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陰謀論者(13):2020年米大統領選における不正選挙

2024年アメリカ大統領選へ向けた共和党の候補者指名争いはトランプ前大統領が圧倒的な強さを見せ、3月中旬の時点で党の指名を受けることが確実となりました。したがって、今回の大統領選は共和党のトランプ前大統領が再選を目指すバイデン大統領に挑むという構図で前回(2020年)とは立場が逆であるものの同じ顔ぶれといえます。ちなみに、前回は民主党から指名を受けたバイデン氏がトランプ大統領(当時)に僅差で破って第46代大統領になりました。

選挙は盗まれた

前回の大統領選に敗れたトランプ氏はこの回から認められた事前投票制度や郵便投票を巡って大規模な不正が行われ、それがなければ再選を果たしていたと主張する一方で報道各社がバイデン氏の当選確実が報じられる中でも敗北宣言を頑なに拒み、結果を覆そうと訴訟を連発しました。しかし、これらの訴訟は裁判所で棄却されたり、自ら取り下げが続いた挙句に2020年12月11日に4州で結果無効の訴えが連邦最高裁で退けられたことで選挙結果を覆す法的手段はついえたといえます。

Tyler Merbler, CC 表示 2.0(出典:Wikimedia Commons

しかし、トランプ氏ならびにその支持者は引き下がることをせずに大統領選の結果を確定する上下両院の合同会議が行われる日に合わせて抗議集会を行った挙句にその一部がアメリカ議会議事堂内へ乱入し一時占拠する事態になったものの、抵抗むなしくバイデン氏が次期大統領に就任することが確定するに至りました。

翌日、トランプ氏は議会議事堂襲撃事件を受け、Twitter(現X)で「議事堂に乱入した支持者に対してこの国を代表しない」と非難するとともに「整然とした」政権移行を約束するという事実上の敗北宣言と受け止められる声明を発表しました。

不正はなかった

では、本当に不正があったかというとこれについては根拠がないと言わざるをえません。トランプ陣営が不正があった州の1つに挙げられるジョージア州では通常の監査プロセスに加えて州全体の投票の再集計を3度行ったものの、どちらもバイデン氏の勝利が確認されています。

また、トランプ氏はドミニオン投票システムが自分から数千票をバイデン氏にすり替えたと主張しているがこれについては陰謀論に過ぎないといえます。というのも、選挙インフラ調整評議会(GCC)などは「いかなる投票システムも投票の削除や紛失、投票の変更、あるいは何らかの形での侵害を行ったという証拠はない」と述べています。その点から安全性や公平性に信頼を置いている選挙だといえます。

余談ではあるが、2024年のロシア大統領選挙においては反戦を掲げる候補者の立候補を認めなかったうえにプーチン以外の候補者を投票しようとしたら兵士らに取り囲まれ挙句に投票所外へと放り出された動画があるなどこっちの方が公平な選挙とは言えないのではないかと思いますね。

まとめ

このように2020年アメリカ大統領選における不正選挙は陰謀論にすぎないが、いまだにこの陰謀論を信奉している人がいます。というのも、どちらかといえばトランプ前大統領は国粋主義者であり、ネトウヨや極右の方にとっては理想のリーダー像であったといえます。そして、彼こそが大統領の座にふさわしく、選挙の落選によってその座を追われるという現実から逃れたいがゆえに不正選挙というアメリカのような高度に発展した民主主義国家ではありえないようなもの縋り付いたのではないかと思います。この点はかつてオウム真理教が真理党というミニ政党を立ち上げて1990年の衆院選に挑んだものの、惨敗した後に麻原彰晃が「不正選挙だ」と主張したのと似たようなものだといえますね。

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