5/16 たまごやきの誘惑

最初は軽いと思っていた荷物をだんだん重いと感じるようになる旅はいい疲れを携えた旅だと思う。毎回次はキャリーケースにしようと思いながら気に入ったエナメルのバッグを選んでしまう。高校受験が終わった記念に武蔵小山の商店街で買ってもらったバッグ。

絶対に叶わないと言われた願いが一度叶ってしまったことがある。あの時お願いしたことの反動で去年1年間動けなくなってしまったので、あまり大きな願い事は禁物だ。電車に揺られすぎてずいぶん遠くまでやってきた。まだまだ帰らないでもいいけれど、家の植物たちがカラカラに乾いてしまう前には帰らないといけない気がする。山がこんなに小さく見られる場所に行けるのは素晴らしい、このために生きている。

毎日温泉に入れたらもしかしたら不老不死になるかもしれない。けれど私のおじいちゃんはお風呂の湯船の中で息を引き取ってしまった。その時どんな感覚だったのだろう。心地よさだけが残っていればいいな。

遠い場所まで行くことを頼りに生きてきた。まだ今いる場所が最後だと思っていない。早く帰りたいけれど、まだもう少し揺られていたい。

恐竜の卵のことを信じる?
本当は卵ではなくて、個体のままで生まれていたとしたら?
もっとふわふわの毛に覆われて生まれていたとしたら?
恐竜の鳴き声のことを信じる?
本当にあんな声で鳴くのだろうか。
もっとか細い寂しげな声で囁いていたとしたら?
まだこの世界に恐竜もいたかもしれない。
恐竜のこと、どれくらい信じている?

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