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【創作大賞2024】オカルト学園の怪談 7話(5/7更新)

7話「再生」

美術室での事件で先に帰った倉田はともかく、その後に戻った摩耶は当然ながら学生寮の寮監からきついお叱りを受けた。

「すみません……次から門限には気をつけます」
「……本当に頼むわね比良坂さん。次破ったら寮から閉め出すから。じゃ、おやすみなさい」

寮監はそう言うと自室に足早に去っていった。廊下に残された摩耶も寮監が見えなくなると自室に向かった。

「……ただいま」
「あ、おかえりなさい。どうでした病葉先生」

同室の倉田がいつものように摩耶を出迎えた。

「うん、甘崎先生が手当してくれてるから大丈夫だと思う、けど……」
「けど?それに手当って、病葉先生どうかしたんですか」
「と…………溶けちゃったの。私の目の前で」
「え?」

ふるふると小刻みに噛みしめた摩耶の唇が震え、両目から涙が溢れだす。倉田は疑問の表情のままどう声をかけようか迷う。

「比良坂さん……その、大丈夫ですよ。甘崎先生ならきっと治せますって」
「ムリだよ……だって、あんなにドロドロに溶けて、骨だけになったら……もう治らない、無理だよう」

子どものように泣く摩耶の様子からただならぬものを感じた倉田は黙るしかなかった。先に帰るなどとあの時言わずに一緒にいてあげればよかったと今になって後悔した。

「……お待たせ。とりあえずこのくらいあれば足りるかな」

香森が両手に瓶で一杯になった袋を下げて戻ってきた。バスタブに先に入っていたローブを脱いだ病葉を見つけるとどさり、と床に袋を置く。細身の彼が持つにはかなりの重量だ。

『こんな数の瓶、1人でよく持ってこれましたね。流石吸血鬼ヴァンパイアってところですか』
「やだなあ、吸血鬼なんて呼び方。そりゃ確かに人間より力はずっと強いけどさ。本当にそれだけだよ」

香森は一瞬身をかたくしたが何事もなかったかのように袋から血液を集めた瓶を次々に取り出し、病葉がない膝をかかえて座っているバスタブの中へ中身を開けてゆく。

血液の鉄臭い匂いが嫌でも鼻に届くが、こうなれば多少は我慢するしかない。

「ひとまずこのくらいの量でやってみようか。甘崎先生は呼んであるんだろう?」

病葉の膝上くらいまで満たされたバスタブの中の血液を見ながら香森が聞いてくる。

『ご心配なく。すぐに来てくれるそうです』

病葉が次の言葉を続けようとしたタイミングで学園長室の奥の部屋のドアが勢いよく開いた。

「……来たわよ。まさか今夜やるなんて思わなかったわ。こういうのって準備に時間かかるから前もって伝えてくださると助かるんだけど《病葉先生》」

元の姿になった甘崎は明らかに苛ついた様子で、歩みよったバスタブ内の病葉を鋭く睨んでいる。そばにしゃがんでいる香森のことは目に入ってないらしい。

「あのう……甘崎先生。今夜決行しようって言い出したのは病葉先生じゃなくて私なんですが……」
「すみません学園長はちょっと黙っててくださいます?私は病葉先生に聞いてるので」

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