カルトとは

カルトとは何か? を考える

安倍元総理の銃撃事件をきっかけに、旧統一教会とカルトについて話題になっています。
旧統一教会については、弁護士の方々が会見を開いたり、ニュース番組に出演して旧統一教会に関わる問題を話されており、いまだに高額献金、合同結婚、霊感商法紛いのことが行われていることが発覚しました。
と同時に、この話題の中で「カルト」という言葉が頻繁に出現するようになったのですが、カルトとは何なのか、何をもってカルトと言うのか、一人一人意見が異なっています。

この記事では、カルトの定義について書いていきます。なお、ここではカルトという単語の本来の意味合いについては触れません。ここで述べるカルトとは、社会的問題を引き起こす破壊的カルトのことを指します。

・カルトの定義

カルトのメンバーであった経験を持つスティーブン・アラン・ハッサンは、「カルトとは自らに利益追求のためにあからさまな欺瞞をおこなう集団をさす」と述べています。(1)
この集団は宗教だけではなく、政治組織、商業ビジネス組織、教育や治療組織、あるいは個人の成長を期待し、教育をしようとする組織と様々な形態を持ちます。

カルトの持つ反社会性の特徴は、

1、虚偽と欺瞞の組織
2、入会・脱退の自由剥奪
3、組織のトップとメンバーとの間の支配・隷属的関係
4、公共の利益と福祉に反する活動

1、虚偽と欺瞞の組織
「虚偽で形成された表向きの信念や、信念と矛盾する欺瞞に満ちた行動体系をもった組織的な集団である(2)」
一般人が気をつけたい虚偽と欺瞞は、メンバー獲得、いわゆる布教活動で「組織名やその活動内容や目的を隠し、一般に人が警戒心をもちにくい別のダミー組織を名乗って接近する(2)」という部分です。
健全な宗教活動であるなら、宗教名を名乗って勧誘活動をしますが、カルトは宗教であることを隠して接近くることのあり、注意が必要です。
宗教以外では、「客観的効果のない器具を課過大に効果があるものと称したり、実際に手に入らない莫大な金が(2」入るようになるなど、まるでマルチ商法(3)のようなことをするカルトがあります。

2、入会・脱退の自由剥奪
健全な宗教では、信徒の入会・脱退は自由です。しかし、カルトは表向きは入会・脱退は自由だと主張しますが、脱退を困難にする状況を形成しています。
これらは人権侵害にあたり、カルトの問題点の一つとされます。

・肉体面
脱退者しようとすると監禁、厳しい罰を与える、身体的に拘束をします。隙をついて逃走しても、再び拉致されます。

・精神面
「集団内だけが安全な場所であり、集団の外は身の破滅に繋がる(4)」と、強迫観念を植え付ることもあります。

・社会面
メンバーになる際、個人所有の財産、資産、全てを組織へ寄付させ、家族や友達など人との繋がりを断ち切ることも多いです。

3、組織のトップとメンバーとの間の支配・隷属的関係
カルトのメンバーは、組織内の役割や仕事だけでなく、衣食住に関してまで、あらゆる面で組織の意思に服従させられてます。つまり、自由の完全剥奪です。
「結婚や性的行為、生死の権利にいたるまで、その自由が奪われている集団も少なくない(5)」

このように、3の特徴に、今問題となっている旧統一教会の「結婚」が含まれています。
これだけではなく、集団が獲得する富を独占するのは、組織のトップやごく一部の幹部であり、他のメンバーは組織の収益の再分配を受けることはありません。

4、公共の利益と福祉に反する活動

・経済問題
本来の目的を偽って、募金やお布施を求めること。強烈な恐怖で脅迫して、高価な物品を買わせるなど、詐欺的商法を行うことがあります。

先祖供養は不十分だから、きちんと供養するために、先祖が地獄から天国へ救われるために、と法外な金額を提示する組織・個人の行為がこれに該当します。

・社会秩序問題
第三者の生命と財産を脅かす行為です。
よくある社会問題では、子供の権利の侵害です。輸血拒否のため、子供が亡くなった事件は有名で、社会問題として人々の議論を引き起こしました。
海外では、子供が持つ教育を受ける権利が妨害された事例があります。

・何故カルトに入るのか?


多くの人が持つ疑問の一つです。
まず最初に知っていてほしいことは、カルトは誰でも入ってしまう危険性があります。そのことを認識して、被害者に対して、何々だから、と言葉を投げつけることはしないでほしいです。
人は、一人では生きられません。カルトは、孤立している人、欲求が満たされずに心に穴が空いている状態、不幸なことがあり、落ち込んでいる時など、心が弱った時に作用します。これは誰しもある心の弱さをつきます。
カルトに入る人に問題があるのではなく、弱った状態や組織に従事させるために、外部と断絶させて絡めとるなど巧妙な手を使うカルト側が問題なのです。
被害者は気がつくことなくマインドコントロールをされ、自分自身は充足感や満足感の中にあり、組織のトップ幹部のために仕える状態にされている。それがカルトです。

・カルトを避ける


カルトを避けるのは難しいことです。
以下の参考資料に書いたBBCを見ていただけたら分かりますが、カルトに勧誘は信じられないくらい巧妙化しています。
大学内でサークルと称して、宗教の勧誘を行う、一般では普通のセミナー、言語などの勉強会、交流会と称して人を集め、付き合いを持って自身の組織へ誘導しています。
カルトの手口について知っておくこと。少しでも違和感を感じたら、誰かに相談、距離を取ることが重要です。
そして、カルトが付け入る隙を作らない。これも重要です。

・もしカルトかもしれない団体に遭遇したら


すぐに離れましょう。連絡が来ても出ない、会わないことが第一です。
もし被害にあってしまったら、カルト関連を扱う団体に相談しましょう。(以下に相談窓口のアドレスを掲載しています)

・Yahoo知恵袋におけるカテゴリーマスター制度への苦言


旧統一教会の事件があった後から、私は第三者が考えるカルトがどのようなものか知りたくて、ヤフコメやYouTubeのコメントやYahoo知恵袋を観覧しています。
Yahoo知恵袋にアクセスすると、旧統一教会関連と政治に絡む質問が急増していました。
その中で、信徒らしき投稿が数件あり、内容は旧統一教会の擁護が多いです。
以下の参照資料、BBCでカルトは外に敵が必要、と話していた内容と、信徒らしき方の投稿「迫害されている」という思考が似通っていることが見受けられました。

その中で、元信徒と名乗る方の投稿があり、カテゴリーマスターの称号を持つiuh という方が、旧統一教会、オウム真理教とキリスト教を比較して、前者を「取るに足りない」と擁護しているコメントを目にした時は驚きました。
オウム真理教の被害者は存命しており、事件によって苦み、旧統一教会による被害者は年々発生しています。それを知った上で、先のコメントを出す心理が、私には理解できません。
このようなコメントは、旧統一教会の指導者、問題を知っていてなお、選挙協力を受けたり、関連団体にメッセージを送る政治家と立ち位置は同じです。決して被害者側に立ってはいません。

カテゴリーマスターは、Yahoo知恵袋内の称号であって、社会的な地位に付属するものではありません。しかし、Yahooは「「カテゴリマスター」として認定する取り組みなど、良質な回答を得るための施策を行っている」と表明しているのですから、認定した人の言動が称号に相応しいかどうかチェックする責任が、Yahooにはあるのではないでしょうか。
今回のich氏のコメントは、サービスを提供する側の称号授与と称号に取り消しについての規定が必要ではないのかということを提起しています。

・最後に


カルトの定義の冒頭で書いたように、カルトは宗教のイメージが強いですが、宗教以外にもカルトは存在します。
カルトは個人の問題だけでなく、家族の問題でもあり、社会の問題でもあります。
カルトに興味を持つ方もいるでしょう。でも、接触するのは避けましょう。ミイラ取りがミイラになる。それがカルトの持つ恐ろしさです。
加えて、メンバーに対して過度なコメントを止めましょう。彼らは被害者でもあります。
社会不安が高まる、コロナのパンデミック下の事態でも、怯えすぎず、安易な解決や情報に飛び付かず、鵜呑みにせず、冷静に事態を注視しましょう。
カルトは社会不安の時、その力を発揮します。


引用
(1)マインド・コントロールとは何か 著:西田公昭  P13
(2)上記と同一 P16
(3)マルチ商法については、https://www.pref.kyoto.jp/shohi/news/general/2012/5/1337064511404.htmlを参照
(4)マインド・コントロールとは何か P17
(5)上記と同一 P18

参考資料
・BBC NEWS 「カルトはなぜ危険なのか、なぜ人はカルトに入るのか 心理的トリックを知る重要性https://www.bbc.com/japanese/video-62261160
元カルトメンバーも語っており、カルトについて知ることができる短い動画です

・消費者法ニュース「「カルト」とは何か」https://clnn.org/cln/6465
弁護士の方が書かれた記事で、カルトの定義と問題点があげられております

・【カルトと宗教】カルト教団の本当の怖さを教えます【Vtuber解説】https://m.youtube.com/watch?v=1OxY2m6OsLQ
あまりYouTubeの動画を参照しませんが、今回偶然発見したこの動画は大変参考になりました。日本の書きに判決や日弁連の「反社会的な宗教的活動にかかわる消費者被害等の救済の指針」が紹介されています

・日本脱カルト協会 http://www.jscpr.org/qanda
カルトについてのQ&Aがあります

相談窓口
・日本脱カルト協会 http://www.jscpr.org/links

・カルト被害を考える会 https://www.asahi-net.or.jp/~am6k-kzhr/

・カルト被害相談窓口 心の相談室りんどう https://www.soudanrindou.com

・真宗大谷派青少幼年センター https://jodo-shinshu.info/oyc/cult/

・日本基督教団 https://uccj.org/news/44028.html

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?