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虎に翼 第23話

「私は被告人の無罪を主張しようと思っている」。
穂高先生(小林薫)の言葉に、一様にうーん……となる弁護士の先生がた。

「法は、強き者が弱き者を虐げるためのものじゃない。法は正しい者を守るものだって、私は信じたいんです」
寅子(伊藤沙莉)の言葉に、先生がたはうーんとなりつつも穂高先生の方針に賛成することにしたらしい。穂高先生がこの場に寅子を伴ったのは、被告人の娘というだけでなく、彼女が法を学ぶ学生であるからだ。
この国の未来を、法曹界の未来を担う若者のまっすぐな意志を前にしては、大人としては支えてやりたくなってしまうだろう。錦田弁護士(磯部勉)は
「穂高先生、何を企んでらっしゃるんですか?」と問うていたが、まったく彼は策士である。
ただ、一筋縄では決していかないであろうことは錦田弁護士、そして穂高先生はわかっている……と、その表情を見て思う。

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共亞事件に公明正大な裁判を求める署名に、法科女子部の先輩も後輩も、男子学生も協力してくれているのに泣く……
そして、その署名を妨害する胡乱な輩。割って入り助ける新聞記者・竹中次郎(高橋努)かっこいいぞ!以前は偉そうな態度に舌打ちしてごめんね!

そして 、第21話の感想文 で触れたが、やはりこの事件は政局絡みであった。となるとますます、無実でひっくり返すのは難しい……そして危険だ。竹中の言うとおり、下手に「動くと死ぬぞ」というやつである。
これを考えると、寅子に取材を申し入れて顔写真と実名入りで報じた新聞社の記者は、あの記事が引き起こす結果責任を負う覚悟で書いたかどうか。

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どうしても邪魔されてしまうので、こんどこそ人知れず甘いものを口にしようとしていた桂場(松山ケンイチ)は、また邪魔される。
仕事の話だからね、仕方ない。この「法曹としての人生を左右するかもしれない、えらい事件」が解決したら、武井裁判長は桂場に甘味処『竹もと』でお汁粉・あんみつ・団子フルコースを満喫できる機会を作ってあげてほしい。

桂場に依頼した武井裁判長を演じるのは平田広明、アニメ『ONE PIECE』サンジ役でもおなじみ、名声優である。稲役の田中真弓といい錦田弁護士の磯部勉といい。美声で埋め尽くされる朝ドラですよ……。

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公判が始まり、居並ぶ被告たち。自宅に戻って暫く経つのに憔悴の色が濃い直言(岡部たかし)だけでなく、隣の上司・高井理事(小須田康人)の顔も極度の緊張で引きつっている。彼も相当に追い詰められたのではないかと想像し、胸が痛む。

検察官が扇子で手を叩く音に動揺する直言、フラッシュバックする厳しい取り調べ。非人道的な扱い。
「あそこに戻るのが怖い」と苦悶する岡部たかしの芝居も「できる限りの仕事はする」「そんなことには絶対にさせない。絶対にだ!」と励ます小林薫の芝居も、素晴らしかった。
朝から凄い緊張感である。

そして、起訴事実の認否。
「ごめんな、トラ」

これは「信じてくれたのに、罪状を認めるよ。ごめんな」なのか
「お前をまた恐ろしい目に遭わせるかもしれない。ごめんな」なのか
どっちだ、どっちなんだ。

(つづく)



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