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ヤブ医者と総合診療医

皆さんこんにちは、にゃんでもにゃ医です😇
note第2弾は皆さんがお待ちかね?の話題、「ヤブ医者と総合診療医」についてです😇😇😇
内容としてはなぜワイがこんなことを書くのか、そして総合診療医がヤブ医者になりやすい構造について、最後に総合診療医のヤブ医者を防ぐ方法について、といった感じです😇


更新履歴
2024.2.9  投稿
2024.3.11 総合診療医がヤブ医者になりやすい構造に「周りから専門性を理解してもらいにくい」を追加




なぜ「ヤブ医者と総合診療医」について書くのか?

今までにゃんでもにゃ医は総合診療医として働いてきたわけですが、そこでふと思うようになったんですよね、「もしかして総合診療医はヤブ医者になりやすいんじゃないか?」と😇😇
そのように思う総合診療医を取り巻く構造が今回のnoteのキモですので、詳しく後述しますね😇
そのことについて定期的にTwitterで呟いているのですが、今回はそれらも踏まえながら考察していきたいと思います😇

自分がヤブ医者や闇落ち医者について色々と考察しているのは、自分がヤブ医者になりたくないというのがでかいですね😇😇
あとは、後輩たちにヤブ医者になってほしくないといった考えもありますね😇
「にゃんでもにゃ医は総合診療医を堕としたいのか❓」と言われることがありますが、それは完全に誤解です😇これはワイなりのエールであり、この界隈がさらによいものになってほしいという願いがあります😇😇
このnoteが皆さんのためになればとても嬉しいです😇
ちなみに前置きが長いので、本題からいきたい人は目次の「総合診療医がヤブ医者になりやすい構造」からどうぞ😇

ヤブ医者の定義

ここでの議論においては厳格な定義はとくに必要ないかなと思います😇
wikipediaにある通り、「適切な診療能力や治療能力を持たない医者」くらいでいいと思います😇
ヤブ医者の語源って諸説あるんですね😇

総合診療医の定義

これは厳密性を求めると結構難しいですが、議論を進める上ではある程度決めておいた方がいいですかね😇
総合診療医と聞いて、思い浮かべるものが人によって違いすぎるんですよね😇😇
ワイもよくわかってないのでgoogleに聞いてみました😇😇😇
まずトップに出てきたのが関西医科大学のページ。我らが石丸裕康先生ですね😇
「総合診療医とは、患者さんの抱える問題の大部分に対処でき、かつ継続的なパートナーシップを築き、家族及び地域という枠組みの中で責任を持って診療する臨床医です。総合診療医は、そのための専門的なトレーニングを受けており、患者さんの様々な問題にいつでも幅広く対処できる能力を身につけている『まるごと診る専門医』です。」

我らが日本プライマリ・ケア連合学会(JPCA)はどうでしょう😇
「患者さんを多角的に診ること・家族や生活背景まで診ること・地域全体を診ること」をしているのが総合診療医のようです😇

続きまして日本総合診療医学会😇
「総合診療医とはSubspecialtyを持った上でどのような疾患にも対応し、未診断症例には速やかに正確な診断を行い、速やかな治療を行うことができ、場合によっては患者のことを考えた専門医との連携を円滑に行うことが出来る医師です。また、未病の状態の人のケアができ予防医療も行える医師でもあります。総合診療医として、ある医学分野は専門医と同等の医学知識および医療技術を持ち、臨床と研究を遂行することが必要だと思います。」

いやー、JPCAとは一緒にならない理由が端的に現れてますね😇😇😇
総合診療の未来も明るいですね😇😇😇この辺の闇も今後noteで取り上げることになるでしょう😇

トリはやはり専門医機構のものでしょう😇

❶ どんな症状にも、何歳でも診察し、必要であれば専門医を紹介してくれる医師
❷ 日常的に頻度が高く幅広い領域の病気とケガに対応できる医師
❸ 臓器を診るのではなく患者を一人の人として診る医師
❹ 患者個人の治療だけでなく、その生活を支える家族もまるごと診てくれる医師
❺ どんな相談にも耳を傾け、向き合う医師
❻ 病気の治療だけでなく予防から終末期まで継続的に診てくれる医師
❼ 地域全体の健康を考えてくれる医師
❽ 看護師・薬剤師等の多職種や行政と連携し、住み慣れた地域での暮らしを支えるチームの核となる医師

https://jbgm.org/wp/wp-content/uploads/2023/07/pamphlet_230720.pdf

なんかいい感じの言葉が並んでますね😇
まあ似たり寄ったりの部分がありますが、ここで議論する総合診療医は、JPCAの「患者さんを多角的に診ること・家族や生活背景まで診ること・地域全体を診ること」ができる医者くらいに思ってもらうので問題ないと思います😇

