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願い。 4年 渡邉莉沙子


こんにちは。





4年生のnoteラストを務めます。
日本大学女子サッカー部主将
花咲徳栄高校出身 渡邉莉沙子です。






初めに、日頃より皆さまのご支援、温かいご声援のおかげで、弊部は初の皇后杯本戦出場、三度目のインカレ出場を達成する事ができました。この場を借りて感謝の気持ちをお伝えさせていただきます。いつも本当にありがとうございます。
来年度以降もどうぞ宜しくお願いいたします。











一週間ほど前から同期のnoteが更新され始め、普段は決して口に出さない彼女達の想いが真面目に綴られているのを見ると、「引退」の実感がひしひしと湧いてきます。






「そろそろ寂しくなってきたんじゃない?」最近そんな事をよく聞かれますが、私はとんでもなく寂しがり屋なので、最近になっての話ではなく、この1年間を通してずっと寂寞感に捉われながら過ごしてきました。(笑)





あらゆる出来事が「最後」だった今シーズン。時間よ止まってくれと何度願ったことでしょう。










さて、今年は主将という立場もあり、自身の想いをチームメイトには発信する機会が多かったと思いますが、あまり表に出してこなかった心の内を率直に綴らせていただきたいと思います。拙い文章ではありますが、ぜひ最後までお付き合いください。






余談ですが、実は本来であればこのnoteは、2回戦(名古屋経済戦)の前夜に公開する予定でした。ですが、直前に我儘を言って公開を先延ばしさせていただき、2回戦の勝利を見越して本日公開する運びとなりました。
準々決勝へ向けて少しでも仲間のモチベーションに繋がればなと思います!





では、どうぞ










私はこのnoteで何を伝えようか。そう考えながら、なんとなく自身のサッカーノートを手に取り読み返してみた。











「このチームで必ず日本一をとる。」




そしてその下にもう1行。
「全員がこのチームを好きでいてくれるように」



サッカーノートの1ページ目にはこう大きく書き込まれていた。






確か、新チームとして始動する2、3日前、これから始まっていくシーズンにワクワクしながら書いたサッカーノートだったと思う。











「今年はどんな子が入ってきたんだろう。」「今年のチームはどんな面白いサッカーをするんだろう。」主将としての不安は少しだけあったが、そんなことを忘れるくらいの大きな期待に胸を弾ませ、新シーズンの初日がスタートした。







練習の始めに集合してできる輪が前年度の倍くらいあった。








「こんな大人数を私が引っ張っていくんだ。」






不安ではなく、どこか誇らしい気分だった。







「このチームなら日本一になれる。」
どこからか湧いてきた根拠のない自信に溢れていた。










しかし、そんな胸いっぱいの期待は新チーム始動間も無くして、一瞬で消え去っていった。






「あぁ、なんで伝わらないのかな。」
「もっとチームのこと考えてよ。」
「なんで自分だけ。」





いつしかこんなことばかり頭の中で何度も巡るようになった。








何かを発信すれば、
「本当にこれでよかったのかな」
「これは言うべきだったのかな」
「どう思われてるんだろう」







満ち溢れていたはずの自信など、もうどこにも無かった。







ショックだった。







同時に、何もできない自分に腹が立った。









毎晩のように泣いては翌朝、鏡に映る泣き腫らした顔に落胆した。













「みんなから嫌われようと、チームにとってプラスになるならそれでいい。」





そう思っていた。







浅はかだった。







今思えば、そんなのはただの綺麗事でしかない。








理解していたはずの自分は、想像していたよりも遥かにずっとずっと弱い人間だった。








「自分なんかに主将なんて務まるわけがない」



「自分はやっている。みんなが理解してくれないんだ。」







自信を無くした私は、そうやって自分の中で何も解決しない言い訳をして被害者面をした。






怒りや不満のベクトルは自分では無く、大切にすべきチームメイトだった。







そんな小心者で無責任なキャプテンに、誰がついて行きたいと思うのだろうか。
















関カレが開幕して間もない頃だったと思う。
いつも通り自分の言葉で練習を締めくくるはずが、自分の中に溜まっていたものが溢れ出し、何も話せなくなってしまった日があった。







終礼が終わると同時に倉庫に駆け込み、声が出るほど泣いた。







すぐに、2人のチームメイトが近くに来てくれた。それに続くように3人、4人と蹲る私の肩に手を置いてくれた。










「私は何があってもりさこさんについていきますよ。」









「りさこ1人じゃないんだからね」








「りさこさんなら大丈夫だから」









相当泣きじゃくっていたので、来てくれた人が誰だったのか正直覚えていない。










けれど、みんながかけてくれた言葉一つ一つは鮮明に覚えている。









私は勘違いしていた。









キャプテンは孤独なんだと、本気でそう思っていた。







こんなにも自分を気にかけてくれるチームメイトに背を向け、理解しようとしなかったのは、紛れもない自分自身だった。












その事があってから、それまで見えなかった、いや、見ようとしなかったものがたくさん見えるようになった。








辛い練習後にも関わらず、トレーニングルームで自分を追い込む姿。








誰よりも早くグラウンドに出て、チームのために準備する姿。








夜遅くまで食堂の机で紅白戦の動画を見ながら1人反省会をする姿。








こんな身近にある姿なのに




一緒に過ごしている仲間なのに




私は理想ばかり追い求めて、大切なものを何も見れていなかった。








毎週末の関カレ。全体アップ一時間前からのストレッチが私のルーティンだ。毎回トレーニングルームに向かえば、そこには必ず、メンバーに入れなかった選手達がひと足先に汗を流す姿がある。


「りさこさんおはよう!」


「キャップ今日も頼むよ!」


「今日は何点取ってくれるんですか?」


悔しいはずの感情なんてものは微塵も見せず、笑顔で明るく声を掛けてくれる。






皇后杯関東予選と本戦は試合に出る選手だけでの遠征だった。遠征組がバスに乗り込み寮を出発する際、メンバー入りできなかった仲間たちが太鼓を叩いて激励し、見送ってくれた。
試合当日も観客席にはメンバーに入れなかった選手達の姿があった。
もちろんバスも交通費も出ない。他県の遠い試合会場まで。自分たちの足で。

試合のある週は、毎回そんな光景が広がった。




本当に嬉しかった。



同時に心が締め付けられる想いもあった。スタンドに立つ仲間たちを見ると、自然と涙が溢れた。





本来ならば、ピッチに立つはずの仲間が、悔しさを押し殺し、出発するバスを笑顔で見送る。大声で私たちの立つピッチへ声援を送る。そんな彼女たちの思いを、私の言葉で書き表すことなど出来ない。











この1年間、キャプテンという立場で、誰よりもみんなのことを見てきた。









どんな立場であろうと仲間のために全力を尽くす。








チームのために労を惜しまない。







自分のことは二の次で、仲間の健闘を祈る。








決して簡単な事ではない。









けれど、日大の選手たちは、見返りなど求めずそれが当たり前のように出来る。








この一年間、辛いことも、悔しいことも、上手くいかないことも、全員で支え合って乗り越えきた。








このチームでなら、全員で目指してきた1番良い景色を見る事ができる。本気でそう思う。














「このチームで必ず日本一を獲る。」


サッカーノートの1番初めに大きく書いたこの文字を、現実にするために。









そしてもう一つ


「全員がこのチームを好きでいてくれるように」




そう強く願った私の想いが、大切な仲間に届き、現実となってくれているのならこれ以上何も望むものはない。









仲間を思う強い気持ちを、チームの力に変えよう。










日大の強さを証明するための最後の戦い。








獲りにいこう。









「日本一」











































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