第二十九回 秦宝花入山
「はい。アタシの勝ちね!」とイタズラっぽく勝利宣言する栄花の姿があった。
完成な敗北感に地を殴りつける明に細く白い手が差し伸べられた。
「こんな華奢な手腕に翻弄されたのか!」と花の手を見ながら己の未熟さを痛感した明は「フッ」と鼻を鳴らして花の手を取った。
花は明の手のひらのぬくもりを感じるとニヤリとして強く、その手を握り締め勢いよく引き上げた。
立ち上がった明は言うまでもなく、雲をつく長身で逆に花が見上げる形になった。
「アタイの負けだヨ。」明がポツリと言うと花はコレまでにな