食べさし

汚い食べさしと清らかな心と

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最近の記事

【MBTI】INTPの思考

僕は知人から論理的な人物だと評されることが多いが、合理的な人間では決してない。 論理的と合理的、このふたつは似通っているようにみえてまったく異なる属性だ(と僕は考えている)。 ここでは個人的なイメージについて述べる。 論理力というのは、アルゴリズムを正しく遂行する能力だ。演算子を正しく用いれば、ただひとつの解に辿り着く。1+1は2であって、それ以外ではない。「+」の意味を誤解しないかぎり。 +-×÷といった演算子は、日常語でいえば「だから」、「したがって」、「なぜなら」

    • 映画みてすぐ「泣いた」とかいうやつ

      映画の感想を訊くとすぐ「泣いた」とか言うやつがでてくるが、ああいうやつはだいたいなぜかドヤ顔である。 「〇〇めっちゃ良かった〜わたし泣いた」 「おもろかったっすよ。おれ、泣いたすもん」 信用できない。なにかを褒めるとき簡単に「泣いた」と言ってしまう人を信じられない。 長年抱いていたこの違和感を言語化してみる。 1. まず第一に、「泣いた」とか言われても、それはお前の涙腺次第やろ、という問題がある。 涙の重みは人によって千差満別だ。転んだだけで泣くやつもいれば、気失っても血反

      • 阿呆みたいな仕事

        この1ヶ月はべらぼうに忙しかった。自分は今アルバイトを週6日で入っている。歓楽街の焼肉屋だ。しかも食べ放題。当たり前だが、食べ放題ともなれば食べる方だって忙しい。つくる方ならもちろんなおさら。阿呆みたいな仕事だ。特に今はバイトリーダーがくそみたいな男でみんなシフトに入りたがらない。欠員が出てより忙しくなる。だからいっそう働く気力が失せる。負の循環。 それでも遊ぶ金欲しさにバイトを入れる連中がいる。自分を含めてそういうのは決まったメンバーだ。毎回のように顔を合わせ

        • 愛と成功

          10代が終わり、他人への関心がゆっくりと薄れてきた。それに応じて自分から他人に期待する関心の割合も減ったようでこの頃はなんとなく生きやすく感じる。思春期自意識フィーバータイムは終わりを告げた。 他人の内面なんか知ったってどうしようもないし、他人から理解される必要も無い。そう思い始めてからは無為に自分を大きく見せることもなくなった。もともとマウントを取るタイプではないと思うが、軽く見られたくないというプライドは頑としてあった。そりゃ今でもトイレから出てきたあとでうんこなんてし

        【MBTI】INTPの思考

          「好き」という神話

          まだ自然科学のなかった時代、世界の成り立ちについて語る唯一の手段が神話だったわけだけれども、世界各国のあらゆる神話・宗教が「世界はどのようにして生まれたか」という問いに対して出した答えは3つに大別されると丸山眞男は述べている。 神が宇宙を創造した 神が出産することで宇宙が生まれた 宇宙は植物のように生成した 1は言わずもがな一神教による説明であり、旧約聖書の創世記はまさにこういった説明をしている。 古事記は3に分類されるらしく、2は1と3の中間で多くの多神教文化がこ

          「好き」という神話

          外灯に照らされた夜の町

          朝陽は辺りを満遍なく照らしてしまう。それに比べて夜の外灯。スポットライトのような。それでいて映すのはあてどなく歩く哀しい人ばかり。丸まった背中のアーチに影が射す。彼には名前がない。戸籍があってもそれを知る人がいないから。 たとえば晴れ渡る日の朝、路上に鏡を置くと青空を見下ろすことができる。片手に収まる空が足下に。そしたら次に鏡をひろって歩きだそう。きみは青空をポケットにしまうことができる。 夜の外灯はそうはいかない。鏡を下ろして覗くと、光が深淵みたいだ。何もか

          外灯に照らされた夜の町

          ドライな文体

          中島らもやチャールズ・ブコウスキーといったドライな文章を書く作家が好きだ。ドライと言っても彼らは感傷的で耽美な文を書いたりする。郷愁に思いを馳せたりする。「青を売る店」、「美しい手」、「町でいちばんの美女」。 ではなぜ彼らにドライな印象があるかと言えば、たぶん自分を突き放しているから。この、「突き放す」という按配がむずかしくて突き放すつもりで自分を下に置きすぎると卑下になる。 卑屈さには湿気がある。 卑屈・僻みを自虐ユーモアにしているのが森見作品の特徴。彼にも湿度の高い

          ドライな文体

          ロミオとジュリエットとぼく

          あれは中学2年生のとき。 ひとつ前の席の女の子のLINEプロフィールが「恋って言うから」と書かれたポエムに変わり、後ろの席の男子のプロフィールが「愛に来た」に変わった。 僕たち3人は窓際の最後列の席だった。授業中、2人はよくカーテンの中に入って見つめ合った。 心理学には「ロミオとジュリエット効果」と呼ばれる現象があって、これは恋仲のあいだに障害があるほうが恋愛のボルテージが上がるというものらしい。 障害になるのは一般的に親の反対が多いだろう。 僕は気づかぬ内に障害となって、

