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管理会計は国盗り物語のようでした

ソニー子会社時代の管理会計は、まさに国盗り物語でした。
理由は、各部門が一国一城の主(あるじ)だからです。
なかなかの強者ぞろいでした。
管理会計は、企業の自由な考え方で運用することができます。
ソニー子会社時代の管理会計は、比較的オーソドックスな仕様だったでしょう。

違うのは、現場の主(責任者)がもつ権限の強さです。
自分たちでわが領地をどのように拡大するか、という権限をもっていますから管理部門は大変です。
わが領地の面積は、今、このように広くはない、と言ってきたりします。
簡単に言えば、わが藩(部門)が使っている領地(面積)は、実際使っている面積よりも広くなっており、わが藩の賃借料は高い、と私に文句をいってくるのです。
私は、図面から面積を手計算して賃料を割り出しているのですが、なかなか納得しません。

これでは時間がいくらあっても仕事になりません。
この会社、まだ創業立ち上げ時期で、やることは山のようにあるのです。
私は、元来めんどくさがり屋ですから、手計算などやっておれるか、と。
私の主(上司)に、CADを導入することを提案しました。
もっとも、私が企画案を出せば、上司はOKしてくれますから、あとは、織田信長ばりの役員と家康公みたいな社長を凋落するだけです。

あの手この手を繰り出して闘います。
ソニーという会社、とにかく人や組織を動かすのが好きなのです。
家康公(社長)は、人と組織を変えるのが、これまた大好きです。
私は、ここだ、と攻め抜きました。
組織変更をおこなう場合、CADを使って、直ちに新たな組織レイアウトが作成できます。
何回変更されてもOKです。
すぐに私が対応いたします。
面積も簡単に出せて、各部門の費用もたちどころにお見せできるでしょう。
織田信長ばりの役員(経営企画室担当)は渋っていましたが、さすが家康公の社長は、新しいものがお好きなこともあり、どうにか凋落することができました。

あとは、すぐに導入して一国一城の主たちからの謀反に対して、しかるべき書面を出して屈服させるだけです。
さすがに城主は屈服するかと思いきや、この倉庫、わしのところだけで使用しておらぬ、ときます。
わかりました。
しかるべき基準で倉庫部分の賃料を割り出しましょう、と。。。
なかなかの抵抗ぶり。

まぁ、このようなことをしながら、ゆかいに楽しく仕事をしていたというお話でした。

仕事の自由度が高いということは、それぞれの主の責任範囲が広く、利益責任をもって仕事をしているということです。
だからこそ、責任者(管理職)は、どのような部門に在籍していても責任をもった仕事をすることが求められます。
自由な仕事とは、裏を返せば、責任の所在が明確なのです。

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