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米国市況レポート - 2024年5月9日:米国市場を揺るがす新規失業保険申請件数の急増

はじめに

毎週木曜日は、米国ではWeekly Unemployment Reportの発表日です。特に今週のレポートでは、新規失業保険申請件数の増加が市況に大きな影響を与えました。というのも、新規失業保険申請件数の値が昨年8月以来の高水準に達しており、それが労働市場における冷え込みの兆候と見なされているためです。

失業保険申請の増加は、米金融当局による年内の利下げ観測を強める要因となっています。これは投資家にとって好材料と捉えられ、株式市場の上昇につながっています。外為市場では、この指標の発表後にドルが他の主要通貨に対して下落しました。

米金融当局はこの指標を注視し、適切なタイミングで利下げに踏み切るかどうかを判断する材料としていますが、一方でサンフランシスコ連邦銀行のデーリー総裁は、現在の金利が景気を抑制しているものの、インフレ率を下げるには「もっと時間がかかる」と述べています。

今日はその辺りを見ていきましょう。


株式市場

本日の米株式市場は、S&P 500種株価指数が約1ヶ月ぶりに5200ポイントを上回る高値を記録しました。これは、新規失業保険申請件数の増加が示す労働市場の冷え込みが、米金融当局による年内の利下げ観測を強めたためです。特に注目されたのは、ロイトホルト・グループのダグ・ラムゼーCIOの見解で、彼はS&P 500がさらに10%上昇する可能性が高いとの極めて楽観的な見方を示しました。今日の市場は、技術的な分析と投資家の期待感によって大きく左右される模様で、次の動向が注目されます。

国債市場

国債市場では、米10年債利回りが4%に低下する見込みが68%という調査結果が示され、市場の期待が高まっています。新規失業保険申請件数の増加が引き続き市場に影響を与えており、利下げ期待が国債利回りの低下を支えています。投資家は米金融政策の今後の動向と、それが長期債に与える影響を慎重に見守っています。

外為市場

ドルは本日、主要通貨に対して一貫して下落し、特に対円で155円台半ばで取引されました。この動きは、新規失業保険申請件数の発表を受けたもので、市場参加者によるリスク再評価が見られます。円に対しては、日米金利差による影響が依然として大きいものの、積極的な動きは限定的でした。

原油市場

WTI先物は、強弱まちまちな在庫データの中、79ドルを超えて引けました。市場は技術的な指標に注目しており、100日移動平均が支える形となっています。この水準は、先週の在庫減少を反映していることから、市場の見方は依然として前向きです。

金市場

金市場では、金スポット価格が3日ぶりに上昇しました。これは、新規失業保険申請件数の増加が労働市場の減速兆候と見なされたためです。インフレ指標の発表を控え、金の安全資産としての魅力が再び高まっています。

コラム:米労働市場と金融政策

最新の経済指標が示す米労働市場の冷え込みは、金融市場において一つの重要なターニングポイントとなる可能性があります。特に注目されるのは、これが金融当局の利下げ時期にどのように影響を及ぼすかです。市場はこれまで以上に経済データに敏感に反応し、今後の金融政策の方向性を占う重要な指標としています。今回の指標は、特にドルの弱含みと株価の支援要因として機能し、市場のリスク姿勢に微妙な変化をもたらしています。


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