おじさんとルッキズム
ひとりで近所の立ち飲みに行くと、めちゃくちゃ天然美人が先にいた。
「今日は、美女デーだ!」
とマスターは言う。
わたしは、美女というカテゴライズの中に入れてもらえているらしい。
隣にいた彼女は、ほんとうに着飾っていない性格も良い天然の美女だった。
わたしはけばい元キャバ嬢の金をかけた女だという自覚がある。
ここまではまあ、よくあるのだけれど、その天然美女がわたしを美女ともてはやす、あれをどうしたらいいのかがわからない。
多分、彼女のが年下だから、彼女なりの処世術なんだろうと思う。
天然美女ってのは、性格もいいんだ、わたしは知ってる。
だから、話も合わせてくれて、またのみたいなってきもちになっちゃうんだよ。
もう、でも酒飲んでてそんなこと考えたくないんだ。
見た目がどうこうじゃなくて、そのとき楽しいって気持ちで、いっしょに飲めたらいいんだ。さみしさや、虚無を埋めたくて飲んでいるのだから。
そんなこと、そもそも気にするのが、わたしの汚さだから気にしたくないのに、ね。
天然美女を目の当たりにすると、自分の汚さがわかってしまうから、嫌なんだろうな。
だからわたしは、おじさんになりたい。
見た目で最初に、おじさんだからと警戒されたい。
おじさんだから、適度に距離を保って、適度にうざくない距離をたもてる、でもほんとうはなにかしたい、そんなおじさんになりたい。
おじさんの、ほんとうの気持ちは知らないけど、おじさんの免罪符が欲しい。
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