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【物語詩】コトバの花

 その広い「大地」には今日も種が撒かれる
 耕す人なんていないのに
 雨のように「天空」から種が降る

 種が1粒宿るたびに
「ありがとう」「ごめんなさい」
「あれをしなきゃ」「これをしたい」
「振り向いて」「近づかないで」
 大地は手紙を受け取ったかのように
 種の主の想いを読み上げる

 種はいつも芽吹くわけではない
 開花するまで育つかもわからない
 咲き誇り 実を結ぶかは
 種の主が雨乞いをするかで決まるから

 ──シュルリと私は畑に降り立つ
 いろんな花を咲かせて見たくて

 裸足で柔らかく温かい土を踏みしめながら
 湧き上がる生命力をジョウロで流したり
 主に代わって土砂降りを祈祷したり

 たまにやり過ぎて 見つかって
 ジュルリと畑から追い出されちゃうけれど

 肥沃な土に芽吹いた「愛している」は
 見渡す限りの菜の花畑になるし
 妖しい水辺に「許さない」が辿り着けば
 とびきり大きな野バラが咲くこともあるし

 まだ見ぬ花を夢見ては心をときめかせる
 私は畑から畑へ飛び回り
 花の誕生をもたらすコウノトリ

 さぁ次は どんな畑があるのかしら
 人の数だけ心の大地は広がっている
 さぁ主様 あなたの想いを聞かせてね
 その言葉が種を生み出すのだから




本日5月18日は「ことばの日」。ことばの日は、2019年に制定されて2020年から始まったそうです。私は普段から言葉(言霊)を大切にしようと生きているつもりです。ことばの日、乾杯♪
(そして実は、私の誕生日でもあるのです。自分の誕生日が、素敵な日でもあることが嬉しくて、詩にチャレンジしてみました~)


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