総合診療医がヤブ医者になりやすい構造

ここからが話の本題で、ワイが思う総合診療医がヤブ医者になりやすい構造について語っていきますね😇
①慢性疾患の診療が多い
②閉鎖的な環境での診療が多い
③診療において科学的根拠(エビデンス)以外の要素を優先することが多い
④扱う診療範囲が広い
⑤エビデンスへアクセスしにくい
⑥アカデミアから遠い

①慢性疾患の診療が多い

これは総合診療医に限った話ではないと思いますが、総合診療医も糖尿病や高血圧など、慢性疾患の診療が多いです。それらの疾患は治療のアウトカムが出るのが年単位になる(治療効果がはっきりしない)ために、診療がテキトーになりやすいということです。例えば2型糖尿病はどの薬剤を選択してもある程度血糖は下がるためテキトーな薬剤選択をされがちです。本来は将来の心血管イベントや死亡を抑制するための薬剤を選択するべきであり、エビデンスに基づいた診療がより求められる領域のはずですが、目先のアウトカム(血糖値)は どの薬を選んでも同じなので、知識をアップデートする動機が少なくなります。これはワイが怠惰なだけかもしれないのですが、外来が混んでいたりすると、慢性疾患の対応を後回しにしがちなんですよね😇これが常態化すると立派なヤブ医者の完成ですね😇😇😇

②閉鎖された環境での診療が多い

総合診療医は外来や在宅など、他の医師や医療者の目が入りにくい環境での診療が多いです。周りから間違いを指摘されたりする機会も少ないですし、相談したくても相談できないような状況も多いです。なので独善的な診療が行われていたりするんですね😇この構造は開業医もヤブ医者になりやすいのと同じですね😇もちろん優秀な開業医の先生はたくさんいますよ😇😇😇

③診療において科学的根拠(エビデンス)以外の要素を優先することが多い

総合診療医は在宅診療や終末期の診療など、科学的根拠よりも臨床現場の状況や患者の価値観を優先することが多いということです。それ自体は何も問題のないことですが、このような状況では科学的根拠をアップデートしていく動機が希薄になりやすいです。そのほかにも、総合診療医は(医学的な問題以外も含めて)複雑な問題を抱えた患者を診療する機会も比較的多いです。そのようなケースでも、とりあえず状況を落ち着かせることが最優先で、そのためにエビデンスは二の次になることも多いんですね😇
あとはですね、総合診療(家庭医療)には「患者の疾患(disease)と同じくらい、病い(illness)を重要視せよ」という教えがありまして、このことも影響していると思っています😇専門外の方にはなんのこっちゃという感じだと思いますが、ここが総合診療医とヤブ医者に関して重要なところだと思うのですこし詳しく解説しますね😇😇
diseaseというのはいわゆる医学的な疾患のことで、diseaseに対するアプローチというのは生物医学的に問題点を挙げ、診断し、エビデンスに基づいて治療するといったものが典型的ですね。それに対してillnessというのは疾患に罹患した患者が受ける様々な影響のことで、一般化できない患者の主観による情報のことです。illessは以下の4つに分類されることが多く、FIFEと呼ばれたりしています。
①感情(feeling)
例:疾患に対する不安や恐怖など。
②解釈・思い(idea)
例:腹痛の原因は、最近家族が罹患した膵臓癌のせいではないかと思っている、など。
③機能への影響(function)
例:膝を痛めてしまい、趣味だったランニングができなくなってしまった、など。
④期待(expectation)
例:インフルエンザの診断書が必要なので検査をしてほしい、など。

illnessは臨床におけるノイズだと考えている先生もいるかとは思いますが、総合診療医(の一部)はこれを重要視しているわけですね😇
その賛否はさておき、illnessを重要視しすぎるとそのdiseaseのほうがお留守になってしまう可能性があることは容易に想像がつくでしょう😇このdiseaseとillnessのバランスをうまく取ることが優れた総合診療医の条件なんでしょうねえ😇😇
いわゆる優しいヤブ医者が陥るループもこれと関連してますかね😇
ヤブ医者→真っ当な医者としては評価されない、でもなんとか評価されたい→患者に優しく寄り添う術を習得→患者家族から感謝される→承認欲求が満たされる→以下無限ループ😇😇😇
ただ、(優れた)総合診療医は「患者のニーズに応える医療」や「患者(顧客)中心主義」やっている訳ではないというのは断っておきますね😇😇この辺は長くなるのでこの辺で😇