          ロミオとジュリエットとぼく

          冬に咲く花

          12月。木々が光りだす。 しかし、街路樹に蛍光を巻き付ける作業員の姿を見た者はどこにもいない。 それもそのはず、植物は自ら発光しているのだ。 学名ヘデラ・ランテルナと呼ばれるその蔦は 冬になると自生し、辺り一面にランプの光を咲かせる。 あまり知られていないが、光の正体は胞子である。 だから正確に言うと、この蔦は植物ではない。 ヘデラ・ランテルナは菌類であり、 茸の仲間と言えば分かりやすいだろう。 毒性は緩慢。 近寄る人に一種のせん妄状態をつくり出す。 雪の降る夜、うっかりと外

          冬に咲く花

          万物のように

          空気の淡いひとになりたい 風のような光のような 存在感の水色のひと 炎のようにすり抜けたい ひとのこころに火をつけて 書物、哲学、燃やしてしまう 波のような心でいたい 満ち足りつつもどこか孤独で 流れるように流されていく 草木のようにそっと死にたい 花弁のようにまぶたを閉じて 土になるまで眠りつづける

          万物のように

          合掌

          飛び降りるときって、落ちてるって思うのかな 空が上がってるって思うのかな​────── そう云った齋藤は死んだ。19だった。合掌。 青酸カリってどんな味だろうね 美味しい毒物が知りたい​─────── そう云った小林は死んだ。料理が趣味だった。合掌。 ねえねえ、宝くじが当たったらきみはどうする?​──── そう云ったケンちゃんは死んだ。雷に打たれて。 確率を愛し、確率に呪われた漢だった。合掌。 カイリキーなっちゃった​─────── そう云った有くんは死んだ。脇見運転だ

          短歌

          ・プロフィール ひとことで言えば、 私は退屈に手足が生えたようなやつです 冬好きはコタツ嫌いに違いないという意見を ぼくはもっている 趣味: 孤独 特技: 不平のプロフィール欄があったら おれのことだよ ・むすんでひらいて 写真機じゃ未来は写せないとゆう あいつのひとみ、ビー玉みたい 文明によってまもなく この街の夜景は白に塗り替えられる 星座には無理があるって云うきみのほくろを結ぶ みなみじゅうじ座 ・時計じかけのセリフのように 裏切られる相手もいな

          思うことなど

          ネット空間、冬のストーブ置き場みたい ネットの「炎上」は、 炎で暖をとりたいさびしい奴らが集まってて コメント欄も見ようによってはエモいかもしれん。 感想『ファイアパンチ』 「本当に正しいこと」なんてないけど、 正しいと思えることをして生きていくしかないから、 どっかで盲信しないといけないのかも。 トートロジー 神様に悪いやつはいない。だって神様だもん。 自己嫌悪はいつも行き止まり 恋のせいで自分を嫌いになってしまった場合、 自己嫌悪の元凶は恋の相手なんだから

          思うことなど

          ナンセンスはいかが

          「哲学的ゾンビの誕生」 決意には決意がいる。決意をしよう、という決意だ。 そしてもちろん、 決意をしようという決意の前にも決意がいる。 つまりひとつの決意には無限の決意を要するわけで、 宮本くんはある日このことに気づいてしまった。 無限の決意をこなすのは不可能だ、 ならば決意をやめちまおう……。 彼は思う。 が、決意をやめるってのもひとつの決意じゃないか? そう、気づいてしまったのだ。 決意も決意をやめるという行為もどちらも不可能なのだということに。 だから彼は今なにも考

          ナンセンスはいかが

          決意

          まわりに流されず 親の反対に負けず 衝動的な物欲にも負けない 確固たる自我をもち 夢はなく 決して働かず 月々10万円の配給を受け 生活保護で暮らしている そういうものに わたしはなりたい ​───賢ちゃん・無職の詩 2 ぼくはときどき自分の書いたものを読み返す。 すこし面白い。すこし痛々しい。 そしてまたすこし笑える。 ところでこれがいちばん重要なことなのだが、 ほんとうに精魂傾け書いたものは再度自分を興奮させてくれる、心の

          あおい

          とんがりあの娘は猫の耳してきいている 風のうわさ 光のおと 街のくうき とんがりあの娘はゆれるカーテンをまとってる 春のひかりがあの娘を無邪気にとりかこむ まるで野次馬みたいにね ならんだ窓も釘付けにして しろい肌は燃えてしまいそう 髪は真っ赤に燃えている とんがりあの娘は年をとらない 時計の針はとまってる 記憶のなかの とんがり少女