見出し画像

自分の未来のために、周りの未来のために

#未来のためにできること

日本のシニアの方からよく聞く言葉、
「周りの人、家族に迷惑をかけたくない」
つまり健康寿命をまっとうして人生を終えたい、ということだろうか。
シニアの領域に足を踏み入れつつある自身としては、それはかなり
リアル・切実な願望だ。

誰だって健康で毎日を過ごしたい。それは高齢者も同じ。出来れば最後の最後まで自分の足で必要最低限の場所に制限なく行きたいものだ。

健康寿命とは日常生活に制限なく過ごすことのできる期間のことを指す。
健康寿命と平均寿命に差がひらけば開くほど、医療や介護への依存度合いが高くなってくる。

正直、最近までそれほど身近な話題として感じることがなかった。
父は若くして病死。母は現在87歳で、本当につい最近まで日常生活に制限はほとんどなく自立して過ごしていた。それが、である。骨粗鬆症による脊椎圧迫骨折を引き起こす。この症状自体は年齢的に珍しいことではないらしい。
診察を受けた段階ではコルセット着用と安静を守っていれば1ヶ月ほどで
よくなったはずであった。
しかし本人や周りの危機感があまり高くなかったのか、
当初の骨折が治りかけた時点で、次の箇所が圧迫骨折を引き起こした。
まるでドミノ式に、もろくなった脊骨が悲鳴をあげているかのように。

自宅では安静でいることは難しいのとリハビリも兼ねて、入院することと
なった。が、結局、痛みがひどいので手術を行うことが急遽決まった。
ボルトを入れて潰れた骨を補強する手術を行う。今後、痛みは取れても動きに制限がかかってくる。例えば、前屈みの姿勢が取れなくなる。

https://www.tokyo-itoortho.jp の画像

母は昭和11年生まれ。小柄な当時の平均的な日本人女性の体型だ。
身長は若い頃は150センチほどであったろうか。それが80歳を超えた頃
までにはかなり背が縮んでいた。
私が母に会えるのは2年に一度の頻度だ。ここ数年は会うたびごとに、
小柄になってくる彼女の姿に多少なりのショックを受けていた。
親が老いるということは、こういうことなんだなあ、と妙に納得していた。

そして背が丸くなり、肩が徐々に盛り上がってきた。
81歳を迎えたあたりから首から肩にかけての痛みを訴えるようになる。
同時に歩行も非常に遅くなった。
これらが起き始めた数年のこの時期が確実な圧迫骨折への
第一次段階であったのではと、今振り返るとそう思う。

しかし当初は本人も含め、「年だから仕方ない」という気持ちと、加齢とともに背は多少縮むものだ、という程度の認識だけで終わっていた。

ではなぜ、加齢で背が縮むのか?
骨密度が低くなるから。

では骨密度が低くなるとどのような危険が待っているのか。
転倒や尻もちなどで簡単に骨折してしまう。
しかし外的要因がなくても骨折は起こる、などの認識は全くなかった。

母は10年近く近所の整骨院に週に1度ほどの割合で通っていた。
首から肩にかけて痛みが走るようになってからは痛み止めの注射も
受けていたようだ。しかし痛み止めは半日も持たない。
根本的な解決にはつながらなかった。

猫背になってきたということはただ姿勢が悪い、ではない。脊骨が何らかの
要因で変形してきた、ということである。
多くの高齢者の場合は骨粗鬆症がその原因となる。しかし骨密度検査で“良”の
お墨付きをもらっていた彼女はきっと自信があったのだろう。

背が縮まり始めた時期に、専門医を訪ね、圧迫骨折予防のための意見を聞くべきであった、と今なら思う。

猫背になると脊椎への影響だけではなく内臓も圧迫することとなる。
ここ数年、母は胃の調子も良くないと訴えていた。甘いものを食べると胃酸があがってくる感じがすると。これも胃が猫背によって圧迫されていたのでは、
と推測する。

不思議なのはアメリカでは日本の女性のような猫背で歩いている高齢者を
あまり見かけない。肥満気味の人は多いのは確かだが。
逆に肥満体型が猫背を阻止しているのではないだろうか、と想像してみたり
する。事実、体重が多いと、軽い人に比べ骨に対する負荷が違う。
骨は負荷が多いほど鍛えられ強くなる。
つまり肥満体型による健康問題も多いアメリカだが、利益もあるのかも
しれない。

母の唯一の趣味であるガーデニングも退院後はかなり難しいだろう。
手入れが行き届いていない庭を見て、きっと悲しくなるに違いない。
出来れば、この秋には数週間お手伝いに帰国したいと考えている。

そしてあなたの未来のために、自分の未来のためにも
「年だから」を安易な逃げ道にするのをやめたいと思う。

たとえ大きく変わる事がない未来であったとしても、目の前のことを
ひとつひとつ丁寧に扱っていきたい、とそう願う。







この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?