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それでいいんだ

「インスピレーションはどこから来るんですか?」と尋ねられ、「そんなの私が1番知りたいよ」と喉まで出かかったが、「なんですかね…日常の中にあるものを拾い集めているんだと思います。変に突飛なものとか、尖ったものではなくて、普通に生活していて身の回りにあるものからです。」と口から出た。

饒舌に語りだした自分に「えっ、そうだったの?」と驚かされた。

日常から来てたんだ…と呆気に取られて、「本当にそうなのか?」と数日悩んでいた。

プロフェッショナル仕事の流儀 特別編 宮﨑駿と青サギと...「君たちはどう生きるか」への道を観た。

スタジオジブリ制作の長編アニメーション『君たちはどう生きるか』が、いかにして作られたのかをまとめた7年間の記録だった。

2時間ナレーション無しのドキュメンタリーで、監督の宮崎駿さんを軸に、プロデューサーの鈴木さんや、高畑勲さん、保田道世さん、制作に関わる人々、近所の幼稚園の子供たちとの関係と、それを作品に投影していく中での宮崎さんの苦悩と葛藤が描かれている。

宮崎さんがどんな人なのか知らないので、酷く見当違いなことを書くかもしれないが、このドキュメンタリーだけを観た上で思ったのは、宮崎駿という人はとても人間らしい人だということ。もう一つは、身の周りのことを描いていいんだということだ。

冒頭のことがあったので、少し安心した。

私は自分に自信がないから、身の周りのものを落とし込むことに抵抗というか、これでいけるという確信がいつまでも持てずにいる。

ラフから原画に描き起こしても、納得出来なくてボツにしてしまったり、「なんか違う」といつまでも同じ作業段階で足踏みしてしまうのも、自信がないからで。

身の周りにある良いものを良いものだと身体はすぐに認識できるのだけど、頭が認識するまでに結構な時間がかかって、ようやく認識したときには「なんだ、これでよかったのか」と安堵と落胆があって、「本当にこんなのでいいのか」とまた疑い始めて、それの繰り返し。

宮崎さんと自分を比較するのもおこがましいのだけど、それでいいんだと思えた。

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