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muse / 髙橋海人についてのnoteを1冊の文庫本にした

【muse】
1.ギリシア神話の女神、「ムーサ」の英語名。音楽・舞踏・学術・文芸などを司る。
2.創作意欲をかき立てるもの。


いきさつ

2023年10月、私はこんな記事を書いた。

要約すると、「私はいっぱい書いてるけど、才能はないから商業誌にしたいとかいう欲が出なくて気楽なもんだ。才能がある人の運命は大変だ。」という内容。

しかしこれを書いたことで、ひとつの思いが湧いてしまった。

「商業誌にはせずとも、製本して手元に置いてみたい…
髙橋海人に関する己の文章を、髙橋海人のメンカラで包みたい…」

この思いは、日に日に大きくなり、ついに具体的に行動を起こすに至った。
これは、ただのオタクのnoteをただ製本するまでの記録。いつか同じことをする人の参考になればと。

1.本の体裁と見積もり

カバーなし、PP加工の文庫本、のつもりだった

ページ数を出すために、載せたい記事の文字総数をカウントすると11万字。
もう持ちネタ化してて申し訳ないけど、書きすぎてて怖い。11万字全部キンプリ又は髙橋海人関連の記事…。
ページ数は単純計算で200ページ弱。まぁ普通の文庫本くらい。書きすぎてて怖い…(2回目)。2ヶ月半で文庫本1冊分、しかも収録しない記事もあるって…。

見出しの通り、カバー無し文庫本で表紙PP加工(ツヤっとするやつ)だと、某業者では5冊で17,000円ほど。
人により価値観の違いはあるだろうが、私は「えっ、全然払えるよ」と思った。
そして昼寝した。

カバー、欲しいやん

昼寝から目覚めていきなりそう思った。
それまでの全ての目論見をひっくり返して業者を探し直した。
こんな時も役に立つnote。先人の記事を参考にさせて頂いた。

この記事中に書かれている、「ちょいのま」さんで本体およびカバーを発注、カバー巻きまでしてもらおう!!意外と安く上がりそ〜


と盛り上がったところで、ハタと気づいた

イヤ私のnote、めちゃめちゃタレント名と歌の歌詞使ってますけど?と。

2.権利関係の確認

歌詞の掲載  ーJASRAC

歌詞まるまるではなく引用のみ、しかも完全個人用の製本だし、私的利用の範疇だから大丈夫かな。とは思いつつ、絶対に後ろめたいことはしたくないという謎の正義感から、JASRACに問い合わせてみた。

今回は個人用とはいえ出版物なのでこちらから問い合わせた。

皆さんに伝えたい。
JASRACさん、めちゃめちゃ問い合わせのレスポンス早い。2時間くらいで返信があった。
しかも、法的な部分では条文を引用しつつ、ド素人に分かるように「つまり今回の件では〜」と要約してくださる…!
これ、ほんとありがたかった。

結論としては、
私的利用の範疇だけど、自分で製本するんじゃなくて印刷所に依頼する時は利用料が必要だよ
ということでした…。
乗りかかった船だ、払ったらァ!!
と腹を括ったら、なんと私的利用の場合は50%off!
ありがとうJASRAC!!全然払える額です!
ちなみに12曲分。曲の考察ばっかしてた自分を恨んだね。

利用申込書の一部。

作詞者・作曲者名は、大好きな曲を作った方々の名前なのでこの上なく丁寧に書きました。
キンプリオタクですがそもそもはイエモンチルドレンなので、一行目に「吉井和哉」と書けてグッと来ました。


タレント名の掲載 ー所属事務所

これですよ…
今回これが一番不安というか、「いや大丈夫でしょ、でも権利関係めちゃくそ厳しいからなあそこ…」と、全く読めなかった部分。
問い合わせました。組合に。

結論、
完全私的利用ということであれば問題ありません
(※私の場合については、です。)
とのこと!やり取りの詳細は書けないんですがこれだけ言わせて。

私「御社所属の髙橋海人さん」
御担当者「弊社所属の髙橋海人」

この、今後一生することは無いであろうコールアンドレスポンス。脳汁溢れた。

3.表紙

デザイン案

何事も形から入りたいタイプ。
そもそも、「髙橋海人のメンカラ・ひまわりイエローで包むんだ!」というのが出発点。そして、そのイメージも明確にあった。
そちらがこちら

新潮文庫プレミアムカバー
「ぼくは勉強ができない」2009年版

青春の1冊、「ぼくは勉強ができない」。
この、パキッとした色合いに、黒い文字だけという潔さが大好きで!
このカッコ良さを真似して(いいのか)、ひまわりイエロー1色に、相方の永瀬廉のメンカラ・黒(漆黒)の文字でタイトル書くのみ。
これでいきたいと思っていた。

ところでひまわりイエローって何色なの?

ひまわりイエロー…
人によってイメージ違うよね。RGBではどうすりゃいいんだ。
ダメ元で、「ひまわり RGB」でググってみた。

するとなんと!あるんですねJIS規格!!

ひまわりいろ。平仮名かわいい。
下のうこんいろ、どうしても(以下略)

これ!って決まってるわけでは無くて、色名から想起する色彩イメージの幅を定義してるみたいな、そんな感じ(適当。)
4色あるけど、何となくで1番トーン明るそうな#ffc20e を採用。

使用ソフト

IllustratorやPhotoshopなどという高級品は我が家にはないので、「Wordで作ってPDF化すりゃ行けるっしょ〜」と超軽く見ていた。
しかし色々調べた結果、さすがにそんな軽いデータでは印刷に耐えうるはずもなく。

調べたところ、PhotopeaというPhotoshopと同等の画像編集ができるブラウザアプリがあることが発覚。また、とあるサイトに文庫本サイズの表紙用テンプレートが載っていたため、ありがたく使わせていただいた。

全面黄色で文字を載せるだけなら、素人の私でも十分に使えました。

※ちなみに、れんかい名言日めくりカレンダーもこのソフトがあった、そして使用経験があったからこそできたものです。


4.原稿の作成

タイトル

どうしよ…「髙橋海人に関する考察」?いやダサすぎるやん…
note2023とか…うーん…
と悩んでたらハタと気づきました。
「収録してる記事のタイトルから取ればいいやん」と。文庫本タイトルにできるような記事は自ずと限られて来ますけど、とにかく決まりました。
自分の中で、「私のこの数ヶ月の感情や思索はここに集約されたな」という記事をタイトルにしました。

テンプレート

もうね、なんでもネットにありますね。
こちらのテンプレートを使用しました。

ソフト

なんと、私のパソコンにはWordが入っていない。中古の3万円台のPCなのでね…
無料の、Wordと互換性のある文書作成ソフトを片っ端から試して、

こちらのLibreofficeがいちばん使いやすく互換性も高かったです。

フォント

「源瑛こぶり明朝」。同人誌の字書きさんにはおなじみみたいですね。縦書きフリーフォントで調べたら直ぐに出てきて、定番フォントのようなので即採用。

※ちなみにまたしても、このフリーフォント探し&インストール作業のおかげで、れんかい名言日めくりカレンダーが作れました。

横書き→縦書きへのレイアウト変更

もう、ひたすらコピペするのみ。
とりあえず何も考えずコピペして、その後頭からちまちまと細かい箇所を修正していくのですが、ここがほんと1番の難所でした…

1.算用数字→漢数字への変換
縦書きですからね。漢数字でしょやっぱり。3桁以上の数字の表記に困るし。
そして、一発変換かければいいやと思うじゃないですか。
どっこい固有名詞なんかは算用数字でないとおかしいわけで。
※例:M-1グランプリ

どうしたかと言うと、頭から全て読み返して都度漢数字に変換しました。効率悪すぎじゃん!と思われるかもしれないけど、校正も兼ねてなので、結果的にこのやり方でよかったとは思います。

2.「M-1」「m-flo」問題…記号の回転
これも大変しんどうございましたよ。
Word形式だと問題なく表示されるのに、PDF化すると“-”(ハイフン)が90°回転なさるんですわ!!
-、-、ー、ー、どれを試してもダメ。
最終的に、「図形」で短い線を作図して文字間に配置するという、写植みたいなやり方で対応しました。
他の多数の記号についても同じ感じで…
そう、この「…」(三点リーダー)もうまく処理できず・・・で乗り切りました。
どうするのが正解だったのか未だ分からずです。
今でも…を使う時はドキドキしてます。

3.英字の半角・全角問題
これもね…例えばKing & Princeは、半角だと90°横倒しになります。全角だと、
K
i


みたいになる。実際もっと字間が詰まってるんですけどね。
これをどう捉えるか…最終的に、本文中の英単語および英文は全角表記に統一しました。
一方で横書きの歌詞ページについては半角表記にしたので、これまた頭から読み返して都度変換。あーだるいだるい。


5.校正作業

これもひたすら読み返すのみ…。何度読んでも新たな誤字脱字レイアウト崩れが見つかりましてね。しんどい of しんどい。でもせっかくお金をかけて作るからには、間違いのないものにしたいので頑張りました。前述の表記変更作業以外に5周は読み返したと思います。
校正にあたって、このアプリがすごく役立ちました。

こんな感じで、2ページのPDFを実際の本のように見開き表示出来て、赤入れもできる。そして赤入れした個所が分かるように記録されるというナイスな仕様!ありがとう!!
iPadとタッチペンで、出先で空いた時間にチェックしたりしてました。

とはいえもう何周もしてると飽き飽きしてくるわけで。
その気分転換のために新たにnote記事書いたり(どうかしてるぜ)、カレンダー作ったりしてました。そんなことしてるからずるずる制作期間が延びていきました…。
とにかく年内には納品!ということで、11月末~12月初旬にかけてラストスパートかけまして、どうにかこうにか完成しました。

6.完成品、納品。

今日、ついさっき納品されました。
はい、そちらがこちら!!


タイトルは「髙橋海人はジギー・スターダストなのか」にしました。
この記事がやっぱり、文庫本作り始めた時点での、一つのマイルストーンだと思ってるので。

めっちゃ似てる。いいのか。

恰好付けて、英文タイトルまで付けました。

体裁はちゃんと文庫本だけど、中身はちゃんとしょうもなくて好(ハオ)。

カバー外した本体の表紙もちゃんとそれなりに悩んで作りました。

扉もね。各出版社の扉を参考にしつつ、結局ドシンプル。

奥付。あたかも流通している本かのような…
そして燦然と輝くJASRACの許諾番号よ。金払った証(請求書はこれから来ます。)

そう、厚みがえぐい。17mmあります。トータル355ページです。草。
片手で持ってて重いですからね。

すごい。達成感。
そして、間違いなく髙橋海人への愛が具現化された。そう思える。自信ある。
普通に書いたら一行で済むことを3,000字でしつこく書き続けた、異常な執念の結果がここに…。
これは推し愛の具現化であり、私の脳の具現化である。そう言えるものを、この人生でひとつ作れたことが、とても幸せです。
ちなみに、ここに収録されていない記事で、もう1冊同じボリュームの本が作れます。怖。
いずれもう1冊作りたい。
その時の表紙は当然、黒地に黄色文字です。

7.muse

タイトルのmuse。もちろん、髙橋海人のことです。男性に使うのはおかしいのかな。
彼がいなければ、私はこの量の文章を書くことはなかったし、そもそもたくさんの感銘と疑問と発見と困惑を得ることもなかった。
プロでも芸術家でもないのに烏滸がましいけれど、彼は間違いなく、私にとってmuseです。(たぶん他の色んな人にとっても、museだと思います。)
それ以上でも、それ以下でもない。

確実なことは、彼が居ることで私はこの本を作ることが出来た。
そして今も書き続けている、それだけです。
素晴らしい日々に感謝しているし、まだまだ彼を見ていられるのなら、これ以上のことはありません。

【参考】
今回収録した記事をマガジンにまとめました。

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