「ありのまま」と「今のまま」はどうやら違うらしい。
「ありのままで自分らしく生きよう」という言葉が、普段は好きなのだけれど時折むず痒く感じることがある。
むず痒い理由は、
ありのままの自分なんてぐうたらだし、そのままでいいなんて思えない。だって、現状維持は衰退だって言うじゃない
と思ってしまうからだ。
「そんな自分じゃダメだ!」と思うから、何かに挑戦する。苦手教科を勉強したり、交友関係を広げたり。実際そう考えていくつかの経験を積んできた。自己否定は、立派なエンジンになる。
ひたすらマイナスをプラスに、せめてゼロに、変えていく。達成感があり自信もつく。けれどどこまでいってもマイナスがあるから、ずっと追いかけていると苦しくなる。「今のままでは価値がない」なんて思った日にはもう、だ。
実は、「ありのままで生きる」と「今のままで生きる」は似ているようで少し違うらしい。
「ありのまま」は今の自分で十分OKだけど、もっと伸び代があると考える生き方。
「今のまま」は今の自分を不十分とみなし、欠陥を埋めようとする生き方。
多くの人は「今のままではダメだ」という教育を受け、自己否定をエネルギーに挑戦してきている。それで自信をつける人は少なくないと思う。わたしもその1人だ。
そういう人から見ると「ありのまま」は甘えに見えてしまう。(しかし果たして、自分を肯定することは"甘え"なのだろうか?)
「ありのまま」で生きるか、「今のまま」で生きるかは、選択できる。どちらがいい悪いはなく、選択肢として等しく並んでいる。
ただ「今のまま」で長く生きていると、「ありのまま」で生きたいと思っても、選ぶ勇気が出ない。「今のまま」でこれまでなんだかんだ生きてきたし、自信もついているから。「今のまま」の成功体験が強く残っている。
「ありのまま」を選ぶコツは、どれだけ自己信頼できるか。小さくてもいいから自分にマルをつけられるか。最初の一歩を踏み出せるか。
わたしは今の会社に「ありのままの自分で働きたい」と思って入社した。ありのままで働くことが、持続可能に周りに貢献することに繋がると思ったから。
今、それがどのくらいできているかは正直分からない。20数年間培った「今のまま」思考は簡単に抜けないし、やっぱりエンジンになる瞬間はある。それが悪いこととは思わない。
ただ、他のエンジンで生きる生き方もやってみたら、見える世界が変わるんじゃないかと思う。それを知りたいし、やっぱりずっと苦しい思いはしたくない。「今のまま」思考になっていると気づいたら、「ありのまま」思考にしてみる。
最近はそんな実験をしている。
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