平岡希望

4月から、国立奥多摩美術館館長の佐塚真啓さんと、ハンマー出版主宰の下山健太郎さんと共同…

平岡希望

4月から、国立奥多摩美術館館長の佐塚真啓さんと、ハンマー出版主宰の下山健太郎さんと共同で、『平岡手帖』クラウドファンディングを実施します(詳細は固定記事をご覧ください)。 ひと月に見た展示、その間の私事や、そこから考えたり思い出したりしたことを、“小説”の心持ちで書いていきます。

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『平岡手帖』開始のお知らせ

【クラウドファンディングのお知らせ】 ――――― 2024年4月1日から 『平岡手帖』定期購読者を募る クラウドファンディングを開催します。 まだ、ページの公開はされていませんが。 始まりましたら、ぜひご支援よろしくお願いいたします。 - ○『平岡手帖』 ○場所:CAMPFIRE ○クラウドファンディング期間:2024年4月1日〜4月30日(予定) ○目標金額:170万円(定期購読者300人) ○企画:平岡手帖制作委員会、ハンマー出版 ――――― ●●●●●● - 202

    • 「うみおとす手、すくいあげる手」 【Durational Performance Project Tokyo (DPPT) ワークショップvol.1 石田高大さん《6つのサイコロ》について】

      以前、展示で訪れた時には、腰高よりも下がオレンジ、上がレモンイエローに塗り分けられていた【PARA神保町 2F】の壁は、いつからかマットな黒一色になっており、その手前に、一本足で、天板の四角いテーブルを置いたのが、『Durational Performance Project Tokyo (DPPT) ワークショップ vol.1』のプレゼンターである石田高大さんだった。 テーブル向かって左手には、愛全地蔵通りに面した窓があって(すりガラスで8枚、すなわち4対横並びになっている

      • 【遅いご報告】(美術鑑賞の日々を小説風に綴る月刊誌『平岡手帖』クラウドファンディング)

        あっという間に2日が経とうとしていますが、『平岡手帖』クラウドファンディングでは、164名の方々より、目標を大きく上回る1,966,055円のご支援を賜りました。作品をご提供くださったり、コメントを寄せてくださったりした協力者の方々を合わせれば、200名を超える方々から様々な形でお力を頂いたということで、この度はありがとうございました。厚く御礼申し上げます。 期間中は、手帖を押し付けたり、突然ご連絡をしたり…という不躾な形でお願いして回りましたが、その際に、どなたもあたたか

        • 【『手帖』と手“帳”(30)】(美術鑑賞の日々を小説風に綴る月刊誌『平岡手帖』クラウドファンディング 30日目)

          特にここ数日は、クラウドファンディングの“伸び”に一喜一憂してしまって、肝心の文章を書くエネルギーが削がれる…!(なんて言いつつ、展示を見ることにはまったく影響がない)ということでなるべくチェックしないようにしていたが、それでも動向を何となく追っていたのは、つぶさに確認している父が、「〇人増えて○○%になったよ!」と伝えてくるからだ。4月はずっとこの調子だったので、始まった当初はうっとうしいばかりだったけれど、ことここに至ると精神衛生上たいへんありがたい。 先ほども、「12

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        『平岡手帖』開始のお知らせ

        • 「うみおとす手、すくいあげる手」 【Durational Performance Project Tokyo (DPPT) ワークショップvol.1 石田高大さん《6つのサイコロ》について】

        • 【遅いご報告】(美術鑑賞の日々を小説風に綴る月刊誌『平岡手帖』クラウドファンディング)

        • 【『手帖』と手“帳”(30)】(美術鑑賞の日々を小説風に綴る月刊誌『平岡手帖』クラウドファンディング 30日目)

          【『手帖』と手“帳”(29)】(美術鑑賞の日々を小説風に綴る月刊誌『平岡手帖』クラウドファンディング 29日目)

          修復された《睡蓮、柳の反映》を見たのは、2019年の「松方コレクション展」だろうか。その時は全然気がつかなかったけれど、渋い金色めいたキャンバスに固定された残存部分は、釘の打たれていた側面(錆色と穴が残っている)もろとも、いわば“開き”となって貼り付けられていて不思議だ、痛々しいはずなのに妙に現実感がない。 その正面に、人が行き来できるくらいの間隔を開けて竹村京さんの作品が、レースのカーテンのようにはためいているのは、「ここは未来のアーティストたちが眠る部屋となりえてきたか?

          【『手帖』と手“帳”(29)】(美術鑑賞の日々を小説風に綴る月刊誌『平岡手帖』クラウドファンディング 29日目)

          【『手帖』と手“帳”(28)】(美術鑑賞の日々を小説風に綴る月刊誌『平岡手帖』クラウドファンディング 28日目)

          昨日は家で、企画メンバーとして関わっているDPPT(Durational Performance Project Tokyo)、その第1回ワークショップについて書いていて、今月中には完成させたい(そもそももう1か月経っている)が、書きたいことが多すぎてなかなかまとまらない。そもそも気圧のせいか、あまりはかどらないまま、夕方になったので散歩がてら、巣鴨に保坂和志さんと山下澄人さんのトークを聞きに行く。散歩がてらなのは家から近いというただそれだけのことで、内心は緊張している。『君

          【『手帖』と手“帳”(28)】(美術鑑賞の日々を小説風に綴る月刊誌『平岡手帖』クラウドファンディング 28日目)

          【『手帖』と手“帳”(27)】(美術鑑賞の日々を小説風に綴る月刊誌『平岡手帖』クラウドファンディング 27日目)

          17時。新宿【デカメロン】の2階に上がるとがらんとした空間が広がっていて、左手の、隣り合う展示室を覗く。ピュヴィス・ド・シャヴァンヌの《貧しき漁夫》みたいに、木舟の舳先でこうべを垂れた人影がいて、その人が三谷蒔さんらしい。 手に持った、ゴールデンハムスターくらいの氷を三谷さんはがりりと齧る。飛び散った破片がひとつ、舟と私の間に落ちて、私がいた3時間の内に、当然溶けてはいたけどぷっくりとした水滴のままだった。 船首には(おそらく)ユリが、まだ青々とその花弁を閉じていて、舟の“進

          【『手帖』と手“帳”(27)】(美術鑑賞の日々を小説風に綴る月刊誌『平岡手帖』クラウドファンディング 27日目)

          【『手帖』と手“帳”(26)】(美術鑑賞の日々を小説風に綴る月刊誌『平岡手帖』クラウドファンディング 26日目)

          外苑前に新しく出来た、多摩美の【Up & Coming】にTAKU SOMETANI GALLERY から向かう。まさかこんなに早く、再会できるとは思っていなかった齋藤春佳さんの絵画が窓越しに見えて、相変わらず画中では、桜色のカーテンが、右奥から左手前へと吹き抜ける風を知らせている、そのやわらかさが、つい先ほど見た、柿坪満実子さんの胸像を包む布地と重なる。“カーテン”はちょうど歩いてきた方向になびいていて、なんだか招かれているようだ、そのまま、コンクリ打ちっぱなしの廊内へ上が

          【『手帖』と手“帳”(26)】(美術鑑賞の日々を小説風に綴る月刊誌『平岡手帖』クラウドファンディング 26日目)

          【『手帖』と手“帳”(25)】(美術鑑賞の日々を小説風に綴る月刊誌『平岡手帖』クラウドファンディング 25日目)

          久しぶりの日差しに誘われて、1駅分歩いてみる。ひとっ飛びに初夏になってしまったようで、あどけない緑葉たちは無邪気に嬉しがっているようみたいだけど、まだやわらかな肌が火傷してしまわないか、少し心配だ。 最近なんだか疲れやすいのは、身体を動かしていないからかもしれない…と、昨日は、しばらくサボっていたストレッチをやってみた。半分寝そうなくらいゆるゆるとしたものだったが、それでも凝った血液が回りはじめたのか、少しだけど身体が軽い。小腹が空いたので、リンゴを剥いて食べる。二切れだけ

          【『手帖』と手“帳”(25)】(美術鑑賞の日々を小説風に綴る月刊誌『平岡手帖』クラウドファンディング 25日目)

          【『手帖』と手“帳”(24)】(美術鑑賞の日々を小説風に綴る月刊誌『平岡手帖』クラウドファンディング 24日目)

          この“コラム”が、どれほど宣伝になっているのかわからないけれど、あと6日でクラファンが終わる。平岡手帖をまずは一年間、毎月発行していくことは支援の多寡にかかわらないけれど、できるだけ集まってくれると、様々な面で円滑になり、結果、継続に繋がると思うので、ぜひご支援のほど、よろしくお願いいたします。 …という日がくることを、3月27日、黄金町バザールの『寄る辺ない情念』(Art Center Ongoing の小川希さんによるキュレーション展)を見ている時、あまりリアルに想像で

          【『手帖』と手“帳”(24)】(美術鑑賞の日々を小説風に綴る月刊誌『平岡手帖』クラウドファンディング 24日目)

          【『手帖』と手“帳”(23)】(美術鑑賞の日々を小説風に綴る月刊誌『平岡手帖』クラウドファンディング 23日目)

          おとといの玉川上水、それこそ水の中へと溶け込むように散開していったパフォーマーたちも、目が馴れてくるとだんだん見えてくる。コンクリートの岸、その突端に立った山岡さんは、企画としても、パフォーマンスの目立ちっぷりからいっても中心で、観客のセキさん、そして企画のもう一方の柱である、「玉川上水46億年の旅」主宰のリー智子さんは、その側に座ってイチゴを食べている。ご相伴に預かりながら山岡さんの足元を見ると、最初10個あった石は4個になっていった。その直前には6個だったから、“石ふたつ

          【『手帖』と手“帳”(23)】(美術鑑賞の日々を小説風に綴る月刊誌『平岡手帖』クラウドファンディング 23日目)

          【『手帖』と手“帳”(22)】(美術鑑賞の日々を小説風に綴る月刊誌『平岡手帖』クラウドファンディング 22日目)

          昨日は早く出て羽村駅へ向かう。待ち合わせ時刻の10時15分前に着く電車に乗ったのは、(一応)企画側だからぎりぎりの、次の9時58分着ではまずいだろうと思ったからで、改札を出ると山岡さ希子さんが、参加者のセキさんとムラヤマさんと話している(名刺代わりとして、見本の『一月号』をお渡しする)、夜行バスで東京まで来た石田高大さんは、とっくに近くの喫茶店で一服していたらしく、北山聖子さんと一緒に会話の輪に混ざる。すぐに、山﨑千尋さんと、その他の参加者さん ― フクシマさん、ナガテさん、

          【『手帖』と手“帳”(22)】(美術鑑賞の日々を小説風に綴る月刊誌『平岡手帖』クラウドファンディング 22日目)

          【『手帖』と手“帳”(21)】(美術鑑賞の日々を小説風に綴る月刊誌『平岡手帖』クラウドファンディング 21日目)

          この書き出しが多いけれど、またも私は電車に揺られていて、今日は、玉川上水取水口でのパフォーマンスを見に行く(というより、企画側として赴く)。その予習になればと、昨日は調布駅で降り、尾花賢一さんと石倉敏明さんの 「多摩川ジオントグラフィー」に向かったが、GoogleMap を読めずに一旦引き返す…と見知った顔が階段を上がってきて、やっぱりアベさんだった。 アベさんに案内してもらって、会場の【調布市文化会館たづくり】にたどり着く。2階(ホール?)に向かおうとする私を、アベさんは一

          【『手帖』と手“帳”(21)】(美術鑑賞の日々を小説風に綴る月刊誌『平岡手帖』クラウドファンディング 21日目)

          【『手帖』と手“帳”(20)】(美術鑑賞の日々を小説風に綴る月刊誌『平岡手帖』クラウドファンディング 20日目)

          『手帖 3月号』を書き終え(実際、何かの形で発表するなら、もう少し校正などが必要だろうけど)、少し気楽な気分で上野駅を降り、地図を見ながら進む。途中で大体検討がついたので、スマホをしまい、ぼーっと歩く。時代遅れなイヤホンから聴こえる、“オネゲルの田園”とも呼ばれるらしい交響曲第4番の響きが、快晴の4月、やや温い昼過ぎによくあっているが、考えているのは3月のことだ。 このコラムでも何度か書いたけれど、3月22、23日と石田高大さんの《6つのサイコロ》を見ていて、企画側の“記録係

          【『手帖』と手“帳”(20)】(美術鑑賞の日々を小説風に綴る月刊誌『平岡手帖』クラウドファンディング 20日目)

          【『手帖』と手“帳”(19)】(美術鑑賞の日々を小説風に綴る月刊誌『平岡手帖』クラウドファンディング 19日目)

          ようやく『平岡手帖 3月号』が書き終わって、佐塚さんたちにお送りする。見本の『1月号』では、情報量が多すぎて疲れる…みたいな反応を少し頂いたから、詳細は思いきって展示リスト(引用文献的に巻末へ付した、登場した展示を一覧にしたもの)に任せ、本文はもっと大雑把に書いてしまう。この試みは、少なくとも私の中では当たっていて、情報量を抑えた分、展示や作品そのものの描写が増やせて、流れとしてもっとおっとりした気がする。 そして、この平岡手帖は、練習がてら書き始めた『2023年10月号』の

          【『手帖』と手“帳”(19)】(美術鑑賞の日々を小説風に綴る月刊誌『平岡手帖』クラウドファンディング 19日目)

          【『手帖』と手“帳”(18)】(美術鑑賞の日々を小説風に綴る月刊誌『平岡手帖』クラウドファンディング 18日目)

          昨日はナミイタに行って、現状、捨てられるだけのゴミ(の詰まったガラ袋)を荷台に放り込んだトラックを見送る。その時トラックを運転しているのはツルオカさんで、先ほどまでは荷台で受け取った荷物を均していた、助手席の、アトリエ・トリゴヤの吉川さんは、脚立の上でゴミを待ち構えており、“アルミマン”こと飯島さんに、トリゴヤ/ナミイタと隣りあっていた作庭工房(も焼失してしまった)のイトウさんが寄せてくれた袋を吉川さんへ渡すのが、私のこの日の役目だった。ナミイタ管理人の東間さんは、手続きの関

          【『手帖』と手“帳”(18)】(美術鑑賞の日々を小説風に綴る月刊誌『平岡手帖』クラウドファンディング 18日目)