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不運と幸運は紙一重

 朝、歯磨き粉を歯ブラシにつけようとしたとき、チューブから出した歯磨き粉の塊を、洗面所の流しに落としてしまった。歯磨き粉は知覚過敏や歯周病予防に効くという、少し高価な「シュミテクト」で、「うわ、最悪」とがっかりした。もったいないので、シンクに直接ついていない部分を表面だけ歯ブラシで削り取ったが、それでも大半は流してしまった。
 
 その10分後、洗面所の鏡を見てピアスをつけようとしたら、今度はピアスのキャッチャーを流しに落としてしまった。落ちた勢いでカンカンと転がり、そのまま排水口に転がり落ちて、私は絶望した。少し高いピアスのキャッチャーだったし、他のキャッチャーで合うかどうかもわからない。諦めきれず、排水口のゴミ受けに引っかかっていないかと、外しておそるおそる覗いてみた。

 半年は掃除していなかったので、ゴミ受けには髪の毛が引っかかっていたりカビが生えていたりして、かなり汚い。そこにさっき落とした歯磨き粉の塊がこびりついていた。「掃除しないとな…」と見てはいけないものを見たと思って、とりあえず元に戻そうとしたところ、私は目を見張った。歯磨き粉の塊に、さっき落としたピアスのキャッチャーが引っかかっているではないか。私は歓喜した。キャッチャーはよく洗ってよく拭いて、そのままつけることにした。
 こんなに不運と偶然と幸運が重なることがあるんだ。落としたのは自分の不注意で、全部自業自得だけれど。

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