④扱う診療範囲が広い

例えば特定の領域のみの診療をしている臓器別専門医は毎日の診療がその領域のことになるので、自然にその領域のアップデートが行われることが多いと思います。一方で総合診療医は一応「診療において患者の年齢や疾患を限定しない」ことになっているので、遭遇頻度の低い疾患・症候などに対応することもありますよね😇なので臓器別専門医と同じようなアプローチをとっていたら抜けの多い穴だらけのヤブ医者になってしまいますよね😇臓器別専門医の先生から見たら目も当てられないような診療がされていたり😇まあワイのことですけど😇😇
なのでそこには特別な対策が必要になりますよね😇
ちょっとずれますが、総合診療医は自分がみてよい病態・疾患なのかを総合的に判断する能力が大事ですよね😇

⑤エビデンスにアクセスしにくい

総合診療医は他の臓器別専門医と比べて大病院ではなく中小病院や診療所に所属している割合が大きいと思います。中小病院や診療所は大病院と比べてジャーナルやUpToDateなどの2次資料の契約がされていないことも多いんですよね😇isho.jpの文献アクセスがあるかどうかなども非常にでかい要素ですよね😇
まあ総合診療医がエビデンスへのアクセスに価値を置いていないからこそ自分の働く環境でエビデンスにアクセスがないのではないかという説もありますが😇😇😇

⑥アカデミアから遠い

前回のnoteに書きましたが、総合診療医(特にJPCA界隈)は症例報告を含めた論文をあまり書いていない可能性があるんですよね😇

個人的にはケースレポート作成はヤブ化を防ぐ有用な手段だと思っているのですが😇😇この辺は⑤とも関連してますかね😇

⑦回りから専門性を理解してもらいにくい

総合診療医の専門性は何ですか?と聞かれて答えられる医者って総合診療医以外でいますかね?😇まあそんなにいないですよね😇ワイも良くわかっていないので😇😇😇
なので、医学界では地位を確立できていないし、専門性を理解して頼ってくれる先生も少ないんですね😇😇「総合診療なんかワイでもできるぞ!」と言われるのが現実ですから😇
ただ、患者や一緒に働くスタッフ、地域包括ケアに関わる人たちからは感謝されたりするんですよね😇もちろん彼らも専門性を理解しているわけではないですが、なんとなく必要な人たちとは思ってくれたりするんですよね😇
なので「同業者から理解されなくてもいいもん‼️患者、スタッフ、地域の人たちからは感謝されるもん‼️」となりがちなんですよね😇😇もちろんそうなること自体は悪いことではないですし、必要なものだとも思いますが、このお気持ちが強くなりすぎるのはヤブ医者、闇堕ち医者への入り口に足を突っ込むことになると思うんですよね😇

同業者からは理解・承認されない→抑えられない承認欲求→患者や地域からは感謝される→そっちの方向で承認欲求を満たしていく→優しいヤブ医者になっていく→以下無限ループ…😇😇😇

実際こういう感じで闇堕ちいていった人たちってTwitterで稀によく見る気がするんですよね😇なので、自分がこの無限ループに入っていないか、客観的に自分を見ておかないとですね😇まあそれができれば闇堕ちしないんですけど😇😇😇

総合診療医のヤブ医者化を防ぐためには?

最後に総合診療医がヤブ医者にならないためにどうするべきかについて考察しようと思います。といいながら、すでに我らが藤沼先生がまとめてくれているんですよね😇

  1. ひとりぼっちにならないようにしよう

  2. スキルを維持するために病院の仕事もしよう

  3. 自分の臨床経験を過大評価しないようにしよう

  4. 自分にフィットする学習スタイルをみつけよう

  5. 文献を読むことはいつの時代も大切にしよう

  6. ICTマスターになろう

  7. 印象深い事例や思いがけないデータは記録して、ふりかえりを書こう

  8. 教えることは学ぶことなので教育をやろう

こちらは中年以上の家庭医がヤブにならないためにとのことですが、総合診療医全般にあてはまるものだと思います。
上記にもありますが、個人的には複数のセッティングで働くこと、教育にかかわること、アカデミックな活動に関わることはとくに重要だと思っています。
あとはですね、学会単位でいうと学会(JPCA)は総合診療医のヤブ化についてもっと危機感をもって啓発したほうがいいと思うんですよね😇しかし自分の知る限りではそれほどはなされていないですかね😇まあ生涯学習の支援なんかはありますけど、ちょっと足りないかなあと😇

ということで、総合診療医とヤブ医者についてつらつらと書いてきました😇
ワイとしては自分が総合診療医にならないために、そして総合診療医のヤブ医者が増えないようにするために、自分のできることをやっていきたいと思います😇
最後までお読みいただきありがとうございました😇




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