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「小説を書く」と決まったとき、私の身に起きた不思議なこと。

昨日、ピリカさんが企画されているマガジン「ピリカ文庫」として短編小説を公開しました。

ピリカさんは新刊情報として記事にもしてくださって、ありがたい限りです……🙏
本当にありがとうございます!


今日はこちらのお礼と、
ちょっとばかり裏話をさせてもらおうかと思います。



それは少し前のこと…ピリカさんに「ピリカ文庫」で執筆をしてくれないかとご連絡を頂いたのです。

その連絡を見た私は……


ほぇっ!?!?


ってなりました。(笑)


今年はオリジナル作品を書くぞー!と意気込み、先日開催されていた「P-1グランプリ」でやっと重い腰が上がったばかりの私。このままでは再び座って動かなくなること間違いなしだと思った私は、迷わずお引き受けしました。


そこから、私の身にちょっと不思議なことが起き始めるのです。


①「小説」が書けなくなる

最初、前回と同じように衝動に任せて「まず書いてみちゃうか!」と思っていました。(決して舐めてるわけじゃないのです…! ただそういうテンションの持ち主というだけです)
時間もあったし、書いてからブラッシュアップした方がいい感じに仕上がるかな~と軽く思っていたのです。


しかし「ピリカ文庫」として皆さんに読んで頂くものだと思うと、どうしても肩に力が入ります。

その結果、「『小説』ってなんだっけ……」という超初歩的なところで盛大に転ぶことになったのです。


私が躓いたのは、小説の「書き方」。
テーマや書きたいことはあるものの、どういう文体で書くかが自分の中で定まっていませんでした。


例えば先日書いた短編。

こちらは登場人物が少ないのもあって、完全に「私」目線でできるだけ喋りっぽくなるように書いていました。なんでそうしたかというと、ただの直感です。(笑)

「これが一番伝わるかなー」くらいの気持ちでチョイスしました。

私目線は割と多くて、夏目漱石の本は「私」目線が結構あるイメージです。あとは何人かの目線が章などに合わせて切り替わっていくものや、ほとんど俯瞰とかナレーションのような、第三者の目線で描かれているものもあります。

あとは私目線だけれど、文章には「私」ではなく、名前はちゃんと表記されているとか、考え始めると結構深いのです。


結果、私の筆と思考が停止しました。(笑)



②「小説」が読めるようになる

筆が止まった結果、私の脳は情報を求めはじめました。
そのおかげで、ここ1年以上あまり読めていなかった長編小説が読めるようになりました。

世界観をいくつも頭の中に抱えるのが得意じゃない私は、1日で読みきれない長さの小説はほとんど読んでいませんでした。

読み始めても、続きを読む時には世界観や5W1H的な基本情報を忘れてしまうので、全然読み進められず、自分にイライラするのです。(笑)


そんなわけで敬遠したのですが、「小説を読んで情報を得ないと小説が書けない」という危機を直面した私の脳は、急にやる気を見せます。

その結果、ここ数年で「こんなにちゃんと読めたことがあったかしら?」と感動するくらい、するすると小説を読むことが出来ました。


③「小説」の中に見えるものが増える

私の脳が本気を出した結果、ちゃんと小説が読めるようになったのと同時に、もう一つ変わったことがありました。

それは以前よりも、小説の中に見えるものが明らかに増えているということ。


以前小説を読む時は、主人公などの登場人物の把握とストーリーを追うことがメインで、サブ的に語彙の多さや表現力の豊かさを楽しんでいました。


しかし小説を書くことを意識するようになってからはそれらに加えて、先程書いたような目線や主人公の名前の有無、語尾のまとめ方、そして作家さんの「個性の出し方」みたいなものが少し見える様になっていたのです。


例えば、展開の面白さを丁寧に描きたい作家さんは、キャラクターの心理描写よりも情景や周りに置かれている物や持ち物の描写が細かい傾向にあるんだなーとか。

逆に主人公や登場人物の心情を丁寧に描きたい作家さんは、モノローグのような人の感情がもろに出た言葉がセリフとして「」(カッコ)で閉じられていないところにも描かれていることが多くて、そこにとても作家さんの個性が見えるなーとか。


今までもそれなりに小説は読んできましたが、この観点で小説を読んだことはあまりありませんでした。


特に作家さんの「個性」部分の見え方は大分変わっていて、あえて個性が見える部分を描かない人もいれば、自分の感性やエゴみたいなものも含めさらけ出している人まで、自己開示みたいなものの差がかなりあることに気づいたのです。


この、特定のものを意識することで、それにまつわる情報に目が留まりやすくなる心理効果を「カラーバス効果」というそうなのですが、まさにそれ。


「小説を書く」ということを意識したおかげで、「そもそも皆はどう書いているのか?」という観点で小説を見るようになったんですよね。


物を書く仕事はしてきたものの、「小説」とは微妙に距離があったので、読むと書くとではこんなに見えるものが違うのだと気付かされる良い機会となりました。

そしてそういう不思議なことが起きたおかげで、私は無事にショートショートを書き上げることができたのです。



まとめ

今回このような機会をいただけたおかげで、小説が少し身近に感じられるようになりました。

今までは「書きたいけどよくわからないもの」みたいな感じがあって、若干手を出しづらかったのですが、今なら「今回はこの切り口でこう書いてみよう」と自然とチャレンジ出来るような気がしています。

本当に気がしているだけかもしれませんが。(笑)
まだまだ勉強せねば…と思う一方で、現段階でのベストは出せたかなと思っています。


これをきっかけに自分が書きやすくて、自分の書きたいことが表現しやすい文体や視点を模索してみようと思っています。

この目線・文体でしか書かない、みたいには決めるつもりはないのですが、なんとなく軸を決めておいたほうが、「どこからどう変えるか」と考えやすいと思うのですよね。

そういう意味でも私の勉強と模索の日々は続きます……
もともとこういう作業が好きなので、今とってもワクワクしています^^
新しい挑戦に向かって船を出したような感覚にドキドキしています。


改めて今回執筆と、気づきを得る機会をくださったピリカさんに感謝を!
本当にありがとうございました!!


そして、ショートショートを読んでくださった皆様と、こちらの記事を最後まで読んでくださった皆様も……ありがとうございました!

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