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2018.03.02 Lisbon

ストラスブールから夜行バスでパリを経由し、空路で3月1日夜にポルトガルの首都リスボンに到着した。この旅行の個人的なメインディッシュがリスボンのトラム。黄色いボディが特徴のレトロな車両が、迷路のような路地を走り回っていると聞いていた。浮かれ気分を抑えつつ、翌朝街を歩き始めた。

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2018.03.02 Lg. Terreirinho〜Socorro
Nikon D7200 AF-S Nikkor 24-120mm f/4G ED VR
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2018.03.02 Lg. Terreirinho〜Socorro
Nikon D7200 AF-S Nikkor 24-120mm f/4G ED VR

朝、ホテルを出て地下鉄に乗りMartim Monizという駅に降り立った。ここから狭隘区間を走る28E系統は近く、ロケハンを兼ねて歩いていくことに。景色は駅を出て3分で変わった。葛飾区や中野区にありそうな路地には線路と架線がある。普通の車ですら通りたくない道路に電車が通り、あろうことか路駐もしてある。私からしたら紛うことない異世界がそこには広がっていた。


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2018.03.02 Pç.Figueira〜R.Conceição
Nikon D7200 AF-S Nikkor 24-120mm f/4G ED VR
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2018.03.02 Pç.Figueira〜R.Conceição
Nikon D7200 AF-S Nikkor 24-120mm f/4G ED VR
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2018.03.02 Pç.Figueira〜R.Conceição
Nikon D7200 AF-S Nikkor 24-120mm f/4G ED VR

道路が狭いのに、線路は直角に曲がりたがる。トラムとはいえ最小曲線半径に限度はある。そのため歩道に線路を曲げる区間がある。しかもここは単線区間のため、曲線を利用して待避もしているのである。狭い道路を好き勝手利用する併用軌道、日本ならありえない光景だ。画面後ろから右折して待避線に入った旧型車。向かいから来たのは少数派の低床車。通過を待って旧型車は発車していく。どこで閉塞を区切っているのやら。線路という物理を非常識で打ち破る姿が印象的だ。


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2018.03.02 Sé〜Limoeiro
Nikon D7200 AF-S Nikkor 24-120mm f/4G ED VR

リスボンの観光名所がリスボン大聖堂である。この目の前もトラムが走る。本当に目の前を走る。カーブ沿いに建っているし、線路から入り口まで5メートルもないんじゃないかってくらいの近さ。この街は計画して作ったのか、無計画に作ったのか……しかしながら、大聖堂下の道路は複線トラムがちょうど走れる道路幅。車が走っているのが違和感なのか、線路があるのが違和感なのかもはやわからない。しかし、それは私の価値観。これがここの日常なのだ。


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2018.03.02 R.Vitor Cordon〜Chiado 写ルンです
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2018.03.02 R.Vitor Cordon〜Chiado
Nikon D7200 AF-S Nikkor 24-120mm f/4G ED VR

中心部から数分歩けばまた路地が広がっていた。複線の片方が路地に入る際、曲がりきれずガントレット状態になる場所もある。ガントレットとは単複線のことを指し、簡単に言えば2本の線路が重なる状態である。国内では過去には名鉄瀬戸線の例が有名だが、現在の営業線内には存在しない構造である。要するに日本にはないものが、リスボンには複数存在している。つまりそれは見に行く価値があるのだ。


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2018.03.02 Rua Poiais de São Bento〜R.S.Bento
Nikon D7200 AF-S Nikkor 24-120mm f/4G ED VR
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2018.03.02 Rua Poiais de São Bento〜R.S.Bento
Nikon D7200 AF-S Nikkor 24-120mm f/4G ED VR

それにしたって狭隘区間が多い。何なら急勾配も当たり前である。1人分の幅もない歩道を歩いていると、唐突にトラムが通る。そしてカメラを向ける。ごちゃごちゃした町並みも、色合いも、そしてトラムの存在感も。すべてが楽しいと思わせてくれる不思議な街。猫の恩返しにでも出てきそうな雰囲気が漂っている。


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2018.03.02 Campo de Ourique
Nikon D7200 AF-S Nikkor 24-120mm f/4G ED VR
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2018.03.02 Campo de Ourique
Nikon D7200 AF-S Nikkor 24-120mm f/4G ED VR
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2018.03.02 Campo de Ourique 写ルンです

歩き疲れたのでトラムの客になった。車内は木。レトロというかシンプルに古い。伊予鉄みたいだ。ドアもあってないようなものなので、信号で止まると勝手に後ろのデッキに飛び乗り、次の信号で飛び降りる人もいる。自由を履き違えている。そのままうたた寝して着いたのはターミナル駅。ヨーロッパのトラムの終点はだいたいがラケット状になっていて、折返しではなく前は前のままもとの線路に帰っていくような形をとる。終点に滞留する車両は広告もあり色とりどり。かわいい。


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2018.03.02 Pç. Comércio
Nikon D7200 AF-S Nikkor 24-120mm f/4G ED VR
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2018.03.02 Pç. Comércio
Nikon D7200 AF-S Nikkor 24-120mm f/4G ED VR

再び観光地の入り口、コメルシオ広場に戻ってきた。あいにく晴れてるのに曇っていて広い写真を撮る気にはならんが、でかい門をバックに1枚、その脇を走るトラムを1枚抑える。なんかこう、適当に撮ってもなんとなく画になるのは物珍しさからか、建物の文化性か。それとも私個人は黄色が好きだからか。異国情緒という麻薬に囚われた瞬間だった。


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2018.03.02 Cç. Combro〜Rua Poiais de São Bento
Nikon D7200 AF-S Nikkor 24-120mm f/4G ED VR
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2018.03.02 Santa Catarina〜Cç. Combro
Nikon D7200 AF-S Nikkor 24-120mm f/4G ED VR

唐突なスコールに打たれて地下鉄に避難したりしていたら夜になっていた。小心者としては「夜=怖い」のだが、これだけの町並みだ。夜の姿もさぞ美しかろう。三脚はなく手持ち勝負になるが、朱い街灯を目印になんとか戦ってみた。スコールのおかげで地面は濡れ、前照灯に反射してくれたのが僥倖だった。