殺人とネイル
ネイルサロンは毎月新規クーポンを渡り歩くのが常だったのだけれど、最近継続して通っているネイルサロンがある。
理由はいつもお願いしてるネイリストのおねえさん。
技術はもちろん申し分ないのだけど、
なにより話が面白い。
この前の議題は「死」についてだった。
ネイルサロンでなんの話してんの。
お姉さんがつい最近、知り合いの男性とバーで飲んでる時に安楽死について語り合ったらしい。
だからどこでなんの話してんのよ。
その時の会話の内容から、「死」というか主に「殺人」について話した。
つい最近、人を殺してしまう人とそうでない人との、線引きについて考えることがあった。
殺したいほど憎んだことがあったとしても
実際に行動に起こした人の数はぐっと減少する。
行動に移してしまう人とそうでない人の違いはどこにあるのか、というのをわたしはぐるぐると考えていた。
お姉さんは昔本気で人を殺そうと思ったことがあるらしい。
その時は、「どうやったら殺せるのか」ばかり考えていて、気づいたらそればかりを考えてしまい、お母さんに相談したらしい。
話を聞いたお母さんは泣きながら
「あなたにそんなに殺したいほど辛い思いをさせたその人が憎い。あなたがやるならお母さんが代わりに殺す」
その時お姉さんからすーっと殺意が抜けていった。
「止めてくれるかどうかもそうだけど、結局、
そういう殺意を話せる人がいるかどうかだと思うよ」
やけに腑に落ちてしまった。
というのもお姉さん自身、昔から「人を殺す」ということに関して人より以上に関心が高かったらしい。
中身は完全にサイコねえさん。
「自称サイコ」が可愛く見えるほど、話が具体的で、「あ、ガチだこの人」とネイル中の手を引っ込めそうになった。
わたしは人が殺すまでの心情の変化に興味があってそのお姉さんは人を刺した後の相手の状態に興味がある。
着眼点が若干異なっていることに気付きつつ、
気づいてどうすんだ、という気持ち。
お姉さんも同じことを、思っていたらしい。
その後「でも、」と付け足して
「こういう話しても結論出てもしょうがないような話をするのがいいよね笑」
激しく同感。
かなりアンダーグラウンドな暗い話をしながら完成したネイルは鮮やかなブルーとピンクのグラデーション。キキララみたで可愛い。ギャップえぐいけど。
次回のネイルもお姉さんにお願いするとして、
noteでこんな話していいのかな。
暴力的コンテンツに振り分けられないかな。
なんて、いらん心配してみたりする。
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