フェムテックの裏で男性の性のお悩みを解決するサービスが増えているので紹介

みなさん、こんにちは。NY在住MBA学生ライターのユカです。

noteマガジン「ニューヨークアンテナ」ではNY現地で仕入れた最新マーケティング・サービス情報を紹介しています。ぜひ登録して下さいね！

以前、女性にとってはつきものの生理の悩みを少しでも改善する女性向けサービスをご紹介した記事を更新しました。そこで「男性の性に関する悩みを解決するサービスはないの?」と思った方もいるかと思います。 男性の性生活のお悩みの中でもダントツでトップにランクインするのがED（Erectile Dysfunction：勃起不全）ではないでしょうか。一昔前は、EDは中高年世代の人に多くみられる症状で若者には縁のないものとされ、「若年性ED」は日の目を見ることもありませんでした。しかし実際のところ、近年では多くの20-30代の人々が若年性EDに悩まされていることが分かっています。

性の悩みは万国共通。アメリカでも、ある統計調査によると、6割以上の男性が、「セックスの質は、日常生活の満足度に影響を及ぼす」と答えています。それもなんと、友人との時間や、自分自身に費やす時間よりも影響が大きいとのこと。性生活が私生活の質の向上に多大な影響を及ぼすとだけあって、満足できるセックスができないのは困りものです。

そこで今回の記事では、アメリカ発の最新男性向け性生活向上に繋がるサービスに注目して、現状をお伝えしようと思います。

ED治療もスタイリッシュに

(出典: ニューヨークアンテナスタッフ撮影)

上記の広告をパッと見て、何の広告かすぐにピンときましたか？キャッチコピーを読めば分かるかもしれませんが、実はこちらNY市の地下鉄で見かけることができるhimsというブランドのED治療薬の広告なんです。

上記のように露骨な広告を発していますが、リベラルでオープンなNYならではとも言えます。今までは若い人だと手を出しにくかったバイアグラ等の治療薬をスタイリッシュにマーケティングし成功した事例。

地下鉄の駅という何万人もの人が毎日利用する場所で、センシティブな悩みに焦点を当てるのは、批判覚悟で行わないといけません。ただ反対に、人には言えない悩みだからこそ、一度に多数の人に訴えかけられるのも事実。そして、意外と自分と同じような悩みを持っている人も多かったりします。
himsのウェブサイトでは実際にバイアグラの商品名を出して、自社製品と比較をしています。分かりやすく、簡潔に、（そして何よりオシャレに！）有効成分や、効能について記載されている上、アメリカの食品医薬局(FDA)にも承認を受けていますので、安心して使用することができます。

しかも当ブランド、2020年にはオハイオ州のコロンバスで薬局を開業する予定。既に約100万製品を人々に届けてきたhimsは、新規で薬局をオープンすることでより多くの自社製品を短時間で配達することを可能にすると発表しています。
ブランド創設からたったの2年で評価額10億円を超え、NY市内の地下鉄で広告を打てるほどに成長したユニコーン企業のhimsは、間違いなく今後も注目の男性の性生活を支えるブランドです。

早漏の救世主はまさかの...ウェットティッシュ!

EDと並んで多くの男性陣の悩みの種となるのが「早漏」。インターネットのアンケート調査でも自分は早すぎると感じている男性が多いことも明らかになっています。そんな課題をユニークな方法で解決したのがRomanというブランド。このブランドも男性の性生活の向上や改善に役立つ商品を開発しているのですが、中でも “Roman Swipes”という商品は、早漏という課題をウェットティッシュで拭くという画期的な方法で解決しているんです。

使い方は至って簡単。肝心な時に中身を開けて、ウェットティッシュで陰部を拭くだけ。5分間待って乾かせば、その後は存分に楽しい時を過ごせるはず。

Roman Swipesの効能は、低容量局所麻酔薬。Romanが独自に実施した試験では、Roman Swipesを使用した82％の男性が2ヶ月後には早漏の改善を感じたことを報告しています。

Romanでは他にも、薄毛対策や、ED治療、また個人に合わせた薬のカスタム処方も行っています。オンラインで医師に診てもらうことで、いつでもどこでも簡単に相談をすることができ、その後のフォローアップも過去のデータを基に簡単に追跡できるようになっています。センシティブな悩みなだけに病院まで足を運ぶのが億劫と感じる人にも最適です。2017年にNY市で産声をあげたRomanの親会社Ro社はまだまだスタートアップの企業ですが、2019年にはFast Company誌の「世界で最も革新的な企業」のヘルスケア部門で2位にランクインしています。

たった1年の間で、5人で始まった会社を70人ものスタッフを雇用するまでに成長し、さらに今年に入って禁煙キットのローンチのためになんと88億円にも上る資金調達に成功。
男性の健康を支えるブランドとして、今後も多くの人々の役に立つこと間違い無しですね。

3. マーケットはどんどん発展中！ 目が離せない男性向け性生活を支えるサービスの今後

(出典: 噛むタイプのED治療薬BlueChew)

Romanやhims以外にも、現在は様々な競合ブランドが後追いで男性向け商品・サービスを開発しています。ED治療・早漏改善から始まり、禁煙サポートや薄毛対策など、どれも男性の健康や性生活に焦点を当てたものばかり。月払い制のサービスを展開するブランドもあれば、商品をその都度購入するブランドもあり、ライフスタイルと用途に応じてユーザーのニーズに対応しています。

ただ、どのブランドにも共通するのは、人には言いづらいED治療薬や早漏の改善薬を、若い世代の人でも手を出しやすくマーケティングしている点です。そして、オンラインでも簡単に商品を入手できるようになっている点。パッケージはミニマルで、余計な情報を一切無くし、決してED治療薬とは分からないようになっている上に非常にスタイリッシュでもあります。

（NY地下鉄でのRoman広告）

また、多くの人の目に触れる地下鉄の駅という場所で、親しみやすく、一見ED治療薬の宣伝には思えない広告を打つことで、ブランドの認知度も上がりミレニアル世代の若者にも訴えかています。今後は、アメリカの独特の医療保険制度を踏まえて、オンラインで簡単に有効な治療薬を入手できるような仕組みがどんどん整っていくことが予測されます。今までは「面倒臭い」、「医療費が嵩む」といった理由から受診をためらっていた人でも、オンラインなら馴染みやすく、ハードルも低め。ED治療薬も「オシャレ」であることが求められる時代のいま、himsやRomanのような男性向け製品を展開するスタートアップも、どんどん競合他社が増えそうです。

（ニューヨークタイムズスクエアのHims広告）

いかがでしたか？ ED治療や早漏改善は性生活のお悩みを解決するだけでなく、健康面から見ても大切な課題です。企業が人々のニーズや時代のトレンドを理解し、それに寄り添った形のマーケティングを行うことで、必要としている人に商品を確実に届けることができるのではないかと思います。

＜ライター：ユカ＞　何となく旅行とか、洋画とか、読書とか、瞑想とか、健康的な食事とか、世界情勢とか、環境保護とか、人間のこととか、心理学とか、アートが好きです。いまのところ20代、いまのところNYC在住のトリリンガルの女の子です。

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