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上京物語を読んだ

仕事を辞めてこれから新しいことを色々始めていくために、私には知識が足りなかったので夫になにかオススメの本ある?と聞いたら5冊ほど見繕ってくれた。

選抜された本たち

「読む順番とかある?」
「上京物語が1番最初が良いと思う。小説だから読みやすいし、俺はこの春大学生で上京する人達全員に読ませたいと思ってる。

おおう…そんなに面白い本なのか。
それともそんなにタメになる話なのか。私は期待しながらページをめくった。



もくじを見ると
scene1「祐介」の物語
scene2  父からの手紙
と分けられていた。

ちなみに私は目次を見るのが大好きで、大まかにこの本はどんなことが書いてあるんだろうと自分で想像してから読めるからだ。
目次も次回予告も大好きなのである。

「祐介」の物語を読んだ後に、祐介が父からの手紙を見つけて自分の人生を振り返る話なのかなと、そう思って「祐介」の物語を読み進めた。

祐介は小さい頃から将来なりたいものが決まっていて、なんでも良いから"成功者"になりたいと思っていた。成功者=大金持ちになることだ。「祐介」の物語は、祐介が大学生になって、社会人になって、子供を産んで、40代になって、結局成功しないまま終わる。

それは夢もかけらもない"普通な物語"だった。
成功者になりたいと夢みる主人公、結局成功者にはなれなかったのだから小説として見るにはあまりに残酷でつらい結末だった。

でも既視感を感じた。
こんな人生歩んでいる人はこの世にたくさんいるんではないかと。
夢みる主人公だからこそ残酷な結末に思えたけど、大学へ行き社会人になって彼女と結婚して子供も出来た。そんな人生別の観点から見たら幸せなのでは???

「祐介」の物語が終わり、scene2 父の手紙へ進んだ。

またある男性が出てきた。その名は祐輔。
ページをめくると違和感を感じた。
違和感を探るため、もう一度scene1の最後に戻り読み返してから次に進む。

衝撃を受けた。この本の構造に。物語の進め方に。
あーーなるほど、なるほど!!!
してやられた!まんまと作者に一本取られた。

この物語の主人公は祐介ではなく祐輔だったのだ。前半は祐輔のお父さんが祐輔に宛てた手紙という名の小説だったのだ。
これから大学生になる息子に、夢も希望もない小説をプレゼントする。なんて父親だ。なんて愛情だ。そして、その後に人生で大切なことが手紙として綴られている。

祐介の物語を読んだ私は、まるで自分自身が祐輔になったような気持ちで父からの手紙を読めた。たしかにこの本は、大学生…いや、高校生のときに読みたかった。そしたらもっと違う人生を歩んでいたのかもしれない。

私は高卒で働き始めた人間なので、おそらくこの本を高校2年生ぐらいの時に読んでいたらまず大学に進んでいたかもしれない。

でもその時にならないとそんなことはわからない。今だからこそこんなに"父の手紙"の内容がスッと頭に入ってきたのかもしれない。

父の五つの教えの中に、本をたくさん読めというのがあった。言い回しが少し違うかもしれないけど。

それは本当にそうで、やっぱり本は素晴らしい。その人の人生の擬似体験が出来る。知らなかった世界が知れる。実行するしないは自分で選ぶことが出来るけど、知らなければその選択肢すら得られない。

最近また少しずつ本を読む機会も増えてきたので、これからも沢山色んな本を読んでいこうと思えた。


小説としても面白いし、とてもタメになる良い一冊でした。私もこんな親になりたい!!

何かを新しく始める時、人生に疲れた時、人生とはなにかを見つめ直す時に読むのをオススメします!

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