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雨の中パジャマのまま桜を見に行った

そういえば今年は一度も桜を見ていない、と思った。
夢の中で桜を見て気づいた。

朝6時35分、昨日は日中ずっと寝ていたから早起きという感覚もない。
とりあえず起きて、体重を測り、パソコンを開いて10分くらいぼーっとし、
「寝て起きてパソコンをすぐに開くような生活を続けているから、僕はいつまで経っても大人になれないんだ」と思い直して閉じた。
インターネットサーフィンと日中の昼寝は麻薬だ。2時間以内に留められないならどっちもやめたほうがいい。

桜が見たいと思った。
もう4月6日だし散ってるだろうと思ったが、それでも「桜を見に行った」「見に行かないまま呆然と過ごすことを良しとしなかった」とするために見に行こうと思った。

善は急げ。上着だけ羽織りすぐに外に出た。

歩き出してから雨が降っていることに気づいた。引き返すのは面倒なのでこのまま濡れていこうと思った。
もうしばらくしてから、自分が上着の下がチェック柄のパジャマだということに気づいた。
こういうのは狼狽える方が目立つので、堂々としていようと思い歩き続けた。

5分も歩くとそこには桜が見えた。
いくらか散っていたが、今年の3月が寒かったせいか、まだ葉桜にならずしっかりと咲いていた。
綺麗な桜並木だ。スマホを持っていかなかったので写真はない。

「きれいだなあ」と声を出してみた。
雨の降る早朝は人もまばらで、各々の仕事に忙しそうだ。
パジャマのままで傘もささず桜に話しかける男がいても誰も気にしない。
そもそも誰も誰かのことを気にしていないのかもしれない。

気分がよかった。
この1年ずっと不安だったのをふいに思い出した。思い出すまで忘れていられる位桜が綺麗だった。
「なんか色々あったけどお疲れ」とねぎらう為に、僕が来るまで散るのを待ってくれていたような気さえしてきた。
認知の歪みだ。病院に行った方がいい。

ふと、僕はこの街で一生を終えるのかもしれないと思った。
立身出世して東京に出たいと思ったものの独り相撲で勝手に自分で自分を苦しめて、成れの果てにたどり着いた土地だったが、こうして毎年桜が咲くなら悪くないと思う。
家賃6万円で住めるし。

帰り際、肉まんと午後ティーといちごミルクを買って帰った。
そのころには自分がパジャマなのはどうでもよくなっていた。
どうせ上半身しか店員には見えないのだから、黒い上着を来た男としか思わないだろう。
僕が気にしすぎなのだ。

帰ってすぐにこの記事を書いている。
肉まんが冷めないうちにアップできそうで良かった。
生きていくことを是としていようと思う。

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