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見えないとエントリー料がかからないのでマラソン大会に出てみた

3月3日、性懲りもなくまたマラソン大会に出た。もちろん東京マラソンではない。
あんな神々の祭典に私のようなインチキが出場するなんて不敬にもほどがある。第一
10キロは走る自信がない。
ちなみに東京マラソンには障害者枠でフルマラソンのほか視覚障害者だけが参加でき
る10キロコースというのがあるのだ。


私が出場したのは厚木のちょっと先、愛甲石田というところで自動車の会社日産が主
宰している「日産ふれあいロードレース」の5キロコース。

健常者のみならず視覚障がい者に参加しやすい大会というのがこのレースのふれ込み
だ。
ブラインドマラソン協会も協賛していて視覚障害者はエントリー料が無料と言うのも
魅力的だった。
親子の部と言うのもあって子供たちにも障害者にも優しそう。

走るのは遅いわ体力はないわのへぼランナーの私は5キロとは言え一般のゴリゴリラ
ンナー達の間に混ざって走るなんて恐ろしい事はいまだにできる気がしない。

この大会の情報は私が所属している視覚障碍者のランニングクラブのメーリングリス
トで流れてきたのでクラブの他のメンバーも何人か出場するらしい。


エントリーを完了し、伴走してくれる人もお願いした。2月に入ると主催から当日の
要項も送られてきた。
後は当日走るだけ。

そんな時、マラソンクラブの練習会で一緒に走ってくれたサポートの人に恐ろしい話
を聞いた。
彼は以前そこで伴走をしたことがあるそうなのだが、「ほとんど坂を上ったり下った
りするコースだからかなりきついよ」との事。

5キロは年末にも走ったから多分大丈夫。しかも子供や障害者にも優しい大会だから
きっと楽勝だろうなんて高をくくっていたところに冷や水を浴びせられた。おいおい
マジか?!

だんだん不安になってきたけど伴走者も頼んでしまったしもう後には引けない。


そして当日。伴走の人はあらかじめネットでコースとかを調べてくれていた。「坂が
多くてきつそうだね。」彼女もそんなことを言っている。


私はあらかじめ走るコース等の地図も送ってもらっていたけれど、何せ見えないので
当日伴走の人に見てもらえばいいやとほったらかしにしていたのだ。


会場に着くといきなり都会的な日産のオフィスビルが現れた。開会式までそこで待機
できたので寒い思いをせずに済んだ。もちろんトイレも綺麗で、更衣室は一般の男女
以外にも視覚障害者の更衣室が男女それぞれに設けられていた。

必要かどうかわからなかったけれど一応視覚障害者のランニングクラブのビブスを持
っていった。そしたら他のクラブのメンバーもビブスをつけていたのでお仲間を発見
することもできたし、何より一般ランナーも私が見えない事に気づいてくれた。
ビブスありがたし!!

レースはその上に安全ピンでタイマーのついたゼッケンをして走る。


そしていよいよレースが始まった。私はもちろんブービー賞狙い。

走り始めてすぐ下り坂がやってきた。上り下りやコースの様子は逐一伴走者が教えて
くれる。
結構長い下り坂。行きは良い良い帰りは怖い、帰りはこれを登るのだ。

前にスーパーランナーの人に教えてもらったのは、下りの時はただ足を出せば勝手に
足が前に進んでくれる。そして上りの時はなるべく小さい歩幅でちょこちょこ登る。
これを思い出しつつ下りはただただ足を前に出した。
そして恐怖の上りがやってきた。言われた通りにちょこちょこ登るがやっぱり辛い。
行けども行けども登りきらない。
そしてフラットの道を少し走るとまた下りが出てきた。今度は前よりも急な坂ではな
かったが上りはまた大変だった。
こんな上り下りを何回か繰り返す。とにかく下りでタイムを稼ぐべく一生懸命足を前
に出した。

そして最後の下り。とにかく必死こいて走ってブラインドの女子選手を1人抜く。

沿道では日産の方たちだろうか、スタッフの人が寒い中応援の声をかけてくれたのが
励みになった。

応援にも背中を押してもらい、とりあえず途中で歩くことなく最後まで走りきれた。

記録は43分。上り下りばかりだったからそれを考えると結構検討したかもと自分で自
分を褒めてやる。
多分7キロ位を走った負荷がかかっていたのではないだろうか。

途中、前のレース結果がアナウンスされていたのだが、親子で走った小学生、1位の
女子は2.4キロを9分台で走っていた。子供<
侮れじ!!
親も一緒に走っているはずだから、上位の子たちはきっとマラソンサラブレッドに違
いない。


結果、私は視覚障害者の選手10人中8位。惜しくもブービー賞は逃した。
最後に1人抜いてしまったのが良くなかったのだが、やはりブービー賞は全力で走っ
てなんぼである。


帰りに伴走をしてくれた人と一緒に駅の近くでお蕎麦を食べて帰りました。お蕎麦が
意外とおいしかったのと店員さんが親切だったのでほっこりした気持ちで帰ることが
できました。


私が10キロ走れるようになるひは来るのだろうか
来年は東京マラソンの10キロに挑戦できればいいな。


蛇足ですが3月3日がひな祭りだったことは翌日のXの投稿で初めて知りました。

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