のために援用されるようになったのがここ数年かなと思いますが、本作ではそこに妙に淡々としたラップが重なることで、異様な空気感がうまく強調されています。

The Worm / HMLTD

HMLTDの2年ぶりの新譜は、メジャーレーベルで辛酸を舐めた彼らの怒りと意地と底力を感じる意欲作。ロックサウンドはもとより、フリージャズ的な演奏やストリングスとのコラボレーション、大胆なサンプリングといった、ジャンルの垣根を縦横無尽に飛び越える、鬼が出るか蛇が出るかの編曲力に圧倒されっぱなしのアルバムでした。シリアスで壮大な楽曲の中に、したりげな「音楽楽しすぎワロタ」感も漂う怪作です。

to breathe / botohes

TwitterのTLに回ってきて初めて聴いたバンド。静謐なムードの中で複雑に絡み合うアンサンブルが心地よく、また個々のフレージングやボーカルの歌声、日本語詞の空気感には良質な邦インディーの血統も確かに感じられます。例えるならば、音響派の邦楽解釈とも言えるかも?

Here I Stand / 揺らぎ

必ずしも歪みすぎずに気怠いリフを刻むギターや、コンプ感強めのドラムなど、現行シーンのバンドサウンドを咀嚼して、グッドメロディを乗せた良曲たちに帰着させている感じが素晴らしい。シューゲイズバンドとして名が広まった彼らですが、その意匠はもう選択肢の一つとしてちゃんと相対化されているんだろうなと思います。バンドとしての強度が増した好盤。

Rat Saw God / Wednesday

シューゲイズ界で一躍注目の的となった、ノースカロライナ出身のバンド。MJ Lendermanの期待を裏切らないオルタナギターはもとより、バンドのテンションに合わせて絶叫するボーカル、メロディやリフに通底するポップネスなど、シューゲイズやハードコア、グランジが好きな方なら迷わず喝采してしまうこと請け合い。一方、M4 "Formula One"などで見せるカントリーへの造詣は、Phoebe Bridgersなど現行のUSオルタナとも通ずるものを感じます。

Infinite Spring / Superviolet

どこか物寂しいアコギリフと歌メロだけで泣かせる、インディーフォークの傑作。つい「こういうのでいいんだよ」と言いたくなってしまいますが、このレベルのものは卓越したポップセンスがないとなかなか難しいんですわよね。あとそもそもInfinite Springっていうタイトル良すぎません?

& the Charm / Avalon Emerson

サンフランシスコのDJによるアルバム。これまではテクノをやっている方だったそうですが(旧譜も少し聴きました。ゴリゴリのテクノでした)、本作では面白いことにドリームポップライクなギターやボーカルによる歌メロがフィーチャーされていて、全体的にキャッチーでおしゃれなインディーポップに仕上がっています。特にM1 "Sandrail Silhouette"やM9 "A Dam Will Always Divide" は「ビート主体のドリームポップ」としてかなりの佳曲だと思います。

Hyndranism / Oracle Sisters

パリ発バンドのデビュー作。Yo La TengoやWhitneyなどとも比較されるドリーミーなギターと耳触りの良いメロディーを軸に、往年のポップスの趣き漂うノスタルジックでアナログな質感が全体を覆う、心地よくピースフルな作品。ベタに休日の朝とかに流しときたいですね。

Why Does The Earth Give Us People To Love? / Kara Jackson

大部分が歌とアコギ、ストリングスだけで構成されたアルバム。ハスキーで深みのある歌声とそのサウンドプロダクションが良いからか、シンプルな構成の中でも特に歌の存在感が際立った説得力ある音像に仕上がっています。その空気感はさながら、薄暗いステージでスポットライトに照らされた歌い手が、ただ1人の観客であるこちらに真っ直ぐ語りかけてくるよう。本作がデビューアルバムとのことですが、以前から詩人として高い評価を得ていたらしく、ストレートにも「愛」をテーマにした英詩を十分に解せない己の英語力がくやしい。

おわりに

今年、というか昨年末ぐらいからうっすら思ってはいたことですが、「静謐さ」が個人的に一種のトレンドみたいになってきました。ここで挙げたものでも、Daughterとかbutohesとか、あとは音像のシンプルさという点ではKara Jacksonもそうと言えるかも。なんなら世の中的にもそんな傾向はある気がしていて、「轟音のなかに静寂が鳴る」と評されたシューゲイズやその近親ジャンルであるスロウコアがにわかに盛り上がり始めていることとも無関係ではない……?と思っています。このへんで何かおすすめあればぜひ教えていただきたいところです。

あと(今の話とは完全に逆行しますが)、今月はみんな大好きRIDEの来日公演に行きました。自分は4/20のGoing Blank Againの回で、GBA再現+Vapour Trail等含むアンコールという、研修で疲弊した新社会人もニッコリの内容でした。ギターバンドだけどやっぱりドラムがサイコーなンすよね〜と思ったり、アンディベルが相変わらず無愛想でいいな〜と思ったりしました。総じて非常に良かったです。

とりあえず、社会人1ヶ月目はこんな感じで、今のところ音楽は聴けているしライブにも行けています。ただ、その一方でDTMをやる時間はうまく取れておらず、作りかけで放置する曲が増えてしまっているのがなんともすっきりしないので、5月はそっちの時間も確保することを目標にしたいです。この連休中になんかできたらいいな〜、、


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