第11話 函南でのララライブ(後編)

私は幼い娘2人を連れていたので、
周りの迷惑にならないよう、
ステージからは少し離れた
後ろのベンチに座った。

物販コーナーを見たりしたかったけれど、
娘2人を連れて人混みの中を歩くのは、
少々困難だった。

そしてついに開演時間を迎えた。

まずはkainatsuこと、
なっちゃんのステージから。

私はなっちゃんのステージを観るのが
初めてだった。

肌寒い秋の夜の空に、
なっちゃんの透き通った歌声が
響き渡った。

この日のために飾られた
キャンドルの灯りが、
私たちの心にもひとつひとつ
灯されていくようだった。

そしてだいちゃんのステージ。

「ここにバンジョーがあるってことはね。
だいたい察して頂ければ。
ボク、弾けないんでね！」

だいちゃんがそう言うと、
みんながドッと笑った。

そしてその通り、
けんちゃんが飛び入り参加ということで、
私は2人の演奏を聴けるという
素晴らしい機会に恵まれたのだった。

この時点で確か
チケットは購入済みだったと思うが、
この2人の演奏というのは
のちに足を運ぶ、
スーパーニコルブラザーズの
予習みたいなものだったかもしれない。

印象的だったのは、「フォーエバー」
この時聴いたアレンジは、
音源で聴いていたのとは
印象が全然違い、
私はこちらの方が好きだなと思った。

ライブ後の抽選会は
残念ながらハズレてしまった。

抽選会の間、物販コーナーには
客がいなかったので、

今がチャンスだと思って、
私はそこにいた
まなんちゃんと あいちゃんに
初めて声をかけた。

グッズをいくつか購入し、
「明日、山梨行きます！」
と、しっかりアピール。

※私はこの翌日から、
山梨のファンクラブ旅行に
参加することになっていた。

けんちゃんはその場にいなかったので、
ご挨拶できたのはこの翌日、山梨にて。

そこでまさか一目惚れするなんて、
この時はまだ予感していなかった。笑

抽選会が終わり、
最後にサイン会の時間。

とても混んでいたが、
私はなんとしても、
だいちゃんにご挨拶がしたくて、
長蛇の列に並んだ。

先ほど購入した、
ミュージックビデオ集に
サインをお願いした。

書いてもらっている間に、
「明日、山梨行きます！」と言うと、
だいちゃんが顔を上げた。

「あ、そうなの？ありがとう」
だいちゃんが手を差し出してくれた。

握手。

噂には聞いていたけれど、
本当に大きな手！

だいちゃんは私の目を見て、
私の手をしっかり握り返してくれた。

ほんのわずかな瞬間の出来事。

だいちゃんにとっては、
流れ作業みたいなものなのかも？しれない。

でもきっと、私だけじゃない。
この瞬間に、
パワーをもらっている人が
たくさんいるはずだ。

翌日からの山梨旅行が
ますます楽しみになった。

番外編へ続く。

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