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「つながる短歌」と名付けたい 令和の短歌ブーム

歌人の天野慶さんが、X(旧Twitter)にこんなことを投稿されていました。

いまの #短歌ブーム には名前がついているところを見かけなくて、#ケータイ短歌 #ニューウェーブ短歌 みたいに、あとから振り返るときに呼ばれるなにか、はどんな名前になるのかなと考えている🤔
名付け親になるならいまのうちにー🙋


ケータイ短歌やニューウェーブ短歌に続くものとして、何かいいネーミングはないか模索されているようです。

今のところ「令和の短歌ブーム」や「空前の短歌ブーム」が多く使われているようですが、確かに他の候補を考えたいところ。

今回の短歌ブームは、各種SNSが契機になっているようで、さりとて「SNS短歌」ではあまりに芸がありません。

そこで提案したいのが、「つながる短歌」なのですが、いかがでしょう?

ケータイ短歌時代との一番の違いは、ハッシュタグでどんどんつながっていくところだと思うのです。
文字的にも綺麗ですし。


さて、この「つながる短歌」あるいは「令和の短歌ブーム」を席巻しているのが口語短歌です。

口語短歌といえば、誰もが知ってる俵万智さん。

「この味がいいね」と君が言ったから七月六日はサラダ記念日


ただ、サラダ記念日がいつか覚えられない私には、口語短歌が好きだと胸を張って言い切れない、後ろめたさがありました。

そんな私をどっぷり口語短歌の魅力に沈めたのは、川北天華さんの作品です。

問十二、夜空の青を微分せよ。街の明りは無視してもよい

この美しさを前に、説明することさえ不粋な気がします。


ともあれ、俵万智さんから火が付いた口語短歌は、大波小波を経て現在に至ります。

その中で、私が口語短歌のエポックメイキングだと思うのは、枡野浩一さん。

天野慶さん、柳澤真実さん、加藤千恵さん、佐藤真由美さんなどを知ることができたのは枡野さんのおかげです。

新時代の旗手のようなイメージでしたが、俵万智さんと6歳差だと知り驚きました。俵さん、枡野さん、それぞれの足跡を考えると、どちらもすごい。敬服します。


この機会に、好きな口語短歌を語ろうかと思いましたが、長くなるので今回はここまで。

歌と作者だけ紹介しておきます。


パレットにあるだけ絵の具を出してみてなにも描かないような休日/天野慶

ほしいのは勇気たとえば金色のおりがみ折ってしまえる勇気/天野慶

あきらめた夢のひとつもある方が誰かに優しくなれる気がする/柳澤真実

雨に似た言葉を持った人だった 字を丁寧に書く人だった/加藤千恵

ありふれた歌詞が時々痛いほど胸を刺すのはなんでだろうね/加藤千恵

もうひとつ地球があってその星であなたが笑っていればいいのに/佐藤真由美

最後にはわかったんです 最初から投げ返す気のない人だって/西尾綾

風という名前をつけてあげました それから彼を見ないのですが/笹井宏之

「ペンギンは空を飛べる」と信じてた「この恋叶う」と同じくらいに/嵯野みどりは

さよならに続く道だと知りながら開くしかない扉もあった/山本左足

好きだった雨、雨だったあのころの日々、あのころの日々だった君/枡野浩一

私には才能がある気がします それは勇気のようなものです/枡野浩一





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