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#アウトドア 記事まとめ

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noteに投稿されたアウトドア系の記事のまとめ。
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2020年2月の記事一覧

自分は褒めて育てられなくて良かった

褒められた覚えのない少年時代私は子供の頃、両親から褒められた覚えがない。 と言っても、よほどのヤンチャ少年で毎日叱られてばかりいたからだ、というわけではない。いや、実は叱られた覚えも(あまり)ない。 では、両親から無視されてネグレクト状態だったか、と言えばその全く逆だ。私の両親ほど、子供を心配しかつ信頼してくれる親はいないんじゃないかというくらいに愛を注いでくれた。 冒険家という生き方私はいま「北極冒険家」という肩書きで生きている。「子供の頃から冒険家に憧れていたんです

「稼がない」ことを考える

2019年の遠征費用2019年春。私は素人の若者たち12名を率いて、カナダ北極圏600kmの徒歩遠征を行った。 2000年に私自身が初めての北極行(どころか初めての海外旅行、初めてのアウトドア)で、冒険家大場満郎さんの企画した若者たちを連れての北極圏700km徒歩遠征に参加したことが私の冒険の始まりだった。それから約20年が経ち、次は私が若者たちを連れて行こうと計画したのが、昨年の「北極圏を目指す冒険ウォーク2019」だった。 この北極行は「ツアー旅行」ではなく、あくまで

冒険で生活って、どうやって成り立つんですか?

時々「私も冒険をしたいんですが、話を聞かせてください」という連絡をもらうことがある。 そんな時は、できる限り会うようにしている。 そういう相談に来るのは、概して若い人が多いのだが、どうにも話をしていて今まで「ハマる」感じの人が少ない気がする。 私も若い頃は、いろんな人のところに話を聞きに行った。なので、話を聞きに行く気持ちは分かる。若い頃に自分が何を聞きに行ったかと言うと、北極や冒険の具体的な情報だったり、他分野の冒険をする人がどんなことを考えているのかを聞いて自分の行

「寒いから凍傷になる」の間違い

マイナス50℃以下の世界私は北極でマイナス56℃まで活動経験がある。 揺れ動く北極海の海氷上で、真っ暗闇の中、一人きりで、テントと寝袋でいるのは恐怖そのものだ。 マイナス40℃くらいまでは表現として「寒い」の向こうにある「痛い」の世界であるが、マイナス50℃を下回ると「痛い」の向こう側の世界が待っている。 それは「締めつけられる」とでも言うか、自分自身が雑巾になった気分で、マイナス50℃の冷気が体をギュウギュウと絞めつけてきて、まるで雑巾に残った最後の一滴を搾り取るよう

夏休みの冒険旅100milesAdventure

子供たちとの夏休みの冒険旅私が北極の徒歩冒険行と同じくらいに大事にしているプロジェクトが、100milesAdventure(ヒャクマイルアドベンチャー)である。 2012年から始めたこの旅は、小学6年生たちと夏休み中に100マイル(160km)を10日間ほどかけて歩く冒険旅だ。 毎回ルートを変えながら実施し、これまで、過去8年で日本全国各地を歩いてきた。 これは、自分の足で小さな一歩を重ねていけばどんな遠くまで行けることや、子供たちが自分の知らない広い世界の入り口を知

【エッセイ229】金時山登山

視界を遮る山がないので、山頂からは富士山がでかでかと見える。と聞いたので金時山に登ることにした。 金時山に登る登山ルートにはいくつか選択肢がある。 初心者でも安心して登れるのは箱根の仙石原に近い金時山登山口から登るルート。このルートは一番人気で登る人も多いとか。なので金時山登山口の反対側、箱根ではなく南足柄市の地蔵堂登山ルートを選ぶことにした。 地蔵堂ルートの方がキツめで、その分登る人も少なくて登山道の渋滞に巻き込まれにくい。登山道の前に、マサカリ担いだあの金太郎こと坂

冒険中に毎日同じものを食べ続ける理由

冒険中の食事事情私は北極を歩く間、毎日同じものを食べ続ける。 朝、日中の行動食、夜、と基本的に3食である。正確には2食プラス行動食で、日中は12時間ほどソリを引いて歩く間、休憩のたびにこまめに栄養補給をしている。 その3食の内容は異なるが、朝、行動食、夜にそれぞれ食べるものは、毎日同じであり味もほとんど変えない。それを2ヶ月ほど続ける。 行動食で私が食べる「北極特製チョコレート」はこんな感じ↓↓↓ 味覚とは何か?味覚は、完全に環境に影響される。 美味しいもの、美味し

背負うべきもの

山登りの準備をするとき、わたしはバックパックに詰めて持っていく荷物を3つに分けて考える。「生きるために、最低限必要なもの」と「いざというときに、役に立つもの」、「自分をごきげんにするためのもの」だ。 一つ目の「生きるために、最低限必要なもの」は、食べものや飲みもののこと。生きるため、というとちょっと大げさな印象かもしれないけれど、山の上に売店や自動販売機があることは稀だから、自分が消費するエネルギーや水分量を見越した、食べものや飲みものは背負っていく。 二つ目の「いざと

「冒険家」になるには?

冒険家とは?たまに聞かれることがあるこの質問。 「冒険家」ってどうすればなれるんですか? 答えは至極簡単。 正解は。 名乗れば良いだけ。 そもそも世の中の「○○家」という、最後に「家」が付く肩書きは全てが「自称」でしかない。「○○士」「○○師」というものは、試験に合格したのちに得られる資格によるもの。弁護士、会計士、税理士、医師、教師、建築士、整備士、などなど。 一方で、冒険家、探検家、作家、写真家、建築家(建築士ではない)、音楽家、画家、などなど、これら全ては名

内面への旅

弓術を学んだドイツ人オイゲン・ヘリゲル著「日本の弓術」が面白い。 100年ほど前、日本の大学に教師として赴任したドイツ人哲学者が、本格的に弓術を学びやがて免許皆伝を得る体験記。 最近、冒険探検を考える上での「覇権主義に根差す西洋的探検のコンテクスト」から、東洋的日本的な動機付けの本質を知りたいと思っている。 そんな中で出会った本であるが、私が興味を覚えた一節を紹介する。 「弓術は、弓と矢をもって外的に何事かを行おうとするのではなく、自分自身を相手にして内的に何事かを果