見出し画像

活動場所を超え、居場所へ。 心地いいコミュニティを育てた4つの文化

2021年7月21日、NO YOUTH NO JAPANは2周年を迎えました。活動の幅が大きく広がり、所属メンバーも設立当初の倍以上に増え、活動団体としてのパワーがついてきたなと感じます。
一方、活動と同じくらい私たちが大事にしているのは、NO YOUTH NO JAPANはコミュニティであるということ。政治・社会に想いを持ちつつも、その想いを共有できないつらさを味わったことがあるメンバーが多いからこそ、ただの「活動の場」であるだけでなく「愛着を持てる居場所」でありたい。そのための文化を、2年かけて育ててきました。
そんな活動の裏側にある「NO YOUTH NO JAPANが大切にしている4つの文化」を解き明かしていきます。

目次:
1.みんなの活動をオープンにする文化
2.安心できるコミュニケーション文化
3.おしゃべりを重んじる文化
4.wakuwakuする文化
5. 最後に

1.みんなの活動をオープンにする文化

画像1

コミュニティの中で何が起きているのかが不透明で自分の手元以外が見えなくなると不安になり、居場所と感じられるコミュニティからは遠ざかってしまいます。

NO YOUTH NO JAPAN(以下NYNJ)ではGoogleの共有カレンダーで、組織全体のスケジュールをメンバー全員が確認できるようにしています。
組織でカレンダーを共有する場合、個人のカレンダーを共有して一人ひとりが自分のカレンダーに予定を加えていくスタイルが一般的かと思います。ですが、それだと必要以上に一人ひとりの予定が見えてしまう。
それを解消するために私たちは「NO YOUTH NO JAPANのカレンダー」を作成して、それをメンバー全員に共有しています。予定の数から組織の活動量が見えたり、予定のタイトルから飛び入り参加したい場に参加したり、予定の参加者名から「この前の〇〇どうだった?」なんて話ができたり。活動に関連するスケジュールを全員が知ることができて、でも個人のプライベートには踏み込まなくて大丈夫。そんな仕組みを作ることで活動の効率を高めるだけでなく、組織内の不透明度を下げお互いの忙しさなどに気を配れるきっかけに一役買っています。

画像2

活動予定のほか、メンバーの誕生日もカレンダーに登録して共有しています

1年目にこのカレンダーがなかった時代、各々が活動を進める力があるからこそ、チームそれぞれが自由に活動して代表ですら全体像が把握できなかったり、新しく入ってくれたメンバーがプロジェクトに定着しづらかったりと、実はとても苦労しました。このひと手間のオープン化が、風通しを高めてくれたと感じます。


2.安心できるコミュニケーション文化

自分の居場所と思える場、それは安心できる場所ではないでしょうか。
もし意見や考えを発言した時にその意見をすぐに否定されてしまったら?次に発言をするときに緊張してしまうし、これからは発言を控えたくなりませんか?これでは居心地がいい場とも、安心できる場とも言い難いと思います。
安心できるコミュニティを作る。そのために私たちはメンバーみんなが安心できるコミュニケーションを取ることを大切にしています。

私たちは「Yes, and...」をモットーに相手を否定せずに議論や会話を進めていきます。「Yes, and…」とは、まず相手を必ず「Yes」「なるほど」「たしかに」と1回受け止めること。その受け止めた意見や考えが自分の意見と100%一致しているとは限りません。もしかしたら95%は同じでも少しだけ違うかもしれないし、1%も合わない考え方だったかもしれません。違いの程度が大きい意見であったとしても、すぐに否定するのではなく「たしかにそんな考え方もできるね」とまずは肯定から始める。そこから「and」を使って自分の意見を加えます。こうすることで肯定から入る議論や会話になっていきます。

画像3

「Yes, and...」の他にもNYNJでは心地よい対話のために3つのグラウンドルールを定めています。

相手を肯定することに加えて、「聞く姿勢」も安心できるコミュニケーションの重要部分だと私たちは考えます。ちゃんと相手の話に耳を傾ける。オンラインミーティングでも必ずお互いの顔を見せて、ただ聞くのではなく相槌をうったり、表情が変化したり。話しているときにリアクションがあるだけで「私の話を聞いてくれている!」と強く感じられて、安心して自分の考えや意見を伝え合うことができています。発言をしなくても相手の話を聞く姿勢があるだけで、安心できるコミュニケーションにつながるのです。

直接会話するときのリアクションに加えて、NYNJではSlackでのメッセージに対してのリアクションも積極的に取ります。ついついおろそかになりがちな文字のメッセージへのリアクションですが、相槌をうてるカスタムスタンプを使ったり、短くても文字で返信するなど画面の文字という冷たいコミュニケーションになりがちな部分も「リアクション」をすることでみんなが発言しやすい環境を作ることができます。

Slackのコミュニケーションについてはこちらの記事で詳しく解説しています!

Yes, andで肯定から議論を始める。相手の話をしっかり聞く姿勢を持つ。連絡用のメッセージにもリアクションをする。一つひとつの小さな積み重ねが誰も否定しない安心して発言できるコミュニティが作られていくのではないか、と思います。

3.おしゃべりを重んじる文化

NYNJの活動と関係ある話もない話も、何気ないことだって気軽に話せる。そんな仲間がいることも居心地がいいコミュニティであるために大切な要素です。

最近起きたことを何気なく報告。今の気分をちょっと吐き出してみる。対面ではよくあるコミュニケーションもオンラインになると途端に少なくなってしまいます。
NO YOUTH NO JAPANではミーティングの始めに「チェックイン」の時間を設けています。チェックインは、ミーティングの本題に入る前にテーマを決めてミーティング参加者全員で話す時間です。
チェックインの話題はなんでもOK。好きな食パンの食べかたや最近の発見、今月の目標発表など。ミーティングだけだと分からないメンバーの一面を知ることができるおしゃべりです。

他にも、最近NYNJで始まった「耕想(こうそう)ミーティング」という雑談の場があります。耕想ミーティングとは、所属チームに関わらず全メンバーに開かれた、毎月の新月と満月の日に行うおしゃべりをする広場のような場です。
こちらも話すテーマを毎回決めて行っているのですが、テーマについての議論よりも「想いを耕す」という名前のように、メンバー個人のストーリーや想いに焦点を置きます。例えば、初回のテーマは「政治参加に興味をもったきっかけは?」というもの。親の投票について行ったときの気づき、学校での友だちや先生とのエピソードなどを聞いて、メンバーの今の想いの原点を知れたことが印象的でした。
参加の仕方は自由で、メンバーと深く話してもいいですし、みんなの話をラジオみたいに聞いているだけでも問題ありません。NYNJの活動ではなかなか関わることがないメンバーとの交流、コミュニケーションを生む場になっています。

画像4

耕想ミーティングの様子

みんなと話すこと、みんなの声を聞くことでお互い気づけることもあります。おしゃべりの時間がなくても活動はできます。ただ、おしゃべりはメンバーが仲良くなれるというだけではない、色々な意味があると思います。場をあたためたり想いを共有したり、知らなかったメンバーの一面を知ったり。色々な雑談の機会を作ることでもっと楽しく、もっと居心地よく、もっとスムーズに活動することができるはずです。

4.みんなでWAKUWAKUする文化

NYNJのビジョンのひとつでもあるWAKUWAKU(ワクワク)。そしてこの言葉は私たちが活動する中でよく出てくる言葉でもあり、NYNJのコミュニティを語る上で欠かせない言葉です。

これは私たちがワクワクできる活動をしそのワクワクを届けていくという、プロジェクトへの取り組み方の話でもありますが、組織の中でメンバーがワクワクすることにも本気で取り組みます。
象徴的なのが本気すぎる遊びづくり。去年の夏に行ったオンライン夏合宿の際には、スプレッドシートを使い、NYNJのSlackスタンプを使ったビンゴカードを作成して、グループ対抗のビンゴ大会を開催しました。

画像5

NYNJオリジナルのSlackスタンプ(カスタム絵文字)を使ったビンゴカード
(こちらのスタンプについてはSlack活用術の記事で詳しく取り上げています)
https://note.com/noyouth_nojapan/n/n372a505efe80?magazine_key=m78d398677133

オリジナルの手の込んだビンゴを作成したメンバーはもちろん、参加したメンバー全員がゲームを全力で楽しんでみんなでワクワクを共有します。するとオンライン上でも相手の熱量が伝わってきます。
楽しい、ワクワクを共有することで活動だけでは構築できない関係、絆がコミュニティの中で生まれていきます。

コミュニティがワクワクしている方が、活動にもワクワクできる。コミュニケーションに遊びの余地があると、そこから新しいアイデアも生まれる。そんな風にして発信するアイディア、コンテンツ、情報の方が、もっと多くの人にエネルギーと想いが波及すると信じています。


5. 最後に

文化は、何か1つのツールや企画から生まれるものではなく、時間と手間をかけて育てるものです。文化がなくても仕事はできますが、文化があるから組織や活動が強くなるのだと、この2年間で学びました。これまで2年間NO YOUTH NO JAPANを応援して支えてくれた全ての方々に感謝でいっぱいです。

実は「『違いをつくる』想いが芽生える」をコンセプトに始まったこのnoteも、7月13日で1周年を迎えました。
インスタポスト、記事、イベントなど活動で届けきれない私たちメンバーの想いを、noteを通じて丁寧に皆さんにお届けできるように、そして皆さんのなかにも何か想いが芽生えるきっかけをつくれるように、活動を続けていきたいと思います。
3年目のNO YOUTH NO JAPANと、2年目のnoteチームをこれからもよろしくお願いします。

(文=安澤朱織)


NO YOUTH NO JAPANのInstagramの投稿を続けるためのデザイナーさんへの依頼料と活動の運営経費にさせていただきます!