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望遠鏡と虫眼鏡 

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以前は手帳オタクだった。

毎日毎日手帳と文具のことばかり考えていた時期があった。
SNSでは日々手帳愛を語り過ぎて手帳関連で数冊取材をいただいたこともあった。(1)
その熱が冷めてしまったわけではないが、今ではあまり手帳関連のことで頻繁には発信はしていない。発信するよりも自分の仕事をした方がいいということに気がついてしまったのだ。


「夢の実現」の話をすれば実にシンプルに次のことが言える。


1 目的 やりたいことを明らかにし、
2 実行 それを集中して行い、
3 評価 フィードバックをする


この3つだけだ。

 手帳というと「夢や目標の実現」という言葉と結びつきやすい。
 実際に目標にフォーカスして記録を続けていけばやりたいことが叶いやすいと思う。だからと言って、流行りの手帳を買い、流行りの手帳術を試したとしても、上の3つがぼやけていればうまく行くことはないと思う。

 よく「自分軸を持て」などという言葉を聞く。
 しかし、何を持ってして軸となるかをはじめに定義しなくてはならない。
 そのためには日々、度数換算をしていく必要があると思う。記録の意味はそこにある。


 だから日々思考して言葉(や記録)を残すことは、自分の体を作っていくことにもなる。
やりたいことを自分に引き寄せていくことには筋力がいる。思考と行動は両輪の乗り物であり、言葉はその骨格をつくる。



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自分の生活の中で「目的、実行、評価」のサイクルは以下のような感じで進めている。


❶ 有機的な欲望を図にしておく【ぶどうシステム】

 私の視界には思考のための2つのメガネがある。「望遠鏡」と「虫眼鏡」だ。

これをしばらく前から【ぶどうシステム】と名付けている。ぶどうは横に枝を広げ、実をつけるが、その房の様子になぞらえている。これは望遠鏡の役割を持つ。

これについての詳細は下記のまとめにあげてある。興味のある方は参照してほしい。


 トニー・プザンの「マインドマップ」と何が違うのかというと、あえて整理せず、カテゴリ化もせず、ひたすら有機的に欲望を俯瞰することに重きを置くことにある。
 なぜ整理をしないかというと、実行する方に意味があるからだ。
デヴィッド・アレンの「GTD」は「Getting Things Done」における「inbox」の概念に近いかもしれないが、かなり雑なものだ。

これは望遠鏡であるから単なる俯瞰図に過ぎない。
細かいところは見えない。ざっくりとした方向と形が分かれば良い。かなり有機的な感じだが欲望が増殖していく様子を愛している。


現在は机の前にこういうメモを貼ってある。今年は関西で生活をするので引っ越しの段取りや、現地でやりたいことが書いてある。時々眺めて書き足したり強化したいことに色を塗っている。



❷ 【ぶどうシステム】を見ながら、獲得したいと思うものを剪定する。

 このnoteを読んでいらっしゃる方は私の記事を読んで
「この書き手は何をしたい人なのだろうか」と困惑なさっているのではないかと思う。

 以前も書いたけれど私の活動の柱は3つある。
(⑴水彩とドローイング、⑵洋裁、⑶編み物)この3つをなりふり構わず、自分の思うものを作り遂げることだ。

 これらは有機的に絡まっているので、どこの根っこがどこに食い込んでいるかがわからない。
 編んでいなければ気が付かないこと、
 絵を描いていなければわからないことなどがさまざまにある。
 だからとにかく「いつ、どこで、どの作業をするのか」ということを優先している。
 継続性はないように見えるかもしれないけれど、ある日は描き、ある日は編み、ある日は縫う(そのほか色々あるけど)、これただひたすらにやる。
 その技術を使って「稼ぎたい」とか「有名になりたい」とか、「注目されたい」とかそういうのはひとまず置いておく。

この3つを使ってできる限り遊びたい。

 いつ病気に倒れるかわからないし、不慮の事故に巻き込まれるかわからない。自分の生きる限り自分の好きなことに能力を使いたい。だから欲望の枝は綺麗に剪定して整理しておく必要がある。


❸ひたすら実行をする

 絵を描くとき、染織作業をするとき天候や温度に左右されることも多い。
「計画したけれど天気がいいから外で絵を描く」とか「今日は寒いからストーブつけている間に染色をする方がいい」なんていうことが起こる。

こういう時はあえてスケジュールは優先しない。その日、その時やれそうなことの方を優先する。


寒い日は染める
編みたいものは試作をする
古い絵を加筆することもある


そのため、あらかじめメニューを多く用意する。
時間は有限なのでちまちまやるしかない。

 持ち歩きのためのスケッチブックと画材
 毎日描くための絵日記
 制作ノート
 プロジェクト別編み物bag
  audible
  Kindle


タイムタイマーなどが便利なのでお勧めしておきたい。
これによって「やりすぎ」を防げる。



❹作業したものを記録する

 多分、一般的にはこれが最も面倒なのだと思うがこの蓄積はのちに面白い結果を生む。これは一定期間継続して記録してみないとわからないかもしれない。例を言うと、現在50代の私は19歳の時に作った染色技法ノートをまだ使っている。


今使っている手帳とノートはこのような感じ。

10年日記をのぞいては多少記録が緩くなっても気にしないことにしている。
なぜかというと実行することが一番大事だから。(とはいえ、より良い実行のために記録は必須なので必然的に記録はすることになる)

iPad goodnote6 、ラコニックガントチャート、ジブン手帳、クロニクルブックス5年日誌、石原10年日記


「ジブン手帳Days」
 (虫眼鏡)
 1日のスケジュールと活動全般のログ。その日の作業にフォーカスするために記入

「ラコニックのA4 ガントチャートマンスリー」
 (望遠鏡)
 ジブン手帳は1日単位のため大きく俯瞰できない。健康記録と全体のスケジュール調整や日々のメモ

「石原10年日記」
 (望遠鏡)あとで読み返しても不快にならない程度にあっさりとした事実のみを書く。後日長期的視野で見たときに状況の変化が俯瞰できる。

「クロニクルブックス 5年日誌」
(望遠鏡)(虫眼鏡)これは、制作、勉強したことのメモ。⑴水彩とドローイング、⑵洋裁、⑶編み物で、何をやったかがわかるように書いている。進捗の管理として使う。

 「iPad goodnote5」
 (虫眼鏡)画像の必要な制作関連のメモ、編み物のゲージなどの制作上で必要なデータはこれに書き、evernoteにアーカイブを残しておく。これによって制作の解像度が上がる気がしている。紙でも残してあるが、バックアップと検索用として使う場合にはかなり重宝している。


❺定期的に取りこぼしを確認し ❶〜❹を繰り返す


 私は若い頃にデッサンのトレーニングをしたから、「虫眼鏡と望遠鏡」を意識してものを見ることが習慣になってしまっているのかもしれない。

これら2つを使い分けることをイメージしながら記録を続けている。
絵を描くとき、アタリをとってデッサンをし、細部を描いていく感じといえばいいかもしれない。



 これによってだいぶ自分の欲望が見えやすくなり、生きやすくなった。
 何よりも他人の評価が気にならなくなった。


 自分に集中したい時は記録をするに限る。





(1)掲載いただいた書籍

こちらはカットを描きました。

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