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中国武漢からの手紙〜2

武漢市


 中国武漢に研究留学中の大前さんから、生活編レポートが届いています。世界一を目指す大国の生の姿が垣間見えるようです。お楽しみください。
前号『中国武漢からの手紙』

4)街・大学キャンパスの雰囲気


新興地域と下町と

 大学は武漢にあり、多数の湖に囲まれた美しい街です。街の各所に標語のようなものが書かれていたり、発展のエネルギーは強く、昭和の大阪のようなイメージを持ちました。壁一面のイルミネーションするオフィスや高層ビルが並ぶ新興地域の近くに、洗濯物や干物が道に干されていたり下町のような場所が隣接していたり、自由に成長している印象です。車で少し行くと長江が流れていて長江とその近くの黄鶴楼を訪れました。

一つの小さな町のような大学キャンパス
 キャンパスは3kmx3km位と広く、数百棟の学生や教員の寮とスタッフの集合住宅、研究棟が林立し、広大な実験用農業フィールドや水産研究用の池、多数のスーパー、ハラル(イスラム教徒向けの料理)含む多数の食堂や小さな出店、医療施設、携帯ショップや自転車屋などもキャンパス内にあり、一つの街のようです。キャンパス内でも生活は成立しますが、より広い選択肢求めてオンラインショップを用いる人は多いです。多数の木が植えられており、池や山中の散策道があったり、湖に面していてとても綺麗で、映画の米国のキャンパスのような感じです。鳥や猫家族も多く、伸び伸び暮らしています。研究施設・機器も充実していたり、教員もサポーティブだったり、特別講義などは深夜までの日程があったり、研究や教育については熱心と感じます。行事は盛大に祝うようで、春節の最後のdragon lantern festivalでは広場で多数のランタンや音楽で盛り上がっていました。花火・爆竹は行事には必須のようです。

国ごとのスタイル:中国式・日本式
 中国ではお店や重要な情報などのWebサイトなどが少なく口コミが主だったり、メールよりチャットが主流だったり、重要な連絡も直前や開始してから来たり、直前変更も多くあります。日本は長期使うこと前提で保存できる形でシステムを作ることが多い様に思いますが、中国は他人と常に繋がっていることが前提だったり、すぐ変化するので長期・公式の仕組みやものづくりをあまり目指さない一方、新たな仕組みを社会実装するスピードが速いなどの部分もあるようにも感じています。これはコロナの政策変化・対応の速さにも表れているように感じます。日本のシステムとも比べ、各pros/consも感じ、各国の国民性や状況に合った政策は異なるようにも感じています。あとは昨今の日本円と中国元の為替では、日本より物価が高いものも多く、日本経済の国際地位の低下and/or中国の発展を実感したり。


商店街の風景
市場(果物と魚)と春節ランタン祭り



想定外だった中東との関わりと日本の価値の再認識
 想定外だったことの一つが、中東圏の人たちとの関わりでした。留学生の95%近くがパキスタン出身のこともあり、中東文化や国際関係を強く意識するきっかけになりました。中東の人たちのホスピタリティは世界一かと思うほどで、ミルクティへのお誘いから始まり、煮込み料理(中東料理の味付けは色々なスパイスで日本人の口に合うと思う)やパン(チャパティ)や炊込みご飯のような食事でもてなしてくれたり、一緒に作ろうと誘ってくれたりします。起業への敷居も低く、農業関連のビジネスをしている人や国の政府研究所にいた人など様々な背景の人たちが集まり、元々中東の雰囲気が好きだったこともあり、とても刺激的です。パキスタンの車の95%近くが日本製というのも驚きで、その他も日本の製品や技術に対しての信頼の厚さも感じ、日本の産業・技術・環境・文化などの価値や海外からの見られ方も再認識するきっかけとなりました。このような経験も生かし、大きな方針も意識しつつ、企画に反映させていけたらと思います。

中東の手作り料理でもてなし



--<次号に続く>