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5/2 向が丘遊覧船

シンデレラを見てると泣いてしまう。別に心が疲れてたりする訳ではないのだけれど、特に妖精がシンデレラの古いドレスを綺麗に仕立て上げるシーンは大変胸にグッとくるものがある。カボチャの馬車も普段仲良くしてきた動物たちが変身していくシーンも、家族総出でシンデレラの門出を見送るよう。素敵な出会いにふさわしい送り出しをされ、一夜限りの舞踏会に出掛けていく。幼少期みたディズニー映画の中で一番好きだったのがシンデレラだった。魔法の装身具の中で一際輝いていたのはやはりガラスの靴だった。ガラスでできた足にピッタリとはまる靴は、繊細な自由さを象徴するよう。完全体ではない、魔法によって彩られた自由さ。だってそうでなければガラスでできた靴なんて選ばない、履いたそばから体の重さで砕けてしまわないようそっとステップを踏む軽やかなタンゴ。そばで見たら継母はシンデレラだということに気づかない魔法。もしかしたらこれが一番大切なのかもしれない。虐げてきた人たちへの一番の復讐を妖精は知っていたのかもしれない。でも目的はそこじゃない。目的の中でも最も大切なのは、シンデレラが心の底から舞踏会を楽しめることだ。シンデレラ、灰を被った寂しい思いをしたお姫様。シンデレラ、毎日の家具でくたくたの体を引きずり屋根裏部屋で眠る。シンデレラ、夢の中ではお母さんに会えたかもしれない。シンデレラに大切にされてたネズミのことを思う。

山の中の遠いところまで来た。ここには森の光と空から降る流れ星と空に登る炎しかない。ぼーっと見てるだけで別の惑星にワープできるかもしれない。流れ星流れた。もう後戻りはできない。夏の星座にぶら下がって上から見下げる大三角形。天の川は南の島からよく見えるの。航海の無事を祈る北斗七星、大熊座がないている。ないているのは南極探検隊に犯されたペンギンのため。どんな時も僕が僕らしくあるためには少なくとも一日七時間の睡眠と適度な運動が大切。もう会えない人のことをぼんやりと考えながら泡を飲む。大昔行った箱根旅行のことと、個室に露天風呂がついた親戚のコテージのような宿を借りたこと。もう会えないことと忘れていくことはイコールだろうか。

子供たちが走り回る、走れ走れどこまでも。
いつの間にかこんなところにいた。正しいことと繋がりを求めることの違いはなんだろう?
ふたご座は笑う、あまりにも愚かな問いに対する嘲りだ。彼らはシニカルなファニーが大好き。

鏡の中に映るあの頃のあなたたちがどうか永遠に。


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