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びびった!...マジでびびった

のぞみュー電車で絡まれる!

ひげ脱毛の激痛に耐えたご褒美に

錦糸町の蒙古タンメン中本で
月いち限定メニュー【北極の超】を戴く

この身体の内外に
強烈な刺激を与えた後の

ゆるゆるとした
帰り道の私鉄内で

不意に事件は起きた

途中駅で快速急行に乗り換える際
同じ号車へと乗り込む女性と目が合った

ただ一瞬目が合っただけで
直に接触すること等はなく

各おの扉から向かって左右の
反対側の空いていた席に座る

電車が出発し
程なくすると
アレがやって来た

そう

中本で食事の直後

不定期に訪れる腹痛
通称”中痛"である

快速急行だけに
次の停車駅までは暫くかかる

途中下車不可能の
試練の時間(とき)だ

何とか気を紛らわせるため
臀部のポジショニングを変更したり
車窓の景色に集中しようとしているうち

気がつくと
先ほどの女性が

私のすぐ傍に立ち
ジーッとこっちを見ていた

知り合いだっけかな?

マスクをしていたので
私も彼女に数秒間視線を送るも

まったく知らない人だ

目を逸らしても
依然彼女は
こちらを凝視している

…ひょっとしたら
俺の背後にでも
何か視えているのかな?

ちょっと怖くなってきた矢先
彼女はアクションを起こした

「何か言うことは無いですか?」

・・・

私が呆気にとられていると
今度はマスクをずり下ろし
顔を全部曝け出した状態で

「何か言うことは無いですか?」

・・・

私、こと対人に関しては
絶大な記憶能力を保持して居りまして

一定期間関わり
言葉を交わした人物なら

10年・20年以上経過しても
且つ
まるで関係ない場所にて
その姿を見かけようとも

瞬時にそれが誰かを
特定することが出来るんですね
(殆どの場合、名前まで思い出せます)

頭の中で再び
顔面認識機能が高速回転するも

結果は初見時と同じく

該当なし

「特に云うことはありませんが」

質問にそう返すと

「LINEブロックしてますよね?」

彼女はそう続けた

・・・

ぶっちゃけ
LINEをブロックしている女性は数名居ります

けれど

やっぱり

ワタシ

アナタのこと

誰なのか知らないよ…


「住んでる場所は判ってるので
今から向かおうとしていたところです」

・・・

よく状況がのみ込めないけど


大ピンチじゃね?!

休日の昼下がり
くだり電車の
長閑な車両の中でさ…

「LINEブロックしてますよね?
携帯みせてください
あの帽子被った写真の人アナタですよね?」

帽子被ってる??

…そう云えば

20年くらい前に
グラムロックのバンド演ってた頃

確かに
シルクハット着用してた…

てか

証拠写真があるって
そんな古い記録?

ぜんぜん意味わからんけど
だんだん自信なくなって来たわ…

私は促されるまま

ウルトラマンディナスの
キラキラしたディメンションカード入りの
iPhoneを取り出した(泣きたい)

彼女は
自身が所有するアンドロイド端末を操作し

決定的な画像を
この眼前に差し出した


「コレ貴方でしょ!」

・・・

残酷な時間の到来

100%の
確信を持ち得た私は
悠々とマスクを外す

「違いますよ」

だって儂
ベースボールキャップなんて
一つも持っていないもんねー



どストライクの伊東美咲
…ではなく

おしぷりさん似の彼女曰く

この声までもが
そっくりだったそうだ


…と

コレが俺の
電車男ならぬ
電車女の話だ。

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