京都サンガ2019シーズン総括

【はじめに】

本記事は、生観戦1試合、その他の試合もDAZNで見たり見なかったりしていた人間による感覚ベースの文章です。本件をご承知おきの上、お読みいただけると幸いです。

今年の京都は19勝12敗11分、勝点68の8位でフィニッシュ。
一時は首位に立ち、長くプレイオフ圏内の順位をキープしてきたこと、最終戦に勝利していればプレイオフに進出できたを考えるともったいないシーズンだったように思えるが、果たしてそれは真実なのか。本稿では、今季の京都サンガをどう評価すべきか、来季の展望も踏まえ私見を述べさせていただきたい。

①新体制発表会

昨季は19位に終わった京都サンガ。
シーズンオフに抜けた主力はキャプテン染谷、岩崎、カイオにとどめたが、補強も6年以上前の主力である宮吉、安藤の復帰と未知数な外国人や大卒ルーキーにとどまり、単純な戦力としては良くて横ばいレベル。
また、新監督はJクラブでの監督経験がなく、開幕前はSNSでの発言ばかり目立っていた中田一三氏と、京都史上有数の不安なシーズンインとなった。
(その影響か、某新鋭サッカーメディアの開幕前予想勝点はJ2最低だった)
とはいえ、京都サンガはチームの規模的にJ1を目指すべきチームであることに変わりはない。

そんな中迎えた新体制発表会で、ついにチームとして「J1昇格(復帰)」という言葉が出てくることはなかった。あくまで「目の前の一戦必勝」という表現にとどめたのだ。
昇格を目指すことが当然と考える京都サポーターとしては違和感と不安感が募るシーズンインとなったが、今季の目標設定はチーム状況を正しく把握し、未来を見据えたものであると私は評価している。

②指導体制の整備

京都サンガは、2013年のシーズンオフに大木監督が退任して以降、チームコンセンプトの確立に苦慮し続けてきた。
プレイオフまで進んだ2016年の石丸監督体制では、しっかり守備ブロックを形成してカウンターで手堅く勝点を重ねるスタイルを一定確立したが、プレイオフ敗退を受け、2017年に指揮官が変わるとまたスタイルが大きく変わってしまい、結果として低迷することとなった。
そんな中、今季は中田新監督の経験不足を考慮してか、コーチ陣に前年を知る佐藤尽氏、かつての京都を知るエンゲルス氏、ガンバで結果を出してきた實好氏と、他クラブであればヘッドコーチを務められる人財を3人据え、中田監督をサポートする体制とした。
当初は「船頭多くして船山に登る」とならないか不安であったが、結果を見る限りうまく中田監督をサポートできていたのではないかと思える。

③新・京都スタイルへの第一歩

「昇格を狙う」と公言しなかったことにより、目先の勝点に囚われず、腰を据えてスタイル構築に取り組んだ今季の京都サンガ。2012年度の天皇杯を準優勝した際の大木サッカー以来の、自分達でボールを保持し、ゲームをコントロールするサッカーを展開。(この点、大木サッカーの真髄とは少し異なる)開幕戦でワントップに宮吉拓実を置き、センターバックにビルドアップのうまいルーキー上夷克典を登用したことからもその気概が伺える。ただ、昨季と大きく異なる戦術にアジャストできず、開幕当初はよくある「ポゼッションのためのポゼッション」の色が濃くなり、ボールを保持して相手にチャンスを作らせないものの、なかなかアタッキングサードで勝負のパスや突破が見られず得点が伸びない試合が続いた。そんな中でも試行錯誤を繰り返し、センターバック本多勇喜、左サイドバック黒木恭平、アンカー庄司悦大、最前線に一美和成、両ウイングの仙頭啓矢、小屋松知哉らを軸にしたサッカーが今季のスタイルとなった。しかしこれは完成形ではなく、今後も試行錯誤を繰り返し、より安定・強固かつ柔軟性のあるスタイル構築を目指してしていくことになるだろう。

④まとめ、来季の展望

これまで述べてきた通り、昇格を公言しないチームにおいて、昨季の19位から最終節まで昇格の可能性を残せる位置まで這い上がったことは、非常に評価に値するシーズンだったように思う。
結果的にJ1へのキップは手に入れられなかったが、間違えても失敗ではなく、今後の更なる躍進に向けての第一歩となったシーズンと言える。
(新スタジアムをJ1で迎えるのであれば、今季の動きを昨年までに取るべきだった、という反省点はもちろん忘れてはいけない)
来季は今季のサッカーを更に昇華させ、今度こそ「京都スタイル」を確立させ、降格から10シーズン目の終わりを笑顔で迎えられるようにしたい。
…来季は1試合で13失点するのはやめような!笑

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?