あんたの秘密なんて興味ねえ

 「すべて秘密は、スマホの中にある」

と頬を赤らめながら秘密を打ち明けてしまった自分の恥ずかしさよりも、私を分かって欲しいと胸の奥底から湧き出た承認欲求の煙が、
口からぽわわと浮かんで消えたのである。

「だから何?興味ないんだけど」

とは言えず。


私は、祖母が苦手だ。
根っこがしっかりしているから
自分の思い通りに周囲を動かす力がある。

その圧力に押されると
自分に負けてしまう。

流された結果、アドレナリンの分泌で
幸せな気持ちに陥る。

だが、しかし、
祖母から離れた瞬間に地獄に落ちる。

私は、これを何度も何度も何度も何度も経験してきた。

「ガソリン代払おうか?」
「買ってあげようか?」
「ご飯、買いに行こう」

すべてご厚意に甘えて
ここで猫を被り、感謝しているつもりをして
得をした気分に浸ればいい

だが、私はできない。


実際、お金を持っていないようだから。


巻き上げる行為と同じだと私は考えてしまう。


だから、無理にでも
大丈夫と突っぱねる。

ここで、
「大丈夫だよ、ありがとう」
「今までこうしてきてもらったんだから」
と大人になればいい。

のだが、できない。
「いい!」
「平気!」
と跳ねることしかできない。

甘えることができない。
母にしか。


祖母の沼にハマると不幸せが待っている。
祖母の操り人形じゃない、
私は、一人の人間だ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?