ポートフォリオのようなもの #2
初回授業で課題発表があった翌日。
朝食をモグモグ食べながら「どんなブランドにしようかなぁ」と考えていた。
何気なく納豆のパックを手に取り、たれをかけ、ぐるぐる混ぜていたとき。
そういえば、「納豆って1パック30円くらいですごく安いのに、作るのはすごく難しいんだよなぁ」と思って、デパートの地下食品売り場で売れるような納豆専門店のブランドを考えることにした。
ブランド名を何にしよう…と、納豆の関連ワード(ねばねば、のびる、くさいなど)をいくつか挙げて「糸を引く」というワードから「ITOBIKI」という名前にした。こういうときに洒落のセンスがとても必要なんだなぁと感じた。
次に「ITOBIKI」のVIをどうするか、で決まった案がこちら。
この時考えたアイデアスケッチを捨ててしまったのだが、データにして残しておけばよかったなぁと思う。
おそらく、NewTimesRomanとかTRAJANとかCaslonのフォントを参考に、セリフ体の美しさを残しながら、納豆の糸を引くイメージを織り交ぜて作った。
この、「のび」を表現する文字のくびれが印刷で消えてしまわないようにギリギリの太さに調整した。
ちなみに、VIには、シンボルマーク(マークだけのデザイン)、ロゴタイプ(文字だけのデザイン)、ロゴマーク(シンボルマーク+ロゴタイプ)の3形態がある。(人によって解釈が違う気がする…)
今回はロゴタイプのみ採用。
ロゴタイプを展開するとこんな感じ。
ちょっとシンプルすぎるかもしれない。
せっかく、なので文字のくびれを使用したパターンで展開しても良かったかも。
VIが完成したので、パッケージデザインを考える。
百貨店に置けるような品質のイメージにした。
考えたデザインを実物に起こしたのが、こちら。
このような感じ。
パッケージデザインのイメージ画を立体にするのがすごく大変だった。
展開図を考えたり、現実的に組み立てると実現不可能なことも多かった。
紙選びにもこだわった。
もともと色のついた紙にするか、紙に色を印刷するのか、とか。
神保町にある竹尾見本帳店で1万5千円分の紙を購入して、実際に組み立ててみて、どの紙が一番ブランドに合っているのか、とか。
悩みに悩んで、ペルーラという紙を採用した。
光沢が真珠のようなパール感のある材質で、とても美しかった。
タレをかける前の納豆の粒の印象にも似ていた。
貧乏大学生にはかなり痛い出費ではあったものの、とても勉強になった。
講評までに、パッケージはすべて完成させるまでに至らず、細々としたところは授業が終わってから完成させた。
デパートの地下食品売り場に置けるようなブランドに、見せることはできていると思うが、実際仕事になるとこうはいかない。
予算や時間の都合もあるし、何よりクライアントの意向に沿うものでなければならない。
しかし、”際限なく作る”ということを経験することで、制限のある中でも「これならできるかも」「あれもできるかも」と、できることを見つけられるようになれたと思う。
シンデレラを舞踏会へ行けるよう、魔法でドレスアップさせた魔法使いのように…とまでは言わないが、「素敵なものを、もっと素敵に!」ができるブランディングデザインやパッケージデザインはとっても面白い。
何気なく手に取ったその商品のパッケージ、捨ててしまう前に少しだけ見てあげてください。きっと、素敵がみつけられるはずです。