ベットサイズからの解放
◇はじめに
本記事は、初心者から上級者が楽しめる・参考になる内容を目指しました。
「とりあえず、1/3のBetをする」
ということをしていませんか?
近年、GTO(ゲーム理論)などの普及により、Bet33%というサイズをFlopで全レンジで打つなどの戦略が散見されます。そんな環境の中、Flop Bet Sizeを変えようと試みているあなたは、Bet Sizeの多さに困惑し、プレイ中に迷いが生じることがあると思います。
例えば、 UTG vs BB 2betpotになったとしましょう。あなたは、AKoを持っています。
開いたボードは、KhTh3d、ここであなたの気持ちは、FlushDrawやStraightDrawに捲られたくないなどと思い、大きいBetを使いたいのが本心だと思います。しかし、バランス戦略を考えるとBet33%の方が良いかもしれないと考えているでしょう。
この他にも、様々な場面でどのsizeを使うのかを悩むことがあると思います。このようなBet sizeでの悩みをOne Size Bettingを用いることで解消することができます。今回の記事では、ベットサイジングに悩むことからの解放を促す記事です。ぜひ、最後までご覧ください。
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◇One Size Bettingとは?
One Size Betting とは、Check or Betという「打つか」「打たないのか」の2択を取る戦略のことです。つまり、ボードによって、Bet Sizeをあらかじめ決めておき、例えばAハイなら、33% or Check という形の戦略をいいます。一方、ツーサイジングベット戦略も存在します。これは、Check or 33% or 75%というようにBetするというアクションに対して、2つのサイジングが内包されている戦略です。
以下のシーンを考えます。
Flop BB x、BTN ???
例)ワンサイジングベット
上記のように、「Check」or 「Bet 3.7bb」
というように「打つか」「打たないか」となる戦略です。
例)2サイジング
「Check」or 「Bet 1.8bb」or「Bet 4.1」
の2つのbet sizeを用いた戦略になっています。
ここまで読まれた読者の方は一つ疑問に思ったのではないでしょうか。
GTO wizardでは、複数のBet Sizeが出てくるから、それを使いこなすのが正しいプレイなのでは?と
確かに、GTO wizardのスタンダードは他種サイズのBet sizeが用意されていますね。
GTOwizardのPreSolvedでの結果です。
このように、4つのベットサイズを使っていますね。
実は、海外の研究におけるあるレポートでは、1サイジングから4サイジングにすることでEVロスを改善できるとの報告をしました。つまり、理論上は1つよりも4つのbet sizeを持っている方が良いプレイができるということが証明されています。
しかし、4つのベットサイズを使い分けることは上級者であっても非常に難易度が高いです。
したがって、一般的にプロも含む多くのプレイヤーは、できるだけEVロスがないように、戦略の再現度を高めるために簡易化し、1サイジング or 2サイジングを導入しています。
ここが今回のポイントになるところなのですが、
実はこの1サイジングから2サイジングに戦略変化させた時のEVロスは有意なEV差を表しません。
要するに1サイジングでも2サイジングでもEVは殆ど変わらないということです。
であれば、もういっそのことbet sizeを1つに絞り「打つ」か「打たないか」というシンプルな判断にしてしまうことで、脳のリソースを別のことへ割こうということが本記事のテーマです。
◆ワンサイズベットの詳細
今回は、GTOwizardの新機能であるruseAIの機能 「ダイナミックサイジング」を使いボード毎でのベットサイズをワンサイズ化を試みます。さらに、IP側が高頻度でBetするようなボードを中心にPick up、実践に導入しやすい戦略に仕上げていきましょう。
シチュエーションを以下のように設定します。
・NL500
・BTN vs BB
・2.5bb open
①Aハイボード
6maxでのAハイボードでは、脳死でBet33%を選択している方も多い勘違いボードです。意外にもBet頻度が少ないボードになります。
Aハイ 集合分析
では実際に、ボードをPick upしてソートしていきます。
Aハイボードを3つにソートします。
1,ブロードウェイ2種
2, A+Middleカード+Lowカード
3, A+Low+Low
◇ブロードウェイ2種
▽Twotone
AKs4
ATs4
▷レビュー
Aハイボード時のブロードウェイ2種、Twotoneの場合
今回のAKハイ、ATハイではBet115%というサイズを使用しています。近年GTOwizardなどのPre-solvedソフトの普及によりよく知られている戦略であるAKハイボードでは、ポットオーバーを使用しポラライズドレンジを構築していく戦略が散見されます。その際のBetサイズとしては、125〜150%サイズが多いですがruseAIでは、115%というnear potサイズを採択しています。
115%というサイズは実践においても導入しやすい額です。
▽Rainbow
AK4
AT4
▷レビュー
Aハイボード時のブロードウェイ2種、Rainbowの場合
AK4rでは、Bet250%のサイズを使用しています。このサイズとしてはサイズが大きすぎるため、実践では導入しにくいサイズとなります。さらに、AT4rでは115%のサイズを選択しています。
したがって、AK4rにも115%サイズを導入してみましょう。
いかがでしょうか?
Bet115%を導入することで、ハイカードやA,Kのペア系のEVが若干プラスになっています。
全体的にみても、115%で良さそうです。
◇A+Middleカード+Lowカード
▽Twotone
A93
A85
▷レビュー
Aハイ+Middle + Low Twotoneの場合
Betサイズは、25%サイズを使っています。レンジの内訳を見ると、8などの2ndペア系がかなりBetを選択しています。一方、KQ、KJなどのKハイカードレンジは、高いCheck頻度を有しています。
▽Rainbow
A93
A85
▷レビュー
Aハイ+Middle + Low Rainbowの場合
Betサイズは、25%サイズを使っています。
レンジの内訳を見ると、Twotoneと同様に、8などの2ndペア系がかなりBetを選択しています。
一方、KQ、KJなどのKハイカードレンジは、高いCheck頻度を有しています。
さらに、TwotoneとRainbowのBet頻度に着目します。すると、Twotoneと比べて、Rainbowの方が高頻度でBet25%を行っています。
A93ボードにおいては、KXなどのKハイを除くレンジでBetを幅広く行っています。
A93rとA85rを比較すると、Bet頻度の差を大きく感じます。
これは、QJ〜QT周りのレンジがBetするかどうかで頻度の増加があるようです。
特に2ndカードに9が落ちいている場合、BDSDを形成できるということでQT周りがBetを行うことによりBet頻度の増加に起因していると考えられます。
つまり、A+ Middle + Lowの時にBDSDの有無を確認する必要がありそうです。
▽Twotone
A52
A54
▽Rainbow
A52
A54
▷レビュー
Aハイ+Low + Low の場合
A + Middle + Low時と同様に、Rainbowの方がBet頻度が少し高いようです。
Betサイズは、主に25%サイズを使っています。
BDSDがない分、A+ Low +LowのBet頻度はかなり減少していることがわかります。
A54などのConnectボード時に、Betサイズを40%にして若干大きくしています。
◇まとめ
Ahi まとめ表
上図は、Aハイでの結果をまとめた表になります。
全体的にAハイは、25%サイズの小さいサイズかつ、頻度が50%ほどと多くはないことがわかります。
高頻度でBetを選択しているボードは、Middle + LowのRainbowです。これは、RainbowだとBet頻度が増加し、Middleカードが9やTに近づくほど、上BDSDハンドレンジが多くなるからです。
一方、非常に大きいBetサイズを使用しているボードが存在します。
ブロードウェイ2種ボードです。
サイズとしては、統一で115%でいいでしょう。
しかしその頻度に気をつけなければなりません。Bet頻度が30〜40%前後という頻度でBet115%を行っています。
したがって、Bet115%は「強いハンドレンジとGutshot系、 NutsBDFD+Set Blocker」で行う必要がありそうです。
次にKハイボードを見ていきましょう。
②Kハイボード
◇ブロードウェイ2種
▽Twotone
KQs4
KTs4
▽Rainbow
KQ4
KT4
▷レビュー
Kハイのブロードウェイ2種では、TwotoneとRainbowで大きく戦略が異なるようです。
具体的には、TwotoneのKQハイではAハイブロードウェイ2種時と同様に、Bet115%を使用しています。一方、Rainbowでは全レンジCBを用いています。
このTwotoneとRainbowの戦略差は相手BBのFDの数です。
Twotoneの場合、オリジナル側のBTNレンジはKハイブロードウェイに対してとても有利であり、連続的にEQ分布においてBBを上回っています。
しかし、BB DFレンジにはSuitedハンドが多くターンにおいて状況の変わるカード(SD/FD完成)が落ちてしまった時に、BTN側が降りるに降りられない役を作ってしまうことが多くあります。
したがって、Check or 115%のアクション選択をすることで、PotコントロールまたはターンBetでPolarizedレンジを構築していくことが予測されます。
その分、Rainbowではターンで状況が変わるFuture Cardアウツが少ないため、EQ分布において連続的に上回っているBTN側が小さいサイズの25%CBを全レンジで選択していることに納得できます。
KTs4ではBet75%が使用されています。
実践でのこのBetサイズの使い分けとしては、KQハイのみ115%、KJ、KTハイを67%と分けて考えるといいでしょう。
◇Middle+ Low
▽Twotone
K8s4
K7s5
▷レビュー
Middle + Lowでは、Check頻度がある程度増加しています。
特に、WeakKickerのTophitやQxのレンジのCheck頻度が目立ちます。
また、2ndカードにかなりの差があることがK84とK75での比較によりわかります。
具体的には、K75のようなBBレンジにSD/FDが同時に多く存在しているときに、BetサイズとBet頻度に影響を大きく及ぼしています。
K8s4ではBet25%を幅広いレンジで使用しています。
K7s5ではBet40%をある程度絞ったレンジで使用をしています。
この2つのボードのBetサイズ・頻度の差から、相手レンジに濃くSD/FDがある場合はBet頻度を減少させ、Betサイズ大きくするということがわかります。
では、Rainbowボードの場合はいかがでしょうか。
▽Rainbow
K84
K75
K84rとK75rの戦略を比較するとどちらもBetサイズは40%を使用しています。
BBレンジにSDレンジが濃くあるK75の方がBet頻度が低下しています。
このことにより、SDがあるボードの方がBetモチベーションと頻度が減少するようです。
以上のことから、
Kハイ Middle+ Low時には、Bet40%を実践に導入することが推奨されます。
Kハイ Middle LowでBet40%を使用し、その頻度は相手のFDSDのボード状況に応じて変化させることで汎用性が高い戦略になるでしょう。
次にLow Lowを確認します。
◇Low+ Low
▽Twotone
K5s2
K4s2
▽Rainbow
K52
K42
K Low Lowの場合、どちらもある程度(60%前後)のBet頻度を維持しています。
さらに、K4s2の場合はBet25%を使用しています。
BBレンジはFD/SDが濃いためBet頻度が減り、Betサイズまで小さくなっていることが特徴的です。
Kハイまとめ
Kハイのまとめです。
KQハイTwotoneボードでは限定的に115%を使用し、それ以外のKJ、KTハイTwotoneの時は、67%を使用します。
次にブロードウェイ2種のRainbowであれば、Betサイズを25%にして高頻度レンジCBにする戦略を導入するといいでしょう。
さらに、Middle + Low時には、基本的に40%サイズを使用します。
頻度としては、Rainbow時に高頻度で行い、Twotone時に限定的なレンジにすることがいいでしょう。
Low Lowの時は、全体的にCheckとBetの頻度バランス重視のようです。
サイズとしては、基本的に40%で問題なさそうです。
これ以降のボードに関しては、考え方が応用できるため、先に結果を述べてから具体的なボードを見ていきましょう。
③Qハイ
上図はQハイでの結果をまとめたものです。
基本的に、Pot40%以上のベットを使っていることがわかります。
ブロードウェイ2種のTwotone時にBet67%を50%前後の頻度で行っています。
この戦略の実践での取り入れ方は、ブロードウェイ2種Twotone時にBet67%、Middle Low の2ndカードが 9 or 8で75%、それ以外はBet40%と覚えることで再現ができます。
いずれも気をつけるべき点としては、Bet過多にならないようにレンジバランスに配慮しつつBettingをしましょう。
つまり、「BetレンジとCheckレンジのバランス」が大切ということが示唆されています。
◇ブロードウェイ2種
▽Twotone
QJ4
QT4
▽Rainbow
QJ4
QT4
◇Middle+Low
▽Twotone
Q8s4
Q6s4
▽Rainbow
Q84
Q64
◇Low + Low
▽Twotone
Q54
Q32
▽Rainbow
Q54
Q32
③Jハイ
上図は、Jハイでの結果をまとめたものです。
意外にもJハイでは、Bet sizeが全体的に大きいサイズを使用していることがわかりました。
具体的には、JTハイTwotone、JハイMiddle+Lowというボードです。
これらのボードは、Bet75%を選択しています。
この理由としては、BB DFレンジに濃く絡んでいる可能性があるため、Check or 大きいBetサイズを取ることでターンでのオリジナル側が一方的にペイする状況を防いでいると思われます。
これは、Flopで小さいCBを使うとターンでバレルするカードが少ないため、大きいCBを使うことによりポラライズドレンジを構築していくためです。
◇ブロードウェイ2種
▽Twotone
JT4
JT7
▽Rainbow
JT4
JT7
◇Middle + Low
▽Twotone
J94
J74
▽Rainbow
J94
J74
◇Low + Low
▽Twotone
J54
J52
▽Rainbow
J54
J52
④ペアボード
ペアボードではレンジ全体で安いCBを使っていることが確認されました。
▽Twotone
KK2
992
▽Rainbow
KK2
992
まとめ表
ここまでの結果を表にまとめました。
Aハイ
①ブロードウェイ2種に /Bet115%
②レンジCBではなくバランスをとるBet25%Kハイ
①KQ twotone /Bet115%
②KJ,KT twotone /Bet67%
③①,②を除く/Bet40%Qハイ
①ブロードウェイ2種twotone /Bet67%
②Q9,Q8ハイ / Bet75%
③①,②以外、Bet40%Jハイ
①JTハイ twotone / Bet75%
②JTハイ Rainbiw /Bet40%
③J9,J8,J7ハイ /Bet75%
ただし3rdが非コネクト
④①〜③以外 / Bet40%ペア
全レンジ25%CB
以上のことが今回の調べたフロップから確認されたBetサイズです。
多数のフロップで試してみる必要と検討する必要がありそうですが、網羅的に把握することでかなり強力な武器となるでしょう。
今回は、Betサイズを切り口に調査しましたが、重要なこととして、
「Check or Betのバランス」
ということがわかりました。私たちは、サイズと共に頻度を注意深く検討することの意義があると再確認できる内容でした。
次回のワンサイズベッティングでは、網羅的にほとんどのフロップでのBetサイズと、ポジションによる差を見ていきたいと思います。
最後までご覧いただきありがとうございました。